第二十二話「脅威のザタリアス」
Side 大道寺 リュウガ
「このエネルギー反応、モニター越しからも分かるオーラ―――ザタリアスであるのは嘘ではなさそうだ」
リュウガは言う。
「こんなタイミングで――」
「だからこそ消耗しきったこのタイミングで勝負を仕掛けてきたのだろう」
大道寺 リュウガは出現のタイミングをそう結論づけた。
「司令、上空にモニターらしき物が映っています」
「なに!?」
☆
Side 黒いレヴァイザー
「こう言う形で見せるとは公開処刑のつもりか?」
上空に黒いレヴァイザーとザタリアスの姿が大スクリーンで映し出されていた。
原理は分からないがあれ程の大きさなら学園のどこからでもここの状況がよく見えるだろう。
『その通りだ。逆らう物は、邪魔をする存在は悉く始末する。お前とて例外ではない』
「そうかい!!」
そして黒いレヴァイザーはバッファローメダルを装填してパワータイプになり、生えて二本の角を向けて必殺技「バッファロークラッシャー」で突っ込む。
『無駄だ』
『か、片手で受け止めた!?』
黒の三騎士の一人を倒した一撃が片手で受け止められて黒いレヴァイザーは動揺を隠しきれなかった。
『次は此方の番だ!!』
ドゴンと吹き飛ばされる。
『なんだ今のは!? 衝撃波か何かか!?』
『つまらんな。この程度か?』
『まだまだ!!』
今度はロボットメダルを装填。
身体の各部から光線やミサイル、大型化した腕部からロケットパンチが放たれる。
『うぉおおおおおおおおおおお!!』
このまま押し切るつもりでとにかく攻撃を続ける。
しかし――
『温いわ』
『!?』
ザタリアスの巨体は攻撃を受け続けても何事もないかのように前進を続ける。
『今度は此方の番だ。ふん!!』
両腕を向けると雷光が放たれる。
『ぐわああああああああああああああああああ!?』
雷光が黒いレヴァイザーに直撃。
そのまま倒れ込むが――
『ほう。まだ立ち上がるか』
寸前のところで踏み留まり戦闘姿勢を崩さない。
『当たり前だ!! 逃げたくないのもあるが、このままお前のような奴を放置すればブレンの時と同じぐらいの惨劇になるのは目に見えている!!』
正直体は痛む。
だが倒れると言う事、負けると言う事はザタリアスの暴虐を許すのと同意。
意地でも倒れるわけにはいかなかった。
『武力による支配が結果的に一番犠牲が少なくなるとしてもか?』
『なにを!?』
『こうしている間にも新たな侵略者が地球を狙っているかもしれない。平和を脅かそうとしているかもしれない。それから地球を守る仕組み作りをしているだけだ』
『その仕組みを作るために一体どれだけの人間を殺すつもりだ!? 本末転倒じゃないか!?』
『理想を偉そうに語るだけでは世界は変えられない。最後は力なのだ。力がなければ理想など実現できない』
『だからこうして天照学園に攻め込んだと!? 反吐が出る!! ようは世界征服して世界中の人間を自分の支配下に置きたいだけだろ!?』
『だが地球が滅びるよりかマシだろう?』
『あー言えばこう言いやがって!!』
『私に賛同してくれるかと思ったが違ったようだ――』
『誰がお前に賛同するか!?』
『少なくとも日本政府は交渉の余地はあると思うが』
『なっ!?』
ここで日本政府が出てきた事に黒いレヴァイザーは驚く。
『奴達は何をしてきた? そして今何をしている? どうせ今もこの戦いの結果、どう動こうかなどと言う皮算用でもしているのだろう』
『それは――』
『奴達は呆れる程に欲深い。宇宙人のテクノロジーだけでは飽き足らず、この学園のテクノロジーまで手に入れようとしている。地球連邦とてそうだ。奴達は日本政府だけを一方的に悪者扱いしているが、奴達も日本政府と同じく穴の狢だ。数々の極悪非道な実験を行っている』
