第15話 私には予定なんてものはございません!!

 鮭定食をおばちゃんから受け取りお金を払ってから戻ります。

 少々、いやかなり迷った末に、灯里様の前の席に座りました。


 ああ……私、こんな贅沢な場所に座ってもいいんでしょうか……!!


「ああ、先にこれ」

 

 灯里様は財布から2000円を取り出して私の前に置きました。これは……?


「スポドリとタオルと親子丼代だ。これで足りるだろ?」


 いえいえいえ!! 正直いりま……いや、お代は貰いますけど!! でもこれほとんど2倍じゃないですか!?


 レシートを取り出し確認します。やっぱり……!


 お釣りを取り出し渡そうとしますが……


「いらない。……安心してくれ。これは僕が稼いだ金だ。親からのじゃない。

お釣りは……そうだな、手間賃とでも思ってくれ」


 ……えぇ!?


 スポーツドリンクを買って、夜食のお使いしただけなのに……!?


 ……う……受け取ったほうがいいのかな……?


 灯里様はじっとこちらを見ていて、どうやら回収するのを待っている様子です。うっ、キラキラがっまぶし……!!


 ……一応受け取っておいて、保存しておこう。

 

 2000円を受け取って、財布に直します。間にレシートを挟み、分かりやすくしておきました。灯里様からいただいたお金……これは、家宝もんだ……!!


「それで、食べる前に予定についてだけど……」


 あの……それは、あの、ちょっと言いづらいんですけど……。


「私……特に予定、無い、んですよね……」


 罪悪感やらで目を合わせられなくて、窓の外を見ました。


 本当にっ、すみません!! 正直そちらの予定メールか電話で教えてもらうだけで済んだんです……!! 


 でも!! 灯里様と一緒にご飯を食べれる機会、手放せっ、なかったぁ……!!

 

 はい、私はアイドルを仕事相手として割り切れない人間です……!!  私欲やらなんやらを置いておけないんです……!!


「……そうなのか?」


 少しきょとんと、無自覚か、こてんと首を傾げて灯里様は呟きました。カワッ……!! ッ可愛すぎませんか……!? ギャップ、ギャップゥゥゥ!!


 やっぱこの人地上に舞い降りた天使ですって!! 天使の生まれ変わりですって!! 


 ……とりあえず、拝んでおきました。



 

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