第二十八話「合宿の終わり、はじまるトーナメント」
Side 倉﨑 稜
夜中。
夜空を見上げて稜は思う。
合宿期間中、ただ身体を鍛えるだけでなく、授業なども行われた。
僅か数日間の合宿。
だけど濃厚な合宿だったと稜は思う。
空を飛べるようになったり。
光線を放てるようになったり。
気配を消せたり、気を読めるようになったり。
人間の可能性や素晴らしさを体感した。
そして宮園 恵理には「それは違う」と突っ込まれたりもした。
稜には分からなかった。
☆
Side 天野 猛
合宿の終わりの翌日。
早朝。
旅館から少し離れた採石場のような場所。
猛はレイと軽く手合わせしていた。
最初の頃に比べて大分マシになったと猛は思う。
「あっと言う間に過ぎたがトーナメントで会おう」
「あ、出場するんですね。トーナメント」
「まあな――こんなビッグイベント逃す手はない」
との事だった。
猛は「相変わらずだな」と思った。
☆
身体を休めるためにゆっくりするヒーロー部と悪の組織部の面々。
猛は気晴らしに自宅でネットを繋いで見てみると盛り上がっている様子だった。
ヒーロー部や悪の組織部だけでなく、自分が知らないような様々なヒーロー、変身ヒロイン達が予選でぶつかるそうだ。
ヒーロー部と悪の組織部の面々はいわゆるシード枠で本線に出場決定らしい。
組み合わせはまだ未発表らしい。
これから待ち受けるトーナメント。
どうなるかは分からない。
正直不安な気持ちで一杯だった。
それでも何処までやれるのか確かめたい。
そんな気持ちも強かった。
☆
=トーナメント翌日=
あっと言う間にトーナメントの日。
朝から人でごった返している。
場所は天照学園内にあるドーム。
ザタリアスとの戦いでホークとハヤテが戦った場所でもある。(本編、第十八話ラスト~第十九話参照)
満員となり、様々な少年少女のヒーローが大舞台に上がる。
特に人気があるのが女性ヒーローだろう。
本当にこれヒーローなの? みたいな露出度の高い恰好をしている子達もいる。
一応厳重な審査もしているらしいので大丈夫だとは思うが不安であった。
天野 猛たち、ヒーロー部や天村 志郎たち悪の組織部はVIP席。
バトルフィールドとなっている舞台の近くで観戦する事になっていた。
衆人観衆の前でこの位置は恥ずかしいと思うが今から慣れておかないと猛は自分に言い聞かせた。
『どうも悪の組織部の島田です! ただ今より、ヒーロー部、悪の組織部の合同トーナメントを行います!』
『同じく悪の組織部の木下です! なお、ヒーロー部や悪の組織部以外の参加者は厳重な審査の上で予選に参加する権利を得ていますのでご安心ください!』
『こちら審判役の吉井です! ルールはとにかく人数制限までに舞台から落っこちたら負けのバトルロイヤル方式となります! なお、あまりにも残虐非道なファイトは失格判定としますのでご注意ください! 以上悪の組織部三人娘でした!』
と、自己紹介をしながら悪の組織部の三人娘が解説を行った。
『それではカウントよろしくお願いします!』
そしてモニターにカウントダウンがはじまる。
それぞれの選手が立ち位置を。
中には空中に逃れる選手もいた。
『では試合スタートです!』
ゼロになり、戦いがはじまる。
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