第23話 いやっそれは詐欺でしょう!?
……へ?
「だから俺、I科じゃなくて、IP科だよ。
えっと……間違ってたらごめんだけど、小沢さん?」
「あ、いえ、
「……!? ごめん!!」
……へ?
アイドルじゃない? その顔で? ダンスの腕前で? はい? 詐欺じゃないですかそれ……!?
こんなキラめいてて……!? アイドル特有のオーラみたいなの纏ってるのに!?
それなのに!?
「……それでだけど……あの、俺のでいいんですか?」
「え!? いえ全然! むしろください!!」
「あ、はい……」
押され気味で頷いてくれましたけど……マジで……? なんで……? てかこんなアイドル感バリバリな人IP科に居たっけ? あ、先輩? え、じゃあなんで私の名前知ってるの?
とりあえず目の前のこの方は私の色紙を受け取ってサラサラっと書いてくれます。いやちゃんとサインやん!?
すみませんエセ関西弁出てしまいました。けどそのレベルで驚きました。
しっかりとしたサインでした。しかもカッコイイ系の。まじかよこの人これでアイドルじゃないって言うのかマジか。えっと……
「……えっと、これでいい?」
「……サイン、すっごいスラスラ書きますね……」
「え、ああ……えっと……」
思わずポロッと口に出ていた言葉に、ユウキさん?は困ったような顔をしていました。
「あ、すみません……!」
「……いや、大丈夫。……えっと、とりあえず俺ももう戻ろうかな」
「あの……道同じだし一緒に戻る?」と青年は聞いてきてくれますが……こここ、これは……!! 送ってくださるというのですか!? え、私人生の絶頂期!?
「あ、はい! では私も……!」
歩く青年の後ろをついていきます。
はぁぁ……IP科にもこんな逸材がいるんだ……。まずそこに驚きでした。
自分が輝くよりも相手を輝かせたいってタイプなんでしょうか。それとも……?
「あの……どうしてIP科に?」
今のテンションならいけると踏み切り、思い切って聞いてみました。
「……え? ああ、えっと……アイドルが好きだからかな。だからできるだけ近い仕事につきたくて……」
……あ、分かりました。これもしかして好きだけどなりたいわけじゃないファンの心境ですか!? だとしたら凄い共感! いやそれにしてももったいない容姿とダンス技術持ってると思いますが……!
「あの、小崎さんは?」
「え、私!? えっと……根本的には同じですけど……あの、私超がつくほどのアイドルオタクで、あ、一人に限らず基本アイドル全体をまとめての、そう箱推しのオタクで……」
今やっぱりテンションがおかしいんでしょう、ポロポロと普段なら絶対に言わないレベルのオタクトークが垂れ流しになってしまいました。
そしてもっと予想外なことがもう一つ……。
「あ、わかる! 特に第1回センドライトパーティーのトリ飾った『Spade』の衣装が好きすぎて!」
「激しく同意です!! わかる!! そうあのトランプのスペードを元にしながらもマントできらめく夜空感も出した衣装! 最高ですよね!! それに私伝説となった宵星 久仁彦様の着ていたあの……」
話、めちゃくちゃ合ったんですよね……。
どうやら彼もなかなかのオタクらしく、話が弾む弾む。気がつけばもう寮についていました。
別れてからも高揚感がおさまりません。これは……二度寝は無理かもしれませんね……。
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