第二十三話「奇跡の一撃」
Side ホーク・ウィンドウ
『連戦続きだがやれるか!?』
『やれます』
ホーク・ウィンドウとハヤテは並び立つ。
眼前にはザタリアスがいた。
『遺言はそれでいいか?』
そう問われてホーク・ウィンドウは『態々負ける勝負なんかするつもりなんかねえよ』と返したが・・・・・・
(正直、ここまでに来るまでの戦いと幹部格との戦いでダメージが大きいのが事実だ)
ハヤテはそう言う様子は見せないが万全ではないだろう。
眼前のザタリアスはコンディションが万全であっても倒せるかどうか怪しそうな相手ではあるが、放っておくわけにもいかない。
それにここで逃げ出したら後ろの黒いレヴァイザーは間違いなく死ぬだろう。
殺されるか、殺されにいくかだ。
司令部から『無茶はするな!!』、『撤退しろ!!』と通信が来ているが無視する。
『僕の事は構わないから逃げろ――』
と、黒いレヴァイザーは言うがホークは『悪いがそれは出来ない相談だ』と言って覚悟を決めた。
『自分から仕掛ける』
ハヤテは――分裂し、UFOの様な幾何学的な機動と常人の動体視力では視認困難な程のスピードでザタリアスの四方八方から攻撃を仕掛ける。
それに合わせるようにホークは肩のプロテクターを両腕に装着し、真正面から行った。
’(長くは戦えない。全力の一撃、一撃を確実に決めていく!!)
手数ではなく、一発重視の攻撃を着実に当てていく事を専念する。
誰かにバトンを託すとか。適当にダメージを削って誰かに倒して貰うとかそう言う考えはなかった。
『ええい!! 鬱陶しいわ!!』
ザタリアスは高速移動するハヤテを――自分を中心とした衝撃波のような攻撃で吹き飛ばす。
ホークも吹き飛ばされそうになるが構わずに突っ込む。
『そんなに死にたいか小僧!』
『うぉおおおおおおおおお!!』
ホークは相手の三mの巨体の胴体に飛び込む。
その前にザタリアスの拳が迫るが――
『受け止めた!?』
ザタリアスの豪腕を受け止めるホーク。
両腕に装着しているプロテクターが破損する程の一撃で痛みも並大抵の物ではなかった。
しかしそれでもホークは受け止めてみせた。
『なに!?』
その隙を狙ってハヤテが再び仕掛けた。
ザタリアスは右拳を突き出しており、その姿勢の関係上右側が死角になっている。
そこから閃光のような速さで飛び込み胴体を一閃、激しい火花が散る。
『うぉおおおおおおおお!!』
ホークは相手の突き出された右拳に必殺技、ギガスマッシャーを打ち込む。
ホークの右拳のプロテクターが完全に砕け散り、パワードスーツの腕もヒビが入る程のダメージを負うが、ザタリアスの拳にもヒビが入り、大きく仰け反る。
『もう一発!!』
そしてホークは続けて左のギガスマッシャーを相手の胴体に放つ。
轟音が響いた。
あまりの反動で左拳のプロテクターが砕け散ったが手応えはあった。
『調子に乗るな小僧!!』
しかしザタリアスはホークの右脇腹を殴りつけるように左腕を叩き付ける。
ホークは吹き飛んでいくが地面を滑り、バランスを崩しながら立つ。
再びハヤテが分裂して攻撃を仕掛けるが――
『遊びは終わりだ!!』
ザタリアスの頭上に――黄色い角から紫色の光の玉が形成。
三mのザタリアスの大きさから比較するに光の玉の大きさはおよそ六m近くはありそうだ。
そして周囲に光のシャワーが降り注いだ。
あらゆる物体を。
道路だろうが木々だろうが街灯だろうがを無差別に破壊していく。
『なっ!?』
黒いレヴァイザーは驚いた。
ホークとハヤテの二人が咄嗟に盾になってくれたのだから。
盾になってくれた二人にも光のシャワーが降り注ぐ。
『やめろ!! 僕の事はいい!!』
黒いレヴァイザーは言うが――
『もう俺は嘘はつかない。俺は俺の自分のやりたいようにやる』
ホークはそう返し、
『・・・・・・自分もそうさせてもらいます』
ハヤテもそう答える。
『しぶとい奴め――』
そんな二人に業を煮やしたのか今度は紫色の光玉を眼前に作り出しはじめるザタリアス。
本気で潰すつもりだ。
『逃げろ、今度こそ死ぬぞ!?』
二人ともスーツはボロボロだ。
生身のダメージも相当だろう。
とてもこれ以上戦える状態ではない。
『悪いがそれは聞けない相談だ』
だがホークはまだ戦うつもりのようだ。
『ハヤテ、この黒いの頼むぞ』
『ホークさん!!』
ホークはハヤテに黒いレヴァイザーの事を頼むと仕掛けに行った。
『わざわざ死にに来たか!?』
『まだ勝負は捨てちゃいないぜ!!』
ザタリアスは閃光を放つがホークはギリギリのところで回避。
空中を飛翔しながらザタリアスに迫る。
実はホークのパワードスーツは動力の関係で空中飛行も可能なのだ。
戦闘スタイルや相手の都合上などで中々お披露目する機会が少ないだけで飛ぶ機会はあまりなかった。
背後のハヤテは黒いレヴァイザーを肩で担いで回避。
放たれた閃光は大爆発を起こす。
その衝撃でハヤテもホークも地面に倒れ込みそうになるが、尚も前進をやめない。
(あと一発、あと一発撃ち込ませてくれよ!!)
ホークはザタリアスを眼前に捉えた。
全てがスローモーションに感じる。
これを当てたところで死ぬかもしれない。
それでもいい。
昔は天才ボクサーだのなんだの言われ、八百長試合持ちかけられてそこからクソみたいな人生を歩んだ。
そこから日本に半ば勘当されるように放り込まれた。
さらに好き放題な人生を歩んでドンドン自分の人生はダメになっていった。
だが倉﨑 稜に出会ってから全てが変わった。
最初は変な部活に入れられて後悔した。
世界の命運を懸けた戦いにも参加するハメにもなった。
だが悪くはなかった。
自分が望んだタイトルマッチは。
チャンピオンベルトがあるとすれば――
『俺の望んだタイトルマッチも、チャンピオンベルトは!! ここにあるんだぁあああああああああああああああああああああああ!!』
『!?』
ホークは赤く輝き、拳を振るう。
ザタリアスは咄嗟に振り払おうとするが――その拳はザタリアスの腕のガードを弾いて、顔面に直撃して――
赤い閃光がその場を満たした。
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