1-6 再訪、〈星座の心臓〉・グレートリフト近辺

GM:さて、どうする?


ミヒャエル:劇場とやらに向かおうか?


キッカ:劇場、必要でしょうか……?


ゴッドフリード : まぁ一応裏取りも兼ねて? しかしまあ、二週間も前ってことが分かった今、無駄足かもしれない場所に行くのもなぁ。


ソルベ:私はグレートリフトの方がいい気はするな~。


キッカ:下では二人組の情報はありませんし、降りたとすると中階層ってことです……よね?


GM:劇場もグレートリフトも、どちらに行っても行かなくてもいい。それと、もし望むなら、これまでの情報を〈星座の心臓〉まで届けても構わないよ。


ミヒャエル:うむ、一度報告しておこう。


ゴッドフリード : 中階層と言っても、グレートリフトの止まる階層は40か所くらいあるんでなぁ。〈星座の心臓〉で一回報告してから……どうしようかねぇ。


ミヒャエル:流石に全階層で聞き込みをするのは気が遠くなるものだが。


キッカ:リフトの管理人みたいな人が何か知ってたりしないでしょうか……。


ゴッドフリード:その辺りはグレートリフトの上の所と……後は一か所目の停留所、第七支道区の〈岩の芯〉あたりに顔出して聞いてみるのが一番か。


 冒険者ギルド支部〈岩の芯〉。第七支道区にある、一般的な冒険者ギルド支部だ。ガザトオリコ内での人気も高く、同時に規模も極めて大きい。――さすがに、〈星座の心臓〉ほどではないのだが。


GM:じゃあ、一旦〈星座の心臓〉に向かうで構わないかな。


ロラン:戻ろうか、何か情報があるかもしれない。


GM:〈星座の心臓〉へ向かうと、ハンスベルが待っていたとばかりに出迎えます。


ミヒャエル:ほう。何かあったかね。


GM/ハンスベル:「あぁ、丁度良かった。パトロールに渡した似顔絵がいい結果を持ってきてくれてね」


ソルベ:「お~、早速」


GM/ハンスベル:「例の彼女だが、朝早くにグレートリフトに乗って下へ向かったのを目撃したという情報が得られた。おっと、朝早くと言っても今日の話ではないがね。そして君たちが言うには、下では行きの情報しか得ていないのだろう? となると、おそらくは……というわけだ」


ゴッドフリード:「ふむ。となるとどっかの停留所で降りて……あとは157もある支道のどこに向かったか、だなぁ」


キッカ:「その昇降機は何時から動き出すんですか?」


GM/ハンスベル:「あれは終始動いている、夜も朝も問わずだ」 二十四時間営業にて。


GM/ハンスベル:「それと……黒い髪と髭、細目で耳が特徴的なドワーフの男性と一緒だったとの目撃証言も出ている。これは君たちの得た情報と比べてみてどうだい?」


ミヒャエル:「耳が特徴的というのは?」


キッカ : 「見ればわかる、程度の特徴ですかね」


GM/ハンスベル:「目撃者がそう表現した、としか言いようがないな。少し下に広い耳の形だったそうだ」


ゴッドフリード:「おう、ビンゴだぜ。そいつらしきドワーフの情報も入ってる」


ミヒャエル:「うむ。どうやら犯人で間違いなさそうだ」


ソルベ:「……それ、ホントにドワーフかな?」


ミヒャエル:「どういうことかね、ソルベくん」


GM/ハンスベル : 「目撃証言が一致しているということはドワーフであろうと考えても構わないだろうが……我々が見知った人物ではない以上、確実だとは言い難いな」


ゴッドフリード : 「蛮族には確か人間に化けられる奴等も居るんだったな」


ロラン:「この街、守りの剣少ないからねぇ。まぎれててもおかしくはないけど」


ミヒャエル:「なるほど。吾輩は蛮族の種類には明るくないからな……」セージもライダーも未習得。


ゴッドフリード:「ただ、そうなると今の俺等じゃ対処できるか厳しい猛者って事になるな……慎重に事を進めたい感じか?」


GM/ハンスベル:「なに、君たちが対処できない蛮族であると確証が取れれば我々が動くさ。可能ならばその場で処置してもらいたいのはそうだがね」


ソルベ:「会って確認しろ、ご尤もで」


ミヒャエル:「ふむ、人蛮問わず操霊術士というセンもありうるな。姿を偽る魔法がある。それだけ長時間ともなれば難しいかも知れないがね」


キッカ:「……これ以上、犯人が何者かをいくら考えてもキリがないのではないでしょうか。依頼は人探しですし」


ロラン:「そうだねぇ。まずは彼女の行方を探すのが先決かな」


GM/ハンスベル : 「ひとまず、我々がすぐに動くことはできない。一度、街に出て情報を集めてもらえると助かる。時間帯も場所も人物像も特徴的だ、すぐに目撃者は見つかるのではないか?」


ゴッドフリード:「確かにな……んじゃ、まずはグレートリフトの上の乗り場、その次は第七支道区の〈岩の芯〉、って順だな。そっから先は情報を見てから考えよう。最悪、総当たりも覚悟しなきゃな……」


ミヒャエル : 「うむ、手がかりは掴んだのだ、そこまで苦労はしまいよ」


GM/セレン:「そうだね、急いで向かおう」


GM:では、グレートリフトの周辺で聞きこむ?


