第三十話「決着、バトルロイヤル」
『制限人数も残り僅か!!』
『既定人数に達したところで試合終了となります!』
島田さんと木下さんの実況通り試合時間残り僅か。
その中には見知った顔もあった。
「見てください! 友香ちゃんに葵ちゃんもいます!」
「本当だ!? 桜レヴァイザータイプのスーツ着てる!?」
ザタリアスの事件で洗脳されて戦った春歌の友人達だ。
あの事件の後に密かにスカウトされた感じだろうか。
ここまで残るとは大健闘だろう。
このまま本戦出場出来ればいいのだが――
『柊 友香選手!! 橘 葵選手!! ともに失格!! 悪の組織部のミスティ・ホワイト選手――なんとあのリンディ・ホワイト選手の妹さんのようです!!』
無情にも審判役の吉井さんが失格を告げる。
純白のパワードスーツ。
水色髪のツインテールと口元が露出している。
肩のプロテクターにハイレグボンテージ型の胴体、グローブにロングブーツと言う組み合わせのパワードスーツを身に纏っていた。
「リンディさんに妹さんいたんですね」
「みたいだね・・・・・・」
春歌の言葉に猛は力なく応えた。
『ジュディ・ライアー選手もアウティエル選手の攻撃を受けて舞台外に墜落!!』
『ここで既定人数に到達したため、試合終了となります!』
審判役の吉井さんの実況を引き継ぐように島田さんが試合終了を告げた。
『アウティエル、レイ選手、先の事件で活躍したブラックレヴァイザー選手も勝ち残りましたね』
『だけど新たな新人が現れたり思わぬ人物が決勝リーグに上がったりと中々先が見通せない展開になってまいりました』
島田さんの感想を補足するように木下さんが感想を述べた。
確かに想像だにしない実力者が現れたりして驚いた。
本当にどうなるか分からない展開になってきた。
『最後に参加選手達に今一度拍手をお願いします!』
『素晴らしい戦いをありがとうございました!』
島田さんと木下さんの呼びかけにドーム内は大歓声で包まれた。
☆
Side 犬井 健太
正直言うと何が何だかである。
ただレイと言う人物相手に健闘したとの事で祝われてしまった。
なんか複雑な気分である。
昔からキレちゃうと記憶がとんじゃう・・・・・・周りの話によると人格が変わっちゃうらしいのだが。
失格したけどこれ以上恐ろしい目に遭わないと思ってホッとしている反面、このままでいいのかなとも思ってしまう。
☆
Side 柊 友香
友香は葵と一緒に二人、人目を忍んで友香の部屋で残念会をやっていた。
涙を流していた。
特訓して頑張っていいところまで行ったのに敗退である。
葵も悔しそうだ。
同時に自分達が目指そうとしている場所の厳しさを垣間見た。
だけど今は泣けるだけ泣いておこう。
そうすることにした。
☆
Side ジュディ・ライア―
本当はリンダと一緒に本戦に出場したかった。
だけど本物のヒーローは強かった。
二人がかりでも勝てなかった。
とても悔しいけど、リンダに託すことにした。
控え室でその事をリンダに告げる。
「本戦でも頑張ってくだサイ」
「キュー・・・・・・任せてジュディ」
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