第十八話「悪の組織部総帥VS黒騎士」

Side 天村 志郎


 黒いスーツ姿の金髪の美少年天村 志郎。

 

 天村財閥の御曹司。


 悪の組織部の総帥。


 揚羽 舞を庇うように眼前のローブの人物の前に立ち塞がる。


「志郎? 大丈夫なの?」


「ええ、それよりも下がってください。状況はある程度把握できています」


 舞は連戦の疲れがある。

 志郎もプリティアによる洗脳騒動でのダメージがあったが幾分か回復している状態であるが、今の舞よりかはマシな状態である。


『もう俺に勝った気でいると?』


 空中に浮かぶ黒いローブの人物が天村 志郎へ挑発気味に尋ねた。

 

「ええ。勝ちます」


『そうか――』


 そしてローブの人物は自らのローブを剥ぎ取る。

 現れたのは赤い双眼に黒い鎧に白いラインが入った人物。

 一種のヒロイックさを感じる。

 SF的な黒騎士と言ってもいい。

 

『ダークナイトとでも名乗っておこう』

 

「そうですか――」


 それに合わせるように天村 志郎は上着の内側からバックルベルトを広げて変身。

 グランドレイダーの時と同じく、ベルゼルオスではなくインペリアスにだ。

 赤い双眼の黒き金縁のパワードスーツ。

 SFチックな銃剣、インペリアスブレイカーも片手に持っている。


 ダークナイトは地上に降りて右の手甲かあらエネルギーの刃が伸びる。

 

 一瞬の静寂――


 舞も緊張しながらその光景を見届ける。

 

 そして――


 両者ともに剣をぶつけ合う。

 時に蹴り、殴り――お互い殺す気の戦い。

 互いの剣戟がぶつかり合い、火花が散る。


『なるほど――人間ながらその若さでよくその強さに辿り着いた』


『お褒め頂き光栄とでも申しましょうか』


『ああ――宇宙警備隊でもやっていけるだろう』

 

 そう言って右手から光線技を放つ。

 単発式だ。

 狙いも正確であり、逃げ道を封じながら着弾に持って行く。


『ぬう!?』


 しかし志郎もインペリアスブレイカーをガンモードに折り曲げてダークナイトを射貫いた。

 ダークナイトは走りながらも志郎に近付くが――


『なっ』


 ダークナイトが避けようとしたときには遅かった。 


 志郎はインペリアスブレイカーの側面にあるレバーを回し、銃剣の刀身部分が発光させて――躊躇わず発射。

 至近距離での大爆発が起きた。


 志郎は地面を転がり、ダークナイトは飛び退いたが地面に片足をついて苦しそうだ。

 無傷とはいかないらしい。

 志郎はすかさず起き上がり――跳び蹴り――初披露の必殺技、インペリアインパクトを放つ。


 相手のダークナイトは両手を独特に交差させて光線技を放ち迎撃しようとするが技を放った時はもう眼前まで志郎は迫っていた。


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』


 むりやり志郎を交戦で吹き飛ばす。


『なっ!?』


 が、その吹き飛ばされた勢いにのって再び志郎は跳び蹴り――インペリアスインパクトを放つ。

 それが胴体に直撃するが、それを後ろに後ずさりしながら受け止めて今度はエネルギーを放出。


 スーツから火花が散りながら志郎を吹き飛んでいく。


「ちょっと大丈夫なの!?」


 流石の舞も心配して駆け寄る。


『まあなんとか――相手もかなりのダメージを負ってますし』


 短い攻防ながら激しい戦いだ。

 

『地球人の少年が――これ程の力を持つに至るとは。成る程、ザタリアスにそそのかされて正解だったかもしれん』


『ザタリアス―それがアナタ達の親玉の名前ですか。それにその口振りかるすると――』


 志郎の疑問にダークナイトはすかさずこう答えた。


『ああ。私はプリティアやDrジャスティスと同じく雇われみたいな身だ。私はただ結果的に力を手に入れられればそれでよかった』


『どうして力を?』


『流石の地球人もブレンの襲来で分かっただろう。正義を成すには絶対的な力が必要なのだ――力が無ければ正義など無いのと一緒だ。私をそれをこの目で目の当たりにした』


『・・・・・・その言い分ですと、アナタは――』


『ああ。宇宙人と言う認識で構わない』


 その一言で志郎だけではない。

 舞も。

 司令分の人間も驚いた。


 ブレンと言う先例もあるし、異世界人まできたが、やはり宇宙人と接触するというのは志郎を含めて地球人としてまだまだ驚きを隠せないものがある。


『もっともザタリアスは地球人でありながらあの境地に至ったがな・・・・・・』


 そう言って空中に浮き上がる。


『奴も勘づいているがDrジャスティスもプリティアも内心では奴を出し抜こうと考えている。そしてザタリアスもそれぐらいの事は理解している』


『どうしてそれを教えてくれるんですか?』


 志郎は疑問に思った。


『さてな・・・・・・』


『アナタはもしかして――そんな悪い存在では――』


『正義の味方だったのは遠い昔の話だ――今はダークナイトだ』

  

 そう言って空中に飛び去った。


「志郎大丈夫なの?」


『短い攻防でしたが――此方も相当ダメージを負いました。あの続けていたら間違いなくどちらかが――いや、自分が死んでましたね』


「冷静にそんな事言う!? あんた病み上がりなんだから無茶しないで!!」


『はははは。そこは申しわけないですね』


☆ 


 Side ホーク・ウィンドウ


 避難施設として解放されている天照学園のドーム前。

 そこでホークとハヤテの二人は謎の黒いローブの人物と対決していた。

 

『何時までもローブ被ってないで姿を現しやがれ!!』


『そうだな――』


 何度かホークと激突して重量級なのは分かっていた。

 だが相手は一向に姿を現さないので痺れをきらしてそう言った。


『俺の名はブラックフット!! ザタリアス様の戦士の一人!!』


『おいおいマジかよ・・・・・・』


 アメリカンフットボール。

 略してアメフト。

 産まれ故郷で人気者になるためのスポーツ選手を模した怪人が相手だとは何の因果だろうと思った。


 そして高速で激突しているハヤテと対決している黒いローブの人物。

 此方はスピード型であるのは何となく理解していた。


『あちらも姿を現したか。なら俺も姿を現そう』


『・・・・・・』

 

 そしてハヤテと相対していた黒いローブの人物が姿を現す。

 

『俺の名はブラックジャガー!! ザタリアス様の戦士の一人だ!!』


 黒く、そして斑模様の凶暴な猫科動物ジャガーの怪人だった。 

 大きな四本の爪を持ち、ハヤテに襲い掛かる。

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