第十四話「一の騎士VS黒い鳥」
Side 黒崎 カイト
『念のため張っていたら大当たりだったと言うワケだ』
そう言って黒の三騎士の一人に歩み寄る。
『何処の誰とも知らんような奴を相手にしている暇はない!!』
『奇遇だな。俺もだ』
そう言ってカギ爪で黒の三騎士を名乗るローブの人物を引き裂こうとする。
『それがお前の姿か』
『そうだ。黒の三騎士の一人! ブラックジェット!』
まさかまさかの戦闘機型の怪人だったようだ。
戦闘機のような頭部、翼を背負った胴体。
ダークヒーロー然としたシルエットだ。
『ターボオン!!』
そう言って上空に飛び上がり、両腕から光弾を放つ。
『チィ!!』
それを避けるために上空へと逃れる。
『そこだ!』
『なっ!?』
敵は何時の間にか戦闘機形態に変形して体当たり。
地上へ叩き落として再び人間形態へと戻る。
『なんだ? 威勢のいい事を言っていた割にはこの程度か?』
『この程度で調子に乗るな――』
『さて、その虚勢がどれだけ保つかな!?』
そう言って再び、光の弾を放つ。
地上を駆け回り、それを避ける。
『防戦一方ではないか? それともまた空中で返り討ちに合うのが恐いのか?』
『口の減らない野郎だ――』
『ならば力尽くで閉ざせてみせろ!! ほうれ!!』
今度はミサイルが二発発射される。
誘導性能が高く、流石に地上では避けきれずに飛び上がる。
『そこだ!』
そして追ってきたミサイルを手に持った拳銃サイズの武器で迎撃。
爆発する。
『しまっ――』
そして新たに放たれたもう一発のミサイルが着弾。
地面に墜落する。
『この程度か、ヒーロー?』
見下ろすようにブラックジェットが言う。
『この程度かと聞いている?』
重ねて言う。その言葉には相手への侮辱、呆れなどが含まれているように思えた。
『悪いがヒーローになったつもりはないんでな』
『だがキサマは私に手も足も出ないのは変わりはないではないか』
その言葉にカイトは『フッ』と鼻で笑い、よろめきながたも立ち上がる。
『だからと言って逃げるわけにはいかないな。あの意地っ張りな小僧に笑われる』
『意地っ張りな小僧?』
そのワードに引っかかるものを感じたのかブラックジェットは首を捻る。
『・・・・・・俺はずっと――背伸びしていたクソガキだったかもしれねえ。愛していた――アサギが死んでからずっと適当な理由をつけて、やり場のない怒りをぶつけていた――ただそれだけの人間だった――』
ブラックスカルの事件の頃の自分自身を思い出しながら言う。
そしてカイトはは『だが――』と言葉を続けてこう言った。
『この戦いで少しは変われるかもしれねえな――』
どこか晴れ晴れとしたような、そんな気持ちが込められていた言葉だった。
『言い残す事それだけか? ならば死ぬがいい!』
そう言って猛スピードで近付く。
そして背中のウイングを光らせて――
『ウイングスライサー!!』
カイトの胴体を一閃する。
『あんまりこう言う手は使いたくは無かったが――』
『キサマワザと受け止めて――』
ウイングをダメージ覚悟で掴み、ブラックジェットの動きを止める。
『ええい、離さんか!!』
『逃すか!!』
カイトは手に持った銃を至近距離で乱射する。
『こうなれば――』
ブラックジェットも両腕から光弾を乱射。
ノーガードの射撃武器の撃ち合いになる。
『倒れるか!! 倒れてたまるか!!』
『キ、キサマ!? どこにそんな力が――!!』
『ただ意地張ってるだけだ!!』
尚も互いの武器の撃ち合いが続く。
『クソ、つきあってられるか!!』
遂に自らのウイングを切断して逃れる。
しかしダメージが大きいのか片膝をついてその場に蹲る。
『もらった!!』
カイトはバックルベルトに収まったカラスを操作しつつ空中に飛び上がる。
ブラックセイバー必殺技のフェニックスダイブを発動。
黒い炎を身に纏い、さながら漆黒の不死鳥となってブラックジェットに飛び込む。
『ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?』
『受け止めた!?』
しかしブラックジェットはダメージを覚悟でカイトの必殺技を受け止めようとする。
『黒の三騎士――あの御方――ザタリアス様のために――』
『それが――お前達の黒幕の名か――』
『はははは!! 貴様達では勝てんぞ!! 少なくとも俺に苦戦するような奴ではな!!』
そして両者は爆発。
ブラックジェットはその場に倒れ込み消滅。
黒崎 カイトは全身ボロボロで火花を散らしながらも立ち上がる。
ヘルメットも割れながらも肩で息しているような状態だ。
『どうにか勝てたが・・・・・・これ以上は――』
戦闘続行は不可能と言えた。
ふとカイトの脳裏に天野 猛の事が思い浮かぶ。
最初に会った時から気にくわなかった。
だが意地を張り倒して世界すら救ってみせた気にくわない小僧。
「正直言うと嫌だがアイツに託すか・・・・・・」
変身を解く。
黒いコートに逆立った黒髪、二枚目俳優みたいな顔立ちの青年としての姿を晒す。
戦闘のダメージゆえか顔には痣ガ出来て血を流している。
「俺はここでリタイアらしい。マスクコマンダー」
『分かった』
そして何時の間にか後ろに居たコートを羽織る黒いレヴァイザー、マスクコマンダーにそう宣言する。
そして新たに現れたのは――
『来ていたか。Drジャスティス』
『ああ。久しぶりだな――天野 星斗』
Drジャスティスとマスクコマンダーもとい天野 星斗。
両者が対峙する。
☆
Side 黒の三騎士 二の騎士
『フハハハハハハ!! まさか女が相手だとはな』
「あら、不服かしら?」
二の騎士の相手はまさかまさかのリンディ・ホワイト。
女子プロ界女帝であり、最近はチャリティ興業などにも力を入れている女子プロレスラー。
だが見掛けによらずブレン軍襲来当時は今も身に纏っているリングの上と変わらぬ白いハイレグボンテージ風のリングコスチュームを着て学園内で暴れ回り、光線や銃弾を受け止めたり蹴り返したりする超人でもあるのだ。(前作ヒーローロードブレン編、第五十四話参照)
ヒーローを名乗れる資格は十分にある。
『女だからと舐めるなと? その資格があるかどうかはこれから分かることよ!』
そう言ってローブを拭い去る。
『我が名はブラックゼリー!! 黒の三騎士の一人!!』
標準的な成人男性の体系を形取る、黒いゼリーの塊のような怪人だった。
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