ザタリアス編
第一話「新生ア―カディア」
Side 天野 猛
天野 猛。
天照学園中等部の二年生。
金髪のショートヘアーで可愛らしい中性的な顔立ち。
華奢な体格。
軽く女装したら性別が見分けがつかなくなる。
性格は明るく、人懐っこいところがあるが無類のヒーロー好きで語り出したら止まらないと言う悪癖がある。
しかしそんな彼の正体は――
「変身、レヴァイザー!!」
場所はとある企業が保有する工場。
夜の空を炎で赤く染め上げる程の大惨事。
工場の彼方此方では人を怪物に変えるデザイアメダルの怪人だらけになっている。
それをどうにかするために天野 猛は青いメタルヒーロー風の戦士、レヴァイザーに変身して戦う。
徒手空拳で次々と殴り倒す。
傍にはピンク色のレヴァイザー。
体を覆う落ち着いた色合いのピンクのベーススーツ。
ミニスカート。
胴体のプロテクター。
バックルのデザイン。
左側についたホルスターの銃。
左腕のハートのブレスレット。
戦乙女の羽根飾りのようについた白い布。
名を桜レヴァイザーこと城咲 春歌――猛と同じ中等部二年生で幼馴染みの少女も戦っている。
普段は長い黒髪の可愛らしい美少女だが彼女も猛と同じく宇宙人から世界を救ったヒーローの一人だ。
まだ中学二年生でも立派な戦士として成長している。
「これぐらいなら私でも!!」
次々とサクラブレードや左腰のホルスターに収まっていたハートブラスターでデザイアメダルの怪人達を撃ち倒していく。
「春歌ちゃんも頑張ってるね――なら僕も!!」
それを見て猛もフォームチェンジ、赤いレヴァイザーことフレイムフォームとなって同時に出現した剣、バーニングエッジで次々とデザイアメダルの怪人を斬り倒す。
デザイアメダルの怪人は人に取り憑かなければそんなに手強い相手ではないが、そうでない場合は厄介な敵となる。
事実、そうなったと思わしき人間は少なからずいたが――
「でやぁ!!」
気合一閃、春歌は斬り倒して爆散させ、メダルを破壊して取り憑かれた人間を救出する。
先も語ったが猛と春歌のペアは様々な事件、宇宙人の打倒に尽力した戦士である。
暴走して人間に取り憑かれたデザイアメダルの怪人相手など、どうってことはない。
☆
昨日の夜に起きた事件の真相はこうだ。
あの工場、密かにデザイアメダルを製造していたが何らかの手違いでそのメダルが解き放たれて大惨事を招いたと言うのが真相だ。
こう言う事件が起きるたびに"ブラックスカルの置き土産"として日本政府は叩かれる。
なにしろこう言う事件が起きる下地作り行ったのは日本政府なのだから。
さらに追い打ちをかけるように政治的、社会的に独自の力でこの手の超常的な力が関わる事件を独自に解決できないと言う状況に陥っている。
なので日本政府は勝手に敵視している天照学園に協力しているのが実状なのである。
それはそうとアーカディアの訓練場。
そこに司令――大道寺 リュウが長官がいた。
背丈も体格もしっかりしている。
ブラウンのヘアーでサングラスをつけて髭を生やしたOTONA。
本人はデスクワークよりも現場派らしいのだが一応立場を弁えているので司令部で大人しくしている。
だがその反動か訓練にはしょっちゅう顔を出す困った人である。
猛と春歌はそんな司令と対峙していた。
「さあ!! 遠慮無く掛かってこい!!」
「た、猛さん――」
「春歌ちゃん。本気でいかないと逆にケガするよ!」
「そうなんですけど――はあ・・・・・・長官と戦うよりも実戦の方が楽に感じるようになってしまいました――」
春歌は溜息をついた。
大道寺 リュウガ。
生身で変身したヒーローを倒せるOTONA。
どっかの世界のOTONAと色々気が合いそうだ。
たぶんこのOTONAの周りにOTONAなNinjaとかいたりするんだろう。
☆
戦いは一進一退の攻防――司令である大道寺 リュウガが相手に合わせて加減しているのもある。
だが徐々に大道寺 リュウガがペースを上げていき、猛達は追い詰められていく。
(バニシングフォームは使用禁じられてるし――ヘタなフォームで戦えば直ぐに対応される――春歌ちゃんと一緒に戦うしかない)
などと考えながらフォームチェンジを上手く切り替えつつ戦う。
春歌はそれを支援する形で。
「そうだ!! その息だ!! 君達はまだまだ強くなれる!!」
そして大道寺 リュウガは少年少女の頑張りに年甲斐も無く笑みを浮かべてヒートアップしていた。
☆
結論から言って大道寺 リュウガは強かった。
てか強すぎた。
パワードスーツと普通に殴り合えるパワーと頑丈さにスピード、跳躍力。
気の力とかで剣とか光線銃とか普通に弾いたり、受け止めたりする肉体。
必死こいて猛と春歌は戦ったのに長官は「ははは、ちょっと手加減間違えたかな」などと笑っている始末だ。
長官曰く、その気になればJOKERやマスクコマンダー、リンディ・ホワイトも同じようなことが出来るらしく、自分の周りには人外は多いらしいと猛は思った。
同時にその人外枠であるマスクコマンダーを一度退けたムクロ――ブラックスカルのリーダーのヤバサが改めて理解できた猛であった。
「猛さん――玩具屋にはちゃんと行くんですね」
「うん、まあね」
彼氏とのデート感覚で学園都市内部にあるおもちゃ屋に付き合う春歌。
そこにはレヴァイザーや桜レヴァイザーだけでなく、自分達が知っているヒーロー達の玩具が販売されていた。
これも猛達が考えた、宇宙人に荒らされた復興支援策の一環の一つで売り上げはとてもよい。
それはそうとヒーローグッズを見て回ったり買い漁ったりするのは猛の趣味である。
わりと友人や司令と鉢合わせするがその時はその時である。
「こうしてると、また大きな戦いが来ないといいなって――思う時があるんだ」
「猛・・・・・・さん?」
「だけど、来るんだよね――」
「ええ――」
春歌も表情に影を落として同意した。
先日は宇宙人ではなく、日本政府が仕組んだテロをアンドロイドが乗っ取る形で引き起こされた事件だった。
その首謀者は未だ行方知れず。
大きな戦いは着実に迫っていると言えた。
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