第十六話「三の騎士VS黒いレヴァイザー」

 Side 大道寺 リュウガ

 

 アーカディア本部でもセントラルタワーの様子は映し出されていた。


 ブラックセイバー、黒崎 カイト。


 リンディ・ホワイト


 それぞれが戦いに決着をつけ、マスクコマンダー、天野 星斗はDrジャスティスと激突している。


 そして謎の人物――黒いレヴァイザーと敵の幹部――黒の三騎士の一人らしい――と対峙していた。


「一体何者なのかは分からないがこの場は任せるしかない。本部や他の場所の状況は?」


「はい! この場所を含めてどこも戦闘中です!」


「気を抜くなよ! まだ敵は底を見せちゃいない!」



 Side 黒いレヴァイザー


『ならば俺も名を名乗ろう!』


 そして黒の三騎士、最後の一人がローブを脱ぎさった。


『黒の三騎士の一人!! ブラックレックス!!』


『黒いティラノサウルスの怪人か!?』


 現れたのは黒いティラノサウルスを人型に整えたような怪人だった。


『その姿がハッタリでないかどうか、俺様が確かめてやるわ!!』


『ッ!』


 見掛けによらず俊敏な動きで一気に距離を詰め、ブラックレックスの右手が紫色に怪しく光る。


『キラークロウ!!』


『ちぃ!』


 横っ飛びで避ける。

 遅れて先程まで黒いレヴァイザーが立ってた地面が大きく、まるで怪獣に引き裂かれたかのように抉れる。

 避けきれず胴体に傷跡が刻まれる。


『続けて行くぞ!!』


 ブラックレックスはキラークロウを連発。

 周辺が破壊され尽くしていく。

 黒いレヴァイザーもどんどん傷ついていく。


『そんな物かヒーロー!? 俺様も手も足も出ないか!?』


 黒いレヴァイザーは体から煙と火花を出し、片膝をついて倒れ込んでいる。


『・・・・・・恐いんだな』


『はあ?』


 やや涙声の突然の告白に首を傾げるブラックレックス。

 

『猛がいる世界は恐ろしいとは思っていたがこんなに恐ろしいとは思っていなかった。今も正直ガタガタ震えている。正直逃げだしたくて堪らない』


『ほう、命乞いか?』


『いいや、戦いを舐めていたことと――猛を心の底では恨んでいたことへの謝罪だ――』


 そして黒いレヴァイザーは再び立ち上がる。


『それがどうした!!』


 再びブラックレックスのキラークロウが迫る。

 しかし黒いレヴァイザーは――


『とぁ!!』


『なっ――』


 真上に飛んでタイミングよくキラークロウを避けて相手の側頭部に浴びせ蹴りをする。

 ブラックレックスは数歩よろめくがそれだけだった。


『今のは見事だったが――俺を本気にさせたことを後悔するんだな!!』


 そう言って口から火炎弾が放たれ、まともに直撃して吹き飛ばされる。

 さらに何発も火炎弾を撃ち込み、黒いレヴァイザーがいた辺りは煙に包まれた。

 

『終わったか――』


『いやまだだ!!』

 

 そして煙の中から光線が飛んでくる。

 同時に黒いレヴァイザーの両腕が飛んできた。

 更にはミサイルまでやってきた。

  

 不意打ちの猛攻をモロに食らってしまう。


『な、何がどうなっている!?』


『デザイアメダルの力さ。俺はノーリスクで数々のデザイアメダルの力を使えるんだよ!! こんな風にな!!』


 黒いレヴァイザーの両腕に先程飛ばした――黒いレヴァイザーの両腕――ガントレット部分がはめ込まれる。


 続けて何かのメダルをバックルベルトに装填する。


『調子づくな!! テイルクラッシャー!!』


 尻尾をドリルのように回転させながら突き刺そうとする。

 それを――両腕と両足が厳つくなり、胴体もマッシブになった黒いレヴァイザーが受け止める。


『さっきはロボット!! 今はゴリラの力だ!!』


『なっ!? 受け止めただと!?』


 回転する尻尾を受け止める。

 もちろん黒いレヴァイザーの方もノーダメージと行かず、両腕の手がひび割れている。

 それでも構わず尻尾を掴んだまま相手の顔面を殴り飛ばす。 

 