ソルベ:聞き込む。


キッカ:こむ。


 例によって、得意技能で聞き込み判定。既に情報を得ているので、GMの方で結果にボーナスをかけて計算しよう……と、思案していたところ。


ゴッドフリード:うし、ファイターで聞き込み。6ゾロ。


GM:えっ。早い。


ゴッドフリード:伊達にサイレックオード地元民やってないってことだな。


 スルっと情報を抜かれてしまう。その他の面々も(キッカを除いて)全体的に出目が高く、めちゃくちゃ驚くGM。


キッカ:アルケミスト、向いてないんでしょうか……。


ロラン:まぁまぁ。


GM:じゃあ情報を得られた。グレートリフトの荷物警備員が、二週間前の早朝、赤毛の女性と黒髪の男性ドワーフのペアを見たと証言するよ。……そして、その二人組が第137支道区で降りたとの情報も。


ミヒャエル:「ふむ。いきなりクリティカルな情報が得られたものだ」


GM:背負い袋の女性が待ちきれないといった様子で先に降り、黒髪の男性の方が後を追うようについていったといいますね。


ゴッドフリード:137……あんま聞かない所だな。そもそもなんかあったか?


キッカ : 「137……つまりずいぶん深いところですね」


ゴッドフリード:「下の方って言っても、グレートリフトの停留所付近なら地上層とそこまで変わんねぇ治安の所もあるんだがな。とはいえ137支道区ってーと、あんま有名な観光名所は無かった筈だが……」


GM:「そうだね。"邪神窟"も通り過ぎちゃって、かなり下だから観光客がのこのこ行くような場所じゃないから気になってはいたんだけど……。あの辺りはすぐ上下は人も住んでないような場所も多かったはずだし」とのこと。


 ――"邪神窟"。ガザトオリコの支道区の中でも有数な観光名所であり、様々な第二の剣に連なる神の神殿が建てられている場所。観光名所として様々な都市から人が訪れるが、あくまで再現された神殿であり、訪れた人族が信仰に目覚めないよう厳重に管理されている。少なくとも、体裁上は。


ゴッドフリード:「あぁ、119支道区のアレな。アレこそ観光名所って感じよな」


ミヒャエル:「ふむ、しかし例のドワーフの男性ではなくパリス女史の方が積極的だったというのは不思議であるな」


キッカ:「何か惹かれるものがあるのでしょうか」


ロラン:「ふむ……最下層ほど治安は悪くはない、とはいえそれなりに危険な場所……と」


 最下層――155支道区、"クズ鉄の晒し場"。他で生きられなくなったような者たちのたまり場であり、犯罪者でない住民を探す方が難しいと言われるほどだ。観光客どころか、一般のガザトオリコ住民でさえ訪れる者は稀である。


ゴッドフリード:「ドワーフの男が持ってる情報とやらがそれだけの値打ちものだったのか……」


ミヒャエル:「この情報も一度報告しておくかね?」


ゴッドフリード:「んー……いや。犯罪だと明確に分かりでもしない限り、下の支道区には結局〈星座の心臓〉のヤツらは向かえねぇんだ」


ミヒャエル:「フム、そうなのかね」


ゴッドフリード:「各支道区の自治を重視してっからな、あそこは。だから、今日中に俺等が戻らなかった場合にだけ、リフトの警備員の兄ちゃんにでも伝言として伝えてもらおうか」


キッカ:「冒険者あがりの組織の割には硬直した縄張り意識を持っているんですね」


ミヒャエル:「ハハハ、言ってやるなキッカくん」


ゴッドフリード : 「縄張り意識っつーか、自分の領分をわきまえてるというか……」正直、俺がいた空遊ギルドよりは足下見えてるよなーと思ってる。


ソルベ : 「しかしなにかな~、釣りのエサは未踏破の魔法文明時代の遺跡とか?」


GM/セレン:「そうだね、可能性はある。2週間も前となると、保存食を持って行っていてもそろそろギリギリかもしれない。仮に人のいない場所に迷い込んでいたりしたら……」


キッカ:「人のいない場所があるのですか……?」


ロラン : 「あ~まぁ事情があるからね、そこらへんは。特に下層ならなおさら」


ミヒャエル:「ふむ。いずれにせよ、行けば分かるだろう。急がねばなるまいよ」


GM : さて、ではグレートリフトに乗り込みますか?


ゴッドフリード:おう。さて、鬼が出るか蛇が出るか。


GM:ふふふ、幻獣とか魔動機かもね。

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