『なんだと!?』
まさかここで地球連邦まで出てくるとは思わなかった。
『月との第三次世界大戦も元はと言えば月のロストテクノロジーを巡った戦いだった。まあその第三次世界大戦は月のロストテクノロジーの暴走で痛み分けで終わり、その後にお前達の言う地球連邦が誕生した』
『嘘を――ついている雰囲気じゃなさそうだな』
『こんな場面で嘘はつかん。なんなら学園長や地球連邦の大統領、月の王国の国王にでも聞いてみるがいい。他にも時乃宮家の悲劇の真相や人体改造のための極秘実験など、地球連邦の連中は数々の悪事に手を染めている』
『お前の言いたい事はよく分かった。だがな――』
『なんだ?』
『お前の言う事は真実だとしてもお前のやり方を認めるつもりはない!!』
力強くそう断言して見せた。
さらに言葉は続いて、
『お前は間違えている! お前は地球連邦や日本政府を見下しているがやってる事はその見下している連中となんら変わりがないじゃないか!?』
黒いレヴァイザーはそう言いきって見せた。
『・・・・・・遺言はそれでいいか?』
『知るかそんなもん!! 例えなにがあっても!! どうなってもお前を否定してやる!!』
バッファローメダル。
ゴリラメダル。
ロボットメダル。
その三つを装填。
『いくぞぉおおおおおおおおおお!!』
大きな角、四肢、メカメカしい体――かなり厳つくなり、体格も2mを越す存在になった。
このフォームは体への負担は大きいがどの道長くは戦えず、このままだと負ける。
危険は大きいがこのフォームに懸けるしかなかった。
『ぬぅ!?』
地響きを立てながらも、猛スピードで近寄り、腹を目がけて殴りつける。
マトモにダメージが通った瞬間だ。
逆にザタリアスが殴り返して吹き飛ばされるが――
『まだまだ!!』
背中や足の裏からのジェット噴射で再び殴りつけにいく。
『ッ! 調子に乗るな!!』
『うおおおおおお!!』
お互い空中に飛び上がり、殴り合いに発展していく。
轟音や地響きが発生する程の迫力。
黒いレヴァイザーは痛みを感じながらも半ば意地になって殴り返す。
ザタリアスもダメージがある筈だがそれを感じさせない様子で拳を黒いレヴァイザーにぶつける。
勝ったのは――
『クソ・・・・・・』
地面に叩き付けられて倒れ込む黒いレヴァイザー。
通常フォームに戻る。
立ち上がろうとするがダメージが深すぎるのか途中で力尽きたように地面に倒れ込む。
押し勝ったのはザタリアスの方だった。
ダメージを負いながらもゆっくりと地面に着地する。
『成る程。後釜の育成はちゃんとしていたようだな』
『な、なに?』
『私は嘗て人間だった。そしてとある世界に渡り、軍団を従え、この力を手に入れた。そうなる以前には黄金世代と呼ばれる守り手がこの学園にいた』
『黄金世代――』
『だが時代の流れとは残酷だ。ブラックスカルのようなカラーギャング如きにいいようにされるのがその象徴だろう。だがその認識は誤りだったようだ』
『ハッ、計算が狂ってなによりだよ』
『遊びはここまでだ。我が支配の礎となれ』
『くっ――』
黒いレヴァイザーは死を覚悟したが――
『どうやら貧乏くじを引いたみたいだな』
『だが放って置くわけにもいかない』
『何者!?』
両サイドから挟み込むように誰かが二人、ザタリアスに襲い掛かる。
慌ててザタリアスは謎の二人を振り払う。
謎の二人はズザザザと地面を後ろ向きに滑りながら黒いレヴァイザーの傍に寄る。
『そこの黒いの。中々いい啖呵だったぜ』
と、ホーク・ウィンドウが言う。
『僕もそう思う』
ハヤテも同意見のようだった。
現れたのは悪の組織部のホーク・ウィンドウ。
そしてハヤテの二人だった。
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