第十九話「タッグバトル」

 Side ホーク・ウィンドウ

 

(背後には避難所!! 相手がどんな奴でも退くに退けねえな!!)


 黒いアメフト型怪人、ブラックフットの猛攻。

 巨体によるパワー殺法。

 パンチを打ち込んでもビクともしない。


『どうしたどうした!? 手も足も出ないか!?』


 ハヤテも相手のスピードに翻弄されて手も出せず、次々と忍者型パワードスーツに切り傷が刻まれていった。


 ホークはどうにかしないとと思った矢先――


『余所見している暇があるのか!?』


『!!』


 ブラックフットの巨体がホークに激突する。

 咄嗟に後ろに退き、両腕でガードしたが物凄い衝撃だ。

 マトモに食らえば一溜まりもないだろう。


『――強い』


 そしてハヤテも後退りしつつ全身に切り傷を作りながらホークの横に立ち止まった。


『この程度かキサマらは?』


 ブラックフットは着地し。


『所詮はガキか』


 ブラックジャガーはフットの傍に立つ。

 

『どうするハヤテ?』


『手を組んで戦うしかないでしょう』


『それぐらいしか手がないか』


 ホークもその提案を承諾する。

 ハヤテとはブレンが襲来する前、一緒に修行した時期もあった仲なので互いの事は知っている。

 この選択も悪くないとホークは思った。


『相談は終わりか!?』


 そしてブラックフットがタックルの姿勢で突っ込んで来た。

 

『行くぞ!!』


『ッ!!』


 ホークの号令と共にハヤテが飛び上がる。

 そして手裏剣がブラックフットに襲い掛かるが立ち止まり、『効かぬわ』と上半身のプロテクターでそれを弾いた。


『ギガ――』


『ッ!?』


『スマッシャー!!』


 大きなエネルギーの塊が拳から放たれた。

 そのエネルギーはブラックフットの胴体に突き刺さり、轟音が響き渡る。

 プロテクターに大きなヒビが入った。


『ええい何をしている!?』


 ブラックジャガーが割って入るようにホークに四本の爪で襲い掛かるがそこをハヤテが両手に持った小太刀で受け止める。


『映画で観た手だが――ギガスマッシャー!!』


 そしてあろう事かホークは地面に受けてギガスマッシャーを放つ。

 地響きが起き、ブラックジャガーとブラックフットがよろめく。


 ハヤテは――


『一閃!!』


『ッ!?』


 真上から小太刀で一閃。

 ブラックジャガーの両腕の四本爪で防がれ、その場から宙返りしながら離れる。

 

『なっ――』


 置き土産の爆弾が起爆。

 爆発にブラックジャガーが巻き込まれる。


『クソが!? 調子に乗りやがって!!』


 爆発の中からブラックジャガーが飛び込んでくる。

 ハヤテは――ブレン軍のブレンジャー、ブレンブルーとの戦いで使った二本の小太刀を両手に一本ずつ握り、対応する。


『もらった!!』


 そして上からのし掛かるようにブラックフットの巨体がハヤテに迫り来る。

 ブラックジャガーは退散し――入れ替わりにホークが入り――


『ジェットアッパー!!』


 右腕の拳を突き上げるようにしながら瞬間加速したかのように飛び上がり、ブラックフットのプロテクターを粉砕。

 ブラックフットの黒い生身の部分が露出する。


『馬鹿な――先程までは我々が優勢だったのに――』


 と、ブラックフットはよろめきながらも起き上がる。


『伊達に場数は踏んでないんだな・・・・・・それに負けられない戦いなんでな。勝つぞ、ハヤテ』


『うん』


 ホークはそう言う。

 横にいたハヤテも頷いた。


『お遊びはここまでだ!! 二人纏めて片付けてやる!!』


 そう言ってブラックジャガーは目にもとまらぬ早さでホークのハヤテの周囲をグルグルと回り、時折切り裂くために飛びかかってくる。

 ホークとハヤテは互いに背中合わせになり、反撃の隙を伺う。


『うぉおおおおおおお!! フットバスター!!』


 そしてブラックフットは空中に飛び上がり、足からエネルギーボールを蹴り出すように射出。

 ホークとハヤテの二人が居る場所に着弾する。


『ヒャハハハハハハ!! 本気を出せばこんなもんよ!!』

 

