日常
仕事を終えて深夜に帰宅すれば、部屋の電気が付いていて驚いた。もしかしてまだ起きてる……?
部屋を見渡せば、ソファの上で丸まっているリアの姿。きっと待っていてくれようとして寝落ちしたんだろう。
そっと近づいて覗き込めば、可愛らしい顔で眠っていた。
あぁ、私の番、かわいすぎ……
そっと抱きあげれば、無意識にシャツを掴んでくるのが愛しい。
「んぅ……?」
「ごめん起こしたね。ベッドに運ぶから、このままおやすみ」
うっすら目を開けたけれど、歩き出せば寝息が聞こえてくる。
ベッドに寝かせてもシャツが離されることはなくて、こんなことが前にもあったなぁ、と思い出す。額や頬への口付けはしちゃったけど、ひたすら耐えて、一睡も出来ずに朝を迎えたっけな……
あの時無理やり襲っていたらこんなに幸せな日常はなかっただろうし、あの時の私、よく頑張ったな……
「カミラ、さん……? へへ、カミラさんだ」
頬を撫でれば、くすぐったかったのか身動ぎして目を覚ました。私を認識して、嬉しそうに笑うリアに愛しさが溢れる。
「うん」
「あれ、ベッド……?」
「ソファで寝たら風邪ひくよ? ちゃんとベッドで寝ないと」
「寝るつもりはなかったんですもん。ちゃんと待ってるつもりだったのに。あ、シャツ、ごめんなさい……シワになっちゃった」
むうっと膨れたと思ったらしゅんとするリアが可愛すぎて、迷わず組み敷いた。
「かわいい」
「えぇ、今ので可愛いとこありました……?」
「いつだってリアは可愛い」
「いつも思いますけど、絶対変なフィルターかかってますよね」
呆れたように見てくるけど、押し倒されてるの分かってるのかな?
「リア……」
「ひぅ、耳元で話すのやめてください」
「なんで?」
「なんで、って……いい声すぎるんですもん」
はぁ、可愛いなぁ。
「リア、好きだよ」
「だからっ……も、ほんとに……」
「そんなにいい反応してくれるとやめられないよね」
「いじわる……」
「え、かわい……」
もう、この子どうしよう……
「ねぇリア、誘ってる?」
「え、誘ってな……んっ……は……ぁ、ちょっとまっ……」
「ごめん、待てない」
帰ってきてからずっと可愛い所を見せられすぎて、色々ギリギリだったわけで……起きてくれたし、リアが可愛いから仕方ない。
「カミラさん、私もかなり体力がついたと思うんです」
「うん。そうだね」
「そうですよね? でも、疲労感が変わらないのはなんででしょう……まだ足りないのかなぁ……」
「足りない? 量? 質?」
「そうじゃない……筋トレ始めようかな……いや、筋トレしたところで元々の能力が違いすぎるわけで……」
「身体鍛えたいの? リアは小柄だけど、かなり身体能力も引き上がったし、訓練に参加してみる?」
「……いえ、いいです。大丈夫です」
なんだか遠い目をしているけれど、なにか違った?
「リア、明日は休みだったよね?」
「はい。カミラさんはお仕事ですよね?」
「うん。残念ながらね」
「……んっ、あの、やっぱり、まだ……?」
「もう少しだけ付き合って?」
正直、全然足りない。リアは後どのくらい許してくれるかな……
*****
カミラさんの体力ありすぎ問題……
少しってなんだっけ? 出勤時間になって、名残惜しそうに仕事に行ったカミラさん。お昼は届けるからゆっくり寝てね、と優しく頭を撫でられたところまでは覚えている。
目が覚めればもうお昼をとっくに過ぎていて、テーブルの上には手紙と、美味しそうな昼食が置いてあった。
夜ご飯も何か買って帰るから、ゆっくり過ごして、と書いてある。身体がだるいし、夜ご飯を作る元気はないから有難い。朝まで離してもらえなかった日は、こうして何もしなくていいようにしてくれる。
抱き潰される度に、日頃からどれだけカミラさんが抑えてくれているのかを実感する。蜜月期間も、あれで手加減してるって言ってたしな……
カミラさんに抱かれるのは幸せだけれど、体力が、ね……
私だってカミラさんに触れたいのに、カミラさんが離してくれないからな……
心底鱗を飲んでいて良かったと思う。回復力って言うのかな? 全然違うし。とはいえ、まだまだカミラさんとは差があるわけで……鍛えたところで絶対無理だよね。意識を保てる時間が伸びるだけな気がするもん……
考えても仕方が無いから、用意されていたお昼を食べて、のんびり過ごす。カミラさんは何時に帰ってくるのかな……
「リア、ただいま」
「おかえりなさい」
「身体辛くない? 無理させてごめんね」
夕方に帰ってきたカミラさんにそっと抱き寄せられて、ちゅ、と触れるだけのキスをされた。なんか照れる……
「あ、はい、かなり寝たので、もう大丈夫です」
「照れてる? かわい……」
「カミラさんが甘すぎるから……」
「リアにだけね」
いつになっても、こんなに綺麗な人から甘く微笑まれると照れる。クロエさんは目撃する度に悶えてるもんね……
「お腹すいたよね? ご飯食べよう」
「はい!!」
テーブルにご飯を並べてくれたけれど、スプーンは一つだけ。
「リア、なにから食べたい?」
「自分で食べられますよ」
「……いや?」
「いや、じゃないです。じゃあ、これで」
「これね」
当たり前のように食べさせようとするカミラさんに抵抗をすれば、悲しそうな顔をされるから罪悪感がものすごい。
恥ずかしいだけで嫌ではないし、悲しませたいわけじゃないから、大人しく口を開けた。
そうすれば、それはもう嬉しそうに笑ってくれる。今日も眩しいです……
「リアはどれが好きだった?」
「うーん、どれも美味しかったですけど、一番最初に食べさせてくれたやつですかね」
「あれか。覚えておく」
片付けも全部カミラさんがやってくれて、今はソファに座るカミラさんの膝の上。
「カミラさん、昨日寝てないですけど、眠くないんですか?」
「全然。リアは明日仕事かぁ……」
そんなに残念そうにされても、朝までとか無理ですからね?
「ほんとタフですよね……」
「リアと居ると、触れたくなる。でも、身体目当て、とかじゃないよ? まぁ、私が言ったところで説得力ないかもだけど……」
腰に回された腕に力が入って、首筋に顔を埋めてくるカミラさんが可愛いんですけどどうしたら……?
日頃から大切にされてるのに、そんな事思うわけが無い。
「ちゃんと分かってますから、大丈夫です」
「うん。嫌なことがあったらちゃんと教えて? 直すから」
「はい。じゃあ、早速いいですか?」
「え……何??」
「今日は私がしたいです」
「……うん?」
顔を上げたカミラさんがきょとん、としているけれど、こんなチャンス滅多にない。
「私だってカミラさんに触れたいのに、いっつもそんな余裕なくなるし……今日は絶対大人しくしていてください!!」
「え、嫌なことってそんなこと?」
「私にとってはそんなこと、じゃないです!」
「あ、ごめん?」
こんな風に困惑するカミラさんも珍しい。
「えっと、リアちゃん? これ、必要?」
「必要です! 手が自由だったら絶対触ってくるじゃないですか。解いちゃダメですからね?」
「どこでこんなこと覚えて……んっ……ぁ……」
さて、カミラさん、覚悟してくださいね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます