第19話 私はさっさと退散です!
ぼーっとしすぎていました……!
できる限りスピーディーにを意識しながらスマホを構え灯里様のスケジュール帳を撮ります。
ゆゆゆ指が震えそう……!!
何とかブレずに撮れると、フーっと息を吐き出しました。ミッションクリア……!
「それで、とりあえず明日から付き合ってもらう。……大丈夫だよな?」
はぁぁぁぁ!! 録音機、録音機をお持ちの方ァァァ!!
またもや私の脳内噴火しました。
付き合って、もちろん意味が違うのは理解してますが、これはっ、録音したかった!!
何で持ってないんだ……!! なけなしの良心で家に置いてきたんだぁぁ!! いや、悪いことだけど、でも、でもですよ……!!
「……小崎?」
「はい!!」
思わずその声に条件反射で返すと、灯里様は「よかった」と言いたげな顔でうなずきました。
はぁぁぁぁ……つらい、いろんな意味で、つらい……!!
いえ、あ、明日からってのは普通に大丈夫なんですけどね!!
……え、練習に同行できる……!?
灯里様の練習に……!?
今更その意味を理解した私。もう、色々と限界突破していました。
表情筋変に動いてない!? 大丈夫!? にやけちゃってない!? ニヤけてる気がする……!!
「あれ、トモリ、その時間僕も空いてるんです! ついでに、混ぜてもらってもいいですか?」
「ほら、そっちの方が学ぶことも多いですし」と私を牽制するかのようにアピールしてくる紗貴様……フグッやっぱ可愛さで刺しにきてます!?
それに気づいてない灯里様ピュアッピュア!? いきすぎないよう注意してくださいね!?
「ね?」と紗貴様は首を傾げます。さらりと揺れる絹糸のような金髪が美しいッ!!
え、「ね?」!? 今「ね?」って言ってこの人!? 天使!? やっぱこっち殺しにかかっ……ッ!?
てことは!? 灯里様と紗貴様の共同練習を、 見ることが!? できる!?
「……小崎はいいか?」
「もちろんもちろん!!」
むしろ叶うのならばもっと供給を! 供給をお願いしますぅぅぅう!!
……なんて、こんな感じに限界オタクっぷりを発揮しながらも、何とか打ち合わせ? を終えました。はぁ……てえてえ……今日は特に脳内で叫びまくった気がします。幸せなひとときだった……。
……でも、いつまでもこのままじゃ駄目ですよね。
せめてもっと冷静にならないと。プロデューサーになる自覚を持たないと……今日は特にそれについて意識できた気がします。……灯里様のおかげで。
別にアイドル好きなのはいいと思うんです。オタクなのも。でも、今私はプロデューサーになるためにここに居る。
その感情で緊張して萎縮して動けないだとか、迷惑以外の何物でもない。いつまでもただのファンの気分じゃ駄目なんです。
プロデューサー兼ファンみたいな、そんな存在を目指さなければ。
だから、このアイドル目の前にすると興奮で他がおろそかになってしまう悪癖もどうにかしなければ……!!
……とか言いつつ、打ち合わせが終わり談笑しているお二人を見てカメラ構えたくて仕方がない私には説得力の欠片もないんですけど……まぁ地道に! 地道に直していきましょう!! 強いて言うなら興奮しても仕事ができればいいってことですからね!!
あ~ずっと眺めてたい、眺めてたいけど!!
でもご飯も食べ終わったことですし、私はそろそろ退散した方がいいですね、うん。 ……ちょっと1人眺めてるだけってのも気まずいですし……、邪魔しちゃいけませんし、もう満足です。色々と! ごちそうさまでした!!
「えっと……私はお先に失礼します! ありがとうございました!」
あ、私がお先ってダジャレみたい……。
「ああ……そうだな、紗貴、じゃあ僕も行くよ。小崎、ついでに送ってく」
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