第二十六話「合宿」

 Side 天野 猛


 悪の組織部や他の部との合同でのチャリティ活動が続く中、合宿することが決定した。


 と言っても天照学園の隣の島。


 天照島。


 人工島である学園島と呼ばれる場所の西側に存在し、橋で繋がっている。


 世界樹と呼ばれる巨大な大樹が存在し、緑豊かな島で戦闘訓練をするそうだ。


 本当はビフレスト王国や科学都市、武術都市、軍事都市などの国外なども考えられたが政治的な都合やら何やらで近隣の天照島になったのだ。


 付き添いでリンディ・ホワイトやマスクコマンダー、嵐山 蘭子先生などが同行する。


 グレースはともかく森口さんは最近姿を見せない。

 

 アーカディアの方でも捜索しているらしいが行方が掴めないそうだ。

 

 心配ではあるが自分達の問題――強くならないといけないと思った。


 ブレン戦でもザタリアス戦でも奇跡が起きて勝ったような物だ。


 そう何度も奇跡は起きないだろう。


 旅館のような場所に宿泊し、早速訓練を開始する。


「レイさん――」


「よっ。久しぶり――でもないか?」


 レイ・シュナイダー。

 猛と違い高校生。

 金髪で金色の瞳の青年。


 学ラン仮面と言うローカルヒーローであると同時にシャインブレードと言うメチャクチャ強いパワードスーツを保有している。

 

 隣にいる城咲 春歌や揚羽 舞、姫路 凜も緊張した面持ちだ。


「んで? こんな開けた採石場みたいな場所で何をやるのかしら?」


 と、代表して揚羽 舞が尋ねる。


「気の使い方をマスターしてもらいます」


「つまり人間をやめろって事ね」


 レイの意見を姫路 凜は簡潔に解釈した。


「大丈夫だ。人間は頑張れば空を飛んで、光線撃てるようになって生身で宇宙空間とかいけるようになるから。リンディさんとかそんな感じだし」


「ただの人体改造って言わないそれ?」


「てかリンディさんって何者なんですか・・・・・・」


 舞の突っ込みに春歌の疑問が続いた。


「まあヒーロー部と悪の組織部で合同トーナメントとかもやるんだろ?」


「まあチャリティも兼ねてね」


 凜が答えた。

 

 そう。

 ヒーロー部と悪の組織部でチャリティの一環としてトーナメント形式の試合をやる事になった。


 場外あり。

 10カウントダウンKO。

 3ノックアウトKO。

 ギブアップあり。

 噛みつき、目つぶし、金的禁止などで行われるらしい。


 主催者はアーカディアや天村財閥、宮園財閥などが絡んでいる。


「日が少ないし――取りあえずやろうか?」


「はい!!」


 猛は元気よく答えた。



 Side 倉﨑 稜

 

 一方で悪の組織部はと言うと――

 

「今回の合宿、新入部員の体験入部とかも兼ねてるんですね」


 体操服姿の倉﨑 稜は気の操作を体内であれこれと試しながら、同じく隣にいる体操服姿の天村 志郎に尋ねる。


 眼前ではホークやハヤテなどが新入部員を揉んでいる最中だった。


 この合宿の話を聞きつけたのか風紀委員の面々などもいる。

 何気に村雲 炎華など、多くの読者には「誰それ?」的な懐かしキャラも混じっていた。


「いや~まあ、本当は歓迎会も兼ねようかなと思ったんですけどスケジュールの都合でこうなっちゃいました」


「お疲れ様です」


「それはそうと、宮園さんは?」


「後からなんとしても来るそうです」


「そうですか~」


 ふと周囲を見渡してみる。

 やはりと言うかホークさんがとても気合が入っている。



 Side 大道寺 リュウガ


 一方でアーカディアの司令。

 大道寺 リュウガはと言うと――


「合宿、参加したかったな・・・・・・」


 などと司令室でぼやいてオペレーター達を苦笑させていた。

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