第八話「本部襲撃」
Side 天野 猛
揚羽 舞。
城咲 春歌。
天野 猛。
この三人は本部で念のためにメディカルチェックとなった。
そして念のためにと本部で泊まることになる。
今は猛と春歌の二人きり。
状況が状況なので二人ともシリアスなムードだ。
「しかしこんな事になるなんて」
「・・・・・・この戦い乗り越えられたら強くなる必要があるかもしれないね」
「え?」
猛の一言に春歌は首を傾げる。
「Drジャスティスと戦って思ったんだ。このままじゃいけないって。本当はブレンの時から思ってたんだけど――そんな暇中々取れなかったから」
「・・・・・・うん。猛さんの気持ち分かります」
「だけど今は今のままでどう乗り越えるかに集中しよう」
「は、はい」
そしてアラートが鳴り響く。
『本部に襲撃!! 非戦闘員や怪我人は避難を――戦える者は――』
同時にアナウンスが流れる。
「こんな時に!?」
「こんな時だからこそ仕掛けて来たんだと思うよ!!」
と猛は返す。
☆
アーカディアの本部前で既に戦いは始まっていた。
軍用パワードスーツ、ラウンド・ウォーリアー「ブレイバー」やアサルトライドなども投入されている。
揚羽 舞は司令曰く、『すまん。他の場所の周りに回ってもらっている!! 二人だけで持ち堪えてくれ!!』との事だ。
どうやら猛は春歌と二人でこの困難な局面を乗り切らないといけないらしい。
そして敵は――
「デザイアメダルの!?」
雑兵扱いであるソルジャーメダルを中心とした部隊だ。
怪人タイプ二体。
さらに――
『ハハハ!! 流石の新生アーカディアもこのタイミングではこんな物か』
白銀の騎士の様な背格好。
額に金色のV字アンテナ。
ツインアイのフルフェイスヘルム。
赤いマントに銀色の剣に盾。
腰にはベルトを巻いており、バックルには騎士の模様が描かれた黄金のメダルが刻まれている。
一見すると洗脳されたヒーローの一人にも見える。
背格好もヒロイックな外観だ。
声からして自分よりも年上の少年だと思った。
いや、それよりも――
「王渡 志輝!?」
猛はそいつの存在を知っていた。
春歌は「知ってるんですか?」と尋ね返した。
『おやおや、天野 猛と城咲 春歌のペアが来たか――』
シールドを持った方の手を上げて攻撃をストップさせる。
彼方も当然、猛や春歌を知っている様子だ。
「アナタは何者なんですか?」
『少々複雑な立場だったけど今はDrジャスティスやプリティラと一緒に行動しているよ。その方が面白そうだからね』
「お、面白そうだから?」
その答えに春歌は思わず困惑した。
『そうさ!! 私はね? 今の世の中が退屈で退屈で仕方なかったんだ。裏で色々とやらせてもらったが・・・・・・まあ私の望みはただ一つ』
そして彼は言った。
――自分を含めて誰もが平等に潰し合う地獄のような世界を作り出すことさ。
一瞬春歌は何を言っているのか分からなかった。
この場にいる人間も。
そしてある程度、王渡 志輝の人物像を知っている猛でさえもだ。
『平和の世の中だろうと戦乱の世の中だろうと人間の人生は潰されるか潰されないかだよ。私はもっとそれを過激にしたい! それを見てみたい!』
「正気ですか!?」
春歌の言葉はその場にいた人間の気持ちの総意だった。
狂っているとしかいいようがない。
だが王渡 志輝は『そうだがなにか?』と返してこう続けた。
『だからデザイアメダルをばらまくのにも協力したし、ヒーローフェスタの時も裏で手を回したし、そして今回の事件にも色々と協力させてもらったよ! ああ、これはネットに生中継してもいいよ。そうでなければフェアではないしね』
「な、なんですかアナタは――」
春歌は異常としか思えなかった。
知れば知るほどそう感じてしまう。
「春歌ちゃん。たぶん理解できないと思うよ」
「猛さん・・・・・・」
諦めたように猛が春歌に言う。
『ああ、それが普通の反応だ。じゃあ、そろそろ殺し合おうか?』
「来るよ!!」
「ッ!!」
そして王渡 志輝との戦いがはじまった。
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