第十七話「ネクストステージ」

 Side 天野 猛


 プリティアが生きていたことに猛と春歌は驚愕した。


「まさか生きていたなんて・・・・・・」


 あの状況――自ら放った巨大なエネルギーボールに飲み込まれて死んだかと思われていた。


 だがこうして目の前で生きている姿を見せている。


「私も流石に死ぬかと思ったわ――でも復讐するためにどうにかこうにか生き延びたのよ」


 と、毒を込めて挑発気味に言葉を発するプリティア。


「・・・・・・どうしてアナタはこんな事を?」


 春歌は尋ねる。


「ふん、上にのし上がるためには力がいるのよ。だからわざわざあの人間に協力してやってんのよ」


「人間に協力?」


 人の神経を逆撫でするように物言いだが、人間に協力と言うワードに春歌は引っかかったようだ。


『喋りすぎだぞ、プリティア』


 どす黒い怨念のような――寒気のする声が天空から聞こえた。


「あら、ザタリアス。何の用かしら?」


『様子を見に来ただけだ』


「あーら? 私がしくじるとでも?」


 ザタリアスと呼ばれる存在に対してプリティアは挑発的な態度をとる。

 

「そもそもアナタと私は協力関係のだけの筈よ? あれこれ指図される謂われはないわ」


『落ち零れの分際でよく言う』

 

「はあ?」


 プリティアは態度を豹変させた。


「誰が落ち零れですって!? あなただって元は人間の半端物じゃない!」


『その人間に敗れた奴がよく吠える――』


「ふん、見てなさい。こいつらをコレクションに加えたらあんたも潰してやるんだから」


『小娘の浅知恵でどこまで出来るか見せてもらおうか』


「口が減らないわね――」


 そう言ってプリティアは私達の方をにらみ付ける。


「あの、落ち零れってどう言う意味?」


 春歌も気になっていたのか「私も気になります」と続いた。


「私はプリティア!! 偉大なる魔族のプリンセス!! 落ち零れなんかじゃないわ!! 今はザタリアスに協力してるけど何時か気に入らないもの全部潰してやるんだから!!」


 そう言って手を翳すと魔方陣が出てくする。

 そこから現れたのは――


「あの二人って――」


 見覚えがある。

 黒い扇情的な、サキュバスだか悪魔だかを連想させるコスチュームを身に纏っているが顔は見間違えようがない。

 表情の様子を見る感じではプリティアに洗脳されているのだろう。


「友香ちゃん、葵ちゃん」


 柊  友香。


 橘 葵。


 両者が二人に立ち塞がった。



 Side 揚羽 舞


 アーカディア本部前。


 雑魚の相手ばかりで消耗する一方。


 アーカディアの人々などが援護してくれているがどこまで持つかは分からない。


 他にも助けにいかなければならない場所は多いのだが――


『ここでアーカディアの本部か――』


 このタイミングで敵の幹部格らしき黒いローブを羽織った者が出現した。


(このまま戦えるかしら?)


 と揚羽 舞は消耗した体に鞭打ちながら頑張ろうとしたが――


「いや~すいません。最終調整に手間取ってしまって」


「志郎!? 大丈夫なの!?」


 金髪の美少年。

 黒いスーツ姿の少年。

 悪の組織部の部長、天村 志郎が現れた。


「まあお陰様で――他の悪の組織部の部員も動いてますよ」



 Side ???


 避難施設として解放されている天照学園のドーム。

 そこにも怪人が出現していたが――


『キサマ――何者だ――』


『我々の邪魔をするとは』


 と、黒いローブ姿のザタリアスの配下二人が悪の組織部の二人を凝視する。


 たった二人に雑兵代わりの配下は叩きのめされた。


『ちょっと前まではカラーギャングの用心棒だったんだがな・・・・・・今は天照学園悪の組織部のホーク・ウィンドウだ』


『・・・・・・同じくハヤテ』


 悪の組織部を名乗る、ボクサーとアメフト選手を混ぜ合わせたような恰好のヒーロー、ホーク・ウィンドウ。


 そして忍者の恰好をしたヒーロー、ハヤテが立ち塞がっていた。


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