第16話 さすが売れっ子、予定詰まってますね!!
「……? まぁ、話を戻そう。これが僕の予定だ」
灯里様はサッとスケジュール帳らしいものを取り出しました。
ふぉぉぉお! 灯里様の! スケジュール帳!!
星柄と紫ラインの入った、予想以上に可愛いデザインに……萌えがッ萌えが止まりません!! 私の脳内本能寺!? 本能寺ばりに
……なんてふざけた事を考え始めたあたりでふと冷静になりました。
そういや、珍しいですね? この時代、っていうかこの学園において、スマホにスケジュール管理アプリ入ってるのに、それを使わず持ってるとか……。
「……あの、スマホと別にスケジュール帳持ってるんですね……?」
気がつけば興味に駆られ、その言葉が口からこぼれていました。ハッ、私、灯里様に話しかけて……ッと気づいたときにはもう遅い。
「ん? ああ、スマホの方も使っているさ。
ただ、電源が切れた、壊れた、とかそんなことがあったら終わりだろ? それに書いたほうが頭に残るし、通話中は見れないし、こういう時に見やすい……」
そう言いながら灯里様はペラっとページをめくりました。
……ッ、私の考えが足りていませんでしたッ!!
なんという慧眼……というか、経験からくるものなのでしょう。さすがというか、なんというか。……プロ意識の高い、灯里様らしい理由です。
「で、今月はこんな感じ」
灯里様の開いたページは私の真っ白なスケジュールとは違いありえないほど真っ赤でした。
……え、これ全て予定?
テレビの取材やモデル撮影、仕事についてもさることながら、何より練習の予定が半端じゃない!
ダンスや歌、トレーニング……細かに書き込まれていて……今更ながら、彼が本気でアイドルの頂点を目指しているのだと、実感しました。……私が、色々と浮かれすぎていたことも。
そう、彼は本気だ。でも私はファンとして……彼をゲームのキャラと思って接してしまっていた。
彼は本気です。だから私も彼の本気に、1ファンとしてでは無く、プロデューサーとして、仕事仲間として応えないといけないのに……!
クッと歯を噛み締めました。
あ、いえ、まだ半人前てか、半人の半人前にすらなれていないんですけど……!! でも、こんな本気な人を前に私がこんなんじゃ、足を引っ張ってしまう。
「君には僕の練習に付き合ってもらいたい。内容としては僕のサポートに回ってもらうから、プロデューサーよりも、マネージャーに近いけど……。
ああ、でも、君がかなりアイドルに詳しいのは知っている。だから、第三者目線で僕のパフォーマンスを――」
「トモリー! 探しましたよ! もう……ここにいたんですね?」
目の前の光景だけでも卒倒モノなのに、いわゆるショタボと言われる属性のイケボが後ろから聞こえてきて……その声の主が1人しか思い浮かばなかった私は固まりました。
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