第十五話「二の騎士VSリングの女帝」
Side 大道寺 リュウガ
「敵の狙いはセントラルタワー、他の場所はここも含めて陽動と見るべきか」
学園中央にあるセントラルタワーは言わば学園島の心臓部。
ここを抑えれば学園を抑えたも同然。
(Drジャスティスや王渡 志輝の入れ知恵と見るべきか・・・・・・)
そうとしか考えられない手際だった。
「学園の外に出たヒーロー達は!?」
思考を切り替えて状況を確認する。
「バリアが突破できず、立ち往生している状態です!」
と、オペレーターの悲鳴のような報告が来る。
「ここも襲撃を受けているいじょう、救援にも迎えん。学園内に散らばっている戦力だけでどうにかするしかないか・・・・・・」
最悪自分が出ることを視野に入れる大道寺 リュウガであった。
Side リンディ・ホワイト
「スライム型の怪人ね――」
そう言って構える。
リンディと黒の三騎士の一人、ブラックゼリーが睨み合っていた。
『フハハハハ。その様子だと直接攻撃などを得意とするタイプのようだな』
「つまり?」
『私の勝ちが決まったと言う事だ!』
そう言って両腕を鞭のように撓らせ、ゴムのように勢いよく伸ばして人体では不可能な不規則な連撃を行う。
人間どころか並のヒーローではサンドバックになるような連撃を回避する。
『フハハハハ! 防戦一方ではないか!』
「笑い声が一々うるさいわね」
『ならば実力で止めてみせるがいい!』
そう言って左右から挟み込むように横凪の一撃をリンディに行う。
質量保存の法則を無視して手を巨大な、人間をプレス出来るサイズの鉄板のように平たくさせている。
普通の人間ならミンチになる一撃であるが――
『なに!?』
しかしリンディは常人離れした身体能力でフィギュアスケート選手のようにくるくると空中に綺麗に側転しながら回避する。
『だが空中なら逃れられまい!!』
「あんた何か忘れてない?」
素早くブラックゼリーの胴体から拳が飛んでくる。
危うしリンディ――と思われたがその拳を蹴って、横に回避し、掴んで弧を描くように投げ飛ばした。
『ぬぅう!?』
アスファルトの地面が軽く陥没してクレーターが出来る程の一撃。
ブラックゼリーは潰れたトマトのようになるがすぐに人型に戻る。
『そう言えば≪空中から引きずり下ろした≫のであったな――迂闊だったわ――』
ブラックゼリーは『だが』と言葉を続ける。
『私の攻撃を捌いて反撃に転じた一連の動作。わざわざあんな真似をしなくても普通に投げ飛ばせたのではないか?』
「いい女には秘密が多いらしいのよ」
と、地上に降りたリンディはブラックゼリーの疑問に小悪魔的な笑みでそう返す。
『まあいい。先程の反撃は見事だった。だが悲しいかな、私はこの通りノーダージ――誰かに交代してもらった方がよいのではないか?』
「あら、意外と優しいのね? だけどその程度で泣き入れるのならレスラーなんてやってないわ」
『フハハハハ、レスラーとはアマゾネスの集まりか何かか?』
そう言ってブラックゼリーは腕を飛ばす。
左右の二本だけではなく、六本に増えてリンディを追い詰めようとする。
「サマーソルト・エッジ!!」
『なに!?』
リンディは迫り来る6本の腕をサマーソルトキック。
ジャンプして逆上がりの要領で蹴り飛ばす攻撃で相手の6本の腕を刃物のような切れ味のある蹴りで纏めて斬り飛ばす。
『見事だがこう言う手も使えるのだよ!!』
「なっ!?」
ダークゼリーは斬り飛ばされた腕を勢いよく触手にして飛ばし、リンディの手足などを拘束。
さらに自分自身がヘビのようになってリンディに巻き付く
『これで終わりだ!! スネーク・バインド!!』
「~~~~~!!」
リンディの体に巻き付き、全身から圧迫して圧殺させる。
そのリンディは為す術もなく、ダークゼリーの巨大コブラのような巻き付き攻撃で全身を締め上げられる。
『フハハハハ! 思いの他手こずったがこれで終わりだ!』
上半身だけ人型にしてダークゼリーは高笑いを挙げる。
『うん?』
だが突如としてリンディはその場で回転を始める。
最初はゆっくり、どんどん勢いは増していき、ブラックゼリーの拘束が緩んでいく。
『馬鹿な!? どこにそんな力が――』
何時の間にかジャイアントスイングのようになっている。
リンディは拘束から解放された両腕でブラックゼリーのヘビのようになった胴体を握りしめ、そしてある場所に投げ飛ばすためにタイミング良く手刀(チョップ)で切断した。
『ぬぉおおおおおおおおおおおおおおお!?』
吹き飛んだ先はセントラルタワー。
現在バリアが張られており、そこに激突する形になった。
バリア事態が持つエネルギーで焼かれてしまう。
『ぬううう――まさかこんな――』
半分だけ人型の状態で体から煙を出しながらその場に倒れ込む。
急いで自分の千切れ飛んだ下半身を呼び戻して人型に戻る。
『あの女はどこだ?』
不自然だ。
人型に戻るまでの時間、何かしらの攻撃を行う猶予はあった筈。
それをしてこないとは――
「私はここよ!?」
『ッ!?』
真上からリンディの踵落としが炸裂する。
頭部、胸部と縦一直線にブラックゼリーの胴体を粉砕した。
ブラックゼリーの体が弾け飛んで、コロコロと赤い球体が転がる。
その赤い球体は心臓のように脈打ち、ヒビが入っている。
『まさか最初からこれを狙って――』
その球体から声が発せられる。
「アナタ気づいてなかったの? 弱点が丸見えになってたわよ」
『そうか、カモフラージュが解けていたのか――』
先程のバリアの衝突によるダメージでカモフラージュ――弱点であるコアの部分が見えている状態になっていたようだ。
それを砕かれた。
『だがそれにしても恐るべきパワーよ・・・・・・普通ならば私の肉体に阻まれる筈たが――』
「おあいにく様。その馬鹿力のせいでよく男に逃げられたり同じ女に馬鹿にされたりするのよ」
『フハハハハ、難儀な人生よのう――』
そう言い残してブラックゼリーは消滅した。
「不思議ね。人外に理解してもらえるなんて――まあ、悪い気分じゃないわ」
と、リンディはどこか寂しげに言った。
☆
Side 黒の三騎士 三の騎士
黒いローブの人物――黒の三騎士、最後の一人は眼前の人物と対峙している。
そして眼前の人物も黒いローブを身に纏っていた。
『キサマは何者だ?』
『分からない』
『分からないだと?』
『死んでいるのか、生きているのか、自分が何者なのかも分からない』
そしてローブを脱ぎさる。
『なっ――』
驚愕したのは黒の三騎士の方だった。
現れたのはフルフェイス仕様の黒いレヴァイザー。
黄色いラインが赤になっている。
それ以外は全く同じのレヴァイザーだ。
間違ってもマスクコマンダーではない。
体格的には猛と同じぐらいだ。
『だがやるべき事は分かっている』
そして黒いレヴァイザーは構えた。
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