第十三話「悪魔の策略」

 Side 天野 猛


 出島と呼ばれる場所がある。


 人口島である天照学園の北東。

 そこにある町のことを指す。


 すぐ近くには自衛隊の天照基地や天照警察署などもあり、隠れた最前線とか国境線とか言われることもある場所だ。


 問題は天照基地は現在完全復旧の目処が立っておらず、法改正も遅れに遅れて未だにデザイアメダルの件には基本対応できない。


 天照警察署どころか警察もロクな戦力がないので学園島任せになっている。

 

 それは出島に限ったことだけではなく、日本全国そんな感じだ。


「なんかアッサリと終わりとましたね」


「うん、そうだね」


 猛と春歌がアッサリとデザイアメダルが片付いて言いしれぬ不安がよぎる。


 そんな時だった。


「あ、アレを見てください!!」


 春歌が天照学園の方に指を向ける。

 

「あれは!?」


 天照学園上空だけに巨大な暗雲が立ちこめている。

 自分達の方の空は現在は晴れ晴れとした空なのにかかわらずだ。


 そして目映い閃光と共に落雷がおちると――


「アレは――バリア!?」


 紫色のバリアが町全体に張られる。

 そして猛と春歌は気づいた。


「まさか――これは陽動!?」


「猛さん、学園が!?」



Side アーカディア司令 大道寺 リュウガ


「状況はどうなってる!?」


 異変に気づいた大道寺 リュウガは叫ぶ。


「学園外部との通信は完全に途絶!!」


「学園外周部はバリアのような物で覆われています!!」


 との事だった。


「クソ、まさかこんな手を打ってくるとは――総員戦闘準備!! 泣き言は言ってられんぞ!!」


「この場所を含めて学園の複数の地点で反応があります!!」


「どこだ!?」


 

 Side 黒の三騎士 


 セントラルタワー。

 かつてブラックスカルのリーダー、ムクロとの決戦地となった場所の屋上。

 そのさらに上空に黒の三騎士達を名乗るローブの人物達がいた。


『この場所を制圧すれば学園島を手に入れたも同然!!』


『つまらん展開だが主の命とあれば我慢もしよう!!』


『この戦い、我々の勝ちだ――』


 そして一気にセントラルタワーへと急降下していくが――


『なに!?』


『バリアだと!?』


 ここでバリアに阻まれる。

 バリアがタワー全体に張り巡らされて内部に突入できない。


『ならば力尽くで粉砕してくれる!!』


『おう!! アレをやるか!!』


『トライアングルクロス!!』


 三包囲に別れて紫色のエネルギー破が打ち込まれる。

 大爆発は起きるも無傷。 


『さあ何度耐えきれる!?』


 だが構わずに再度発射しようとする。

 

『悪いが抜き打ち耐久試験はそこまでだ』


『なッ!?』


 しかし黒の三騎士に挑む影が三つ。


 それぞれが三騎士に挑みかかる。



 Side 黒の三騎士 一の騎士


 地上におっことされたらしい黒の三騎士の一人は悪態をつく。


 他の騎士達も同様だった。


『クソ!? 何奴!?』


『お前を倒す者だ』


『なに!?』


 背後に誰かが立っていた。 


 漆黒の鳥を模したヒロイックなスーツ。


 鋭角的なショルダーパッド。


 戦闘機のウイングの様な背中の羽。


 両手両足に取り付けられたカギ爪。

 

 ロボットアニメのライバルキャラを彷彿させる顔のシルエット。


『キサマは!?』


『黒崎 カイトだ』


 黒崎 カイト。

 またの名をブラックセイバー。

 

 天野 猛と、時には衝突し、時には協力したヒーローが再び戦いの場に現れた。 

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