第11話 食堂で食べるだけにしてはやり過ぎでは……?
ふわふわとした足取りで自室へ向かいます。
私が、灯里様と……お食事……?
信じられるわけがありません。ていうか本当に今日私の命日では……?
喜びより先にこれ現実じゃないんじゃないかって気持ちが強すぎて、でも、どんどんとこれが現実であることが理解できてきて……。
マジか。
………マジか!?
やっと理解できて色々爆発しそうになりました。
ウヒョォォォオオ!?
ご飯!? ご飯!?
何持ってこう! 服装は……いや多分気づかれなさそうだけど!! でもどうしよう!! あ、色紙持っていきましょうか!?
サイン!! 頼んだら描いてもらえますかね!? いや、強欲すぎる!?
ファンに刺殺されないかも心配ですが、それを上回るレベルの歓喜。
何回目かも分かりませんが、アイ育ファンの皆様!! すみません!! 私に予定なんてものはありませんが!! ですが!! 行ってきます!!
少しゲスな思考になりながらも周りから見ても完全にウキウキして……スキップしながら部屋へ向かいました。……誰1人、そんな私を気にしないのはさすがというかなんというか……もうやっぱり私透明になってるんじゃ?
まぁでもいいんです!! それより服装どうしよう!! あ、杉原ちゃん!! 杉原ちゃんに頼もうかな!?
「杉原ちゃぁぁぁん!!」
私は杉原ちゃんの部屋の扉をノックしました。
――これは、どうなんだろう。気合い、入れすぎでは……?
「よーし、できた!!
時間が少ないから簡単なメイクしかできなかったけど、やっぱりトーカは映えるパーツしてると思ってたのよね〜」
杉原ちゃんにカクカクシカジカと話すと、ドレッサーみたいな所に座らされ、ワクワクした表情で色々とされて──。
もう、誰だってレベルの、この30分ほどでかなりのイメチェンをしてしまいました。
何か目、ぱっちりした気がする……眉毛シュッとしたし……ほっぺも少し赤くなった……。自分で言うのもなんだけど可愛い……けど、これ、ただ食堂で食べるだけでこれってやり過ぎでは……? いや、私の地味パワーで相殺されて気づかれない……?
服装も可愛くて……何か……デートっぽい……。私の服、組み合わせでこんな変わるんだ……。
でも、これってイタいファンみたいでは……と思いながら杉原ちゃんを見つめると、彼女はやりきった、みたいな表情をしていました。
あ、杉原ちゃんが満足したならそれでいいです……! 私もまんざらでもないし、印象は良くて悪いことはないですもんね!!
「もうすぐ時間でしょ? 早く準備して行ってきな!! 大丈夫、トーカは可愛いから!!」
そう杉原ちゃんは背中を押してくれます。
…………可愛い……ちょっと嬉しい。
分かりました、行ってきます……!!
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