 二人が居た場所に起きた爆炎を眺めながらブラックジャガーは勝ち誇り。


『ヌハハハハハハハハ!! どれ、景気づけに後ろの建造物でも破壊していくか――』


 と、避難施設の破壊活動に向かおうとしたブラックフット。


『勝負はまだついちゃいないぜ!!』


『『なっ!?』』


 ホークの声がした。


 そして空中からブラックフットの顔面をぶん殴るホーク。


 ハヤテもホークに続くように空中からブラックジャガーの顔面に跳び蹴りをかます。


『うおおおおおおおおおおお!!』

 

 そしてホークは拳の連打を始める。

 

『これは俺だけじゃねえ!! 多くの人々の命や世界の命運を懸けた戦いだ!!』


 ホークの拳の連打は止まらない。


『ば、ばかな――何処からこんな力が――』


 どんどん拳の破壊力が上がって行ってるように思える。

 ブラックフットは為す術も無くホークの拳を食らい続けた。


『そこに大人も子供も関係ねえ!! そのために、愛と平和のためにこの拳を振るってやる!!』


 それはアーカディアの意思の代弁であり、この天照学園のために戦う人々の想いの代弁でもあった。

 

『俺の夢は!! 俺のチャンピオンベルトは!! この拳に宿ってるんだ!!』


『あっ――』


 ブラックフットは最後に観た。

 ホークの赤く輝く拳を。

 

 そしてブラックフットは爆発四散した。

 その爆発に巻き込まれてホークは吹き飛ぶがどうにか起き上がろうとする。


『馬鹿な!! やられたのか!?』


 その事に動揺するブラックジャガー。


『遅い!!』


『!?』


 ブラックジャガーの背後に回り込み、両腕を相手の腹に回し込んでハヤテは空高く飛び上がる。

 そのまま180度回転。

 上下逆さになり、そのまま地面へと勢いよく急加速していく。


『ハヤテ流イズナ落とし!!』


『グハッ!?』


 顔面が直撃。

 そのままブラックジャガーは爆発。

 

 上手く爆発から逃れたハヤテはホークに駆け寄る。


『大丈夫だ。自分で立てる』


『そうか――』


『この状況だ。オチオチ休んじゃいられないだろう』


 本当は疲れた体に鞭打ちながらホークは立ち上がろる。

 


 Side 大道寺 リュウガ


 大道寺 リュウガは司令室で不覚にも涙を流していた。


 職員も先程のホークの叫びから感じ取った物があるのか押し黙る。

 

――これは俺だけじゃねえ!! 多くの人々の命や世界の命運を懸けた戦いだ!!


――そこに大人も子供も関係ねえ!! そのために、愛と平和のためにこの拳を振るってやる!!

 

――俺の夢は!! 俺のチャンピオンベルトは!! この拳に宿ってるんだ!!


「そうか・・・・・・それが答えか。ならば、ならば、せめて、俺達は俺達の出来うるかぎりのことをするぞ!!」


 司令室のスタッフ達は勢いよく『了解!!』と返事をした。


「問題は――天野君と城咲君だ――」


「両者ともに苦戦中です」


 モニターには猛と春歌の姿が映し出されていた。

 相手は同じクラスメイトである。

 


 Side 天野 猛


「はははは!? どうしたの!? クラスメイト相手にはなんにも出来ないの!?」


 煽るようにプリティアは言う。


(クラスメイトだからこそ戦い難いんだよ!!)


 相手はクラスメイト。


 ピンク髪に左ショートポニーの愛らしい少女。

 柊 友香


 セミロングの水色の髪の毛の知的そうなメガネを掛けた少女。

 橘 葵。


 黒い翼の生えた、まるでサキュバスのような扇情的なスーツを身に纏って猛と春歌に襲い掛かり、猛と春歌の二人は苦戦していた。


 

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