第十話「問坂 ユウギ」
Side 王渡 志輝
漆黒の空間。
巨大な闇が支配する場所。
そこに王渡 志輝がいた。
他にもDrジャスティスなどもいる。
『独断専行だったな』
この場の支配者が言うが――
「どうするんですか? 私を処分するつもりで?」
『そのつもりはない』
「おや? 組織運営でそんな甘ったるいこと言っていいんですか?」
『ならば――』
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
王渡 志輝に文字通り、紫色の電流が走る。
『これで文句はあるまいな?』
「え、ええ――」
体中から煙を出しながら王渡 志輝は笑みを持って返す。
『次の手だが・・・・・・』
「私の手駒を一人差し向けました」
と返す。
『ならば我々も―動きましょう』
新たな影が三体現れる。
三体ともローブを身に纏い、上手い全体像が分からない。
『黒の三騎士か』
黒の三騎士そう呼ばれた彼達は
『われら黒の三騎士――その力を存分に振るいましょう』
そう返して跪く。
☆
Side 天野 猛
夜が明けた。
連戦続きだが体を休めなければならない。
緒戦からヒーロー達が洗脳されると言う事態。
学園都市全体だけでなく日本の首都圏まで戦場になったと言う事もあって学園都市は現在全体で休校状態だ。
猛もベルトをアーカディアに預けてベッドで休んでいる。
傍には春歌がいた。
「てなわけで絶対安静ですからね?」
「うん――でもいざとなったら」
「本当は戦って欲しくないですけど、私一人では力不足ですから――」
「それは――」
春歌は突発的な爆発力を発揮する場面があるが実力的にはヒーロー部の中では劣る。もしかすると最弱かもしれない。
それは猛も知っていてよく相談された。
「でも、そうも言ってられません。いざと言う時は私一人でも頑張ります」
「無理しないでね」
「はい。なんなら特撮トーク耐久レースにも付き合いますよ?」
「そう言われるとなんかしにくいな」
色んな人に注意されて最近は猛も気を付けており、そう言われるとやりにくい猛だった。
それに今のシリアスな空気でやりたくないと言うのも猛の本音だった
「こんな時に警報!?」
「――本当に連戦続きだ!! とにかく戦わないと――」
そう言って猛は起き上がろうとするが上手く体が動かせない。
「やはり体に無理が――」
「そんなことは――うっ――」
猛はどうにかして立ち上がろうとするが思うように体が動かせなかった。
(昨日の戦いで無茶したからな――)
昨日の連戦は想像以上に体に負担が掛かっていたようだ。
悔しいがこれでは戦いたくても戦えない。
☆
Side 城咲 春歌
襲撃者は再度アーカディアを狙ってきているらしい。
揚羽 舞も迎撃に出ている。
「私の二人だけなんてね」
「ええ――猛さんの分も頑張ります」
春歌は猛の悔しそうな姿を思い出しながら言う。
「無理しないでね――」
そしてアーカディアの本部前の広間に現れたのはデザイアメダルの怪人。
これは分かる。
だが中央にいるのは――
「子供?」
春歌は首を捻る。
相手は華奢な体格の子供。
防止を反対に被り、ショートポニーのヘアースタイル。
袖のないベストにGamerと刻まれたシャツ、指だしグローブに短パン、スニーカー、背中にリュックサック。
見掛けに反して垢抜けている感じだ。
「あの子って確か、eスポーツ業界で有名な子よ」
「知ってるんですか先輩?」
「ええ。問坂 ユウギ。天才プロゲーマーよ。ついでにヒーローでもあるんだけど」
と舞が解説するが。
「ヒーローになった覚えなんてない」
と、冷徹にユウギは返す。
「王渡 志輝は世の中は蹴落とすか蹴落とされるかと言った。僕は世の中はコンテニュ―が出来ないゲームみたいなものだと思っている」
「なにを言って・・・・・・」
洗脳されている様子はない。
だが王渡 志輝と同じで何かが根本的におかしい少年だった。
「僕はアイツに負けた。だから今はアイツに従う。変身」
そう言って彼はバックルベルトを巻きつける。
同時に携帯ゲーム機のようなデバイスを装着する。
デバイスの画面にGAME STARTと言う文字が表示され、彼は変身する。
そして変身した。
戦国武将を思わせるような二本角に三日月の兜飾りを持つ戦国武将然とした赤いヒーローみたいな姿に。
手に槍、腰に刀を下げている。
『レベルはMAX。油断すると死んじゃうよ?』
「「!?」」
そして問坂 ユウギが襲い掛かった。
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