『成る程――だがなぜ最初から使わなかった?』


『僕にとっては使いたくなかった力だからだ。本当は使わずに済ませたかったが――甘い考えだった』


『そんな理由で――舐められたものだな』


『それは弁解しようもない。だが今は違う。この戦いは何としても勝たないといけない戦いだ!! 例え友人や家族、大勢の人間を歪ませた力だとしても!!』


 そして違うメダルを解除して違うメダルを装填しようとする。


『させるかと思ったか!?』


『遅い!!』


 レヴァイザーの頭部に立派な二本の角が生える。

 ゴリラのメダルの時のように外観が厳つくなっており、尻尾も生えている。

 迫り来るブラックレックスを二本角で迎撃した。


『コロコロ姿を変えやがって!? 今度は何のメダルだ!?』


『バッファローだ!! これで終わらせる!!』


『小癪な!!』


 ブラックレックスは尻尾の高速回転、テイルクラッシャーで迎撃しようとするが、黒いレヴァイザーは構わずに二本角で激突。

 

『お、俺の尻尾が!?』


 勝ったのは黒いレヴァイザーの二本角だった。

 黒いレヴァイザーも少し吹き飛ばされて突撃。

 今度はキラークロウで迎撃するがまたもや粉砕される。

 

『こうなれば――』


 ダメージ覚悟で至近距離での特大の火炎弾を打ち込む。

 大きな爆発が起きた。

 もちろんブラックレックスもタダでは済まず、ダメージを受けて吹き飛ばされるが


『うぉおおおおおおおおおおおおおお!』


『なにぃいいいいいいい!?』


 体が全身ボロボロになりながらも、火花を散らし、煙を出しながらも、左片方の角がもげようとも黒いレヴァイザーは赤いオーラーを身に纏って突っ込んで来た。

 

『バッファロークラッシャー!!』


『うわあああああああああああああああああああああ!?』


 盛大な大爆発が起きる。

 

『お前――まだ動けるのか――』


 バッファローの状態が解除され、黒いレヴァイザーはブラックレックスの方を向く。


『この程度でくたばる俺達――黒の三騎士はヤワには出来ちゃいねえぜ・・・・・・』


 ブラックレックスは左半身が消し飛び、顔も一部消滅しているような状態だった。

 あちこちから血を流し、まだ戦闘を続行をしようとする。

 とんでもない生命力である。


『まだ戦うのか!?』


『ああそうだ!! 黒の三騎士の意地はただでは死なぬ!! キサマを道連れにしてくれるわ!!』


『今ここで二度も死ぬわけにはいかない!! 戦って生き延びて見せる!! それが僕の勝利だ!!』


 両者共に駆け出す。

 

 黒いレヴァイザーの右の拳に赤い炎が身に纏い、それをブラックレックスの右腕を粉砕しながら顔面に着弾、爆発を起こす。

 

 もはやブラックレックスは黒いレヴァイザーがバッファローの状態の時にダメージを負った右腕に懸けるしかなかった。


 それが勝負の明暗を分けた。


 いや、そもそもブラックレックスはもはや死に体の状態だった。


『・・・・・・これが勝利で、これが猛達が戦う敵か』


 勝利の喜びなど感じず、ただただ胸中は複雑な思いだった。


『ここは任せろ――猛――』


 そして黒いレヴァイザーは空を見上げる。



 Side 天野 猛


 一方、天野 猛はと言うと急いで専用マシン(バイク)に乗り込み、帰路を急いでいたがバリアに阻まれて入り口で立ち往生していた。

 他の乗用車も似たような感じだ。


「既に戦闘は彼方此方ではじまっているようですが皆さんが頑張ってくれてるようです!!」


 と、春歌は猛を元気漬けるように言う。


「黒いレヴァイザーとか凄く気になるけど――どうにかして中に入る方法を探さないと――」


 戦闘は此方が優勢だが数では敵の方が上と見るべきだる。


 しかも学園と外とで分断されている。


 先日の洗脳騒ぎなどで疲弊し、Drジャスティスまで出張ってきている学園島でどこまで持ち堪えられるか分からない状況だ。


「あらあらそんなに急がなくても――」


「その声は――」


 春歌は聞き覚えのある声の方を見た。

 そこに居たのは忘れもしない。

 

見覚えのある顔だ。

 小悪魔的な顔立ちで右目に眼帯をつけている。


 そしてなによりも薄い紫色の髪の毛に赤い後頭部のリボン。

 頭には二本の角。

 背中には黒い翼に尻尾。


 見間違えようがない。


「「プリティア!?」」


 二人は再度出現した――ヒーロー達を洗脳して回った少女、プリティアの出現に驚愕した。


 プリティアは空中に浮かびながら天照学園の玄関口の前でクスクスと笑っている。


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