第17話 尊いがハリケーンを起こしてますよ!!

「……紗貴さき?」


 むーっとした表情で灯里様を見つめるのは、サラサラボブな金髪に長いまつげの下のまあるいスカイブルーの目と、まるで童話から飛び出した王子様のような美少年。


 イラストでは瞳に星が浮かんでいましたが、さすがに現実版リアルでは無いみたいです。


 さ、サキサキ……いえ、雲ヶ先くもがさき 紗貴さき様!?


 言わずもがな、アイ育キャラ、雲ヶ先くもがさき 紗貴さき様がそこに立っておられました。


 はぁぁぁぁぁぁ!? なにこれ!! 尊さの極みですか!? かわっ、きれ、ナニコレ!? この世の全ての美しさと可愛さを凝縮したんですか!? 


 てかハァ!? 灯里様と紗貴様が視界の中で一緒に……尊すぎる!! ここのッ、ここの2人はヤバイですって!! いえ、どなたでもヤバイんですけど、ここは特に!! 私の中で尊さのハリケーン吹き荒れてます!! しかもその勢いに海水が舞い上がり…、これは、虹!? 虹が浮かび上がっている!? 


 なんて、私の脳内は半分キレ気味に荒れ狂っている訳ですが、目の前のお2人にはそんなこと関係ありません。


「探したって……お前、今日は用事があるって言っておいただろ……?」


 それにいつも偶々会うから一緒に食べていただけだし……と、ムッと顔をしかめる灯里様。尊い。


「トモリ、冷たいです……。それに僕はわざわざ届け物もしにきたんですよ?」


 はい、と灯里様にペンを渡す紗貴様。ふわり、でもどこか自慢げに微笑んだ姿は天界からこの世に遣わされた天使としか言いようがない。尊い。


「……! 僕の……」


「ふふっ、前一緒に買いに行きましたよね? それも期間限定。こんないい趣味のボールペン持ってるの、トモリだけでしょう?」


 キモカワと今女子高生に話題沸騰中な『うさポン』のボールペン(しかも期間限定らしい)を「……ごめん、ありがとう」とどこか申し訳なさげに受け取る灯里様……。


 尊いッ!!!!!!


 尊すぎる!! 何なんですか!? 可愛すぎませんか!? 何この2人今すぐパシャリたい!! そして待受……はバレたらかなりマズいので駄目ですが永久保存フォルダに!! いや、でもこの空間をシャッター音で台無しにしてはいけない、目に、目に焼き付けるのだ!! 私ぃぃぃぃぃい!!


 てか灯里様意外とそういう物キモカワ系がお好き!? 本当に!? 貴方様は本当にっ私をギャップで萌え殺す気ですか!? 本望ですよっ!!


 目の前のいろいろが尊すぎて、これまで感じていた何もかもが吹き飛びました。自分は本当に透明人間で、何も関係の無い傍観者のように感じていました。


 ですが――。


「それでトモリ、その人は……?」


 その声と感情を忘れたかのような青い目に、ハッと現実に戻されました。


 ああそうだ、これこそが雲ヶ先 紗貴このキャラを引き立てる味。


「ん、ああ、小崎。僕の今期のプロデューサー役だよ」


「そうですか。僕は雲ヶ先くもがさき 紗貴さき、トモリの親友です! はじめまして、オサキさん」


 こちらに向ける笑顔は先程までの心からの笑みとは違う明らかに営業スマイルで、ア、でもさすが、とんでもなく天使!! 可愛すぎ……私、自己紹介されている……!?


「わ、わ、私は小崎 透花と言います! こちらこそ、はじめまして……!?」


 どもりつつも言うと、微笑みを返して貰えました。こちらも営業スマイルでしたが……充分にッご褒美です!!


 ……まぁ、ここまで来たら察している人も居るでしょう。


「それで……トモリとは何をして……?」


 空のような色とは正反対な、深海から除くような暗い目。


 この方、灯里様LOVEの、灯里様に対するヤンデレキャラなんです。


 …………最高かよ!!!!







 

 

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