第24話 あ、あなただったんですね!?

 朝。結局寝ることができず暇だった為に音楽(もちろんアイドル曲)を聞きながら勉強して迎えました。


 そうしていつも通り登校、クラスについたんですけど……。


「あ……」


「あ、おはよう、小崎さん?」


 ん、え、この声……き、昨日の人ぉぉぉぉぉ!?


 昨日の青年こと、柴田くんがそこに立っていました。それも、昨日は上げていた前髪をおろしているメカクレ状態で。


 だから気づかなかったんだ、と納得します。目元見えるとあんな爽やかボーイだったんですね!? いや、隠れててもオシャレ男子感というかイケメン感は満載だったんですけど……てか、柴田くんだったんですね!? 


「……おはようございます!」


 しばらくフリーズした後に返すと、彼は少し微笑んでから自分の席へ向かいました。は!? 尊い、尊すぎるんですけど……!? まさか同クラスにこんな人が存在していただなんて……! 私の人間関係が狭すぎるせいで気づけなかった……!!


 アイドルじゃないというのにオーラが違います……!



**



 放課後、今日も灯里様の練習に付き合うことになっています。あーなんという幸せッ!


 とりあえずスポーツドリンクとタオルを今日も持って、12レッスン室へ向かいます。聞く話によれば灯里様は新入生イベント『ビッグバン』の為に頑張っているらしいです。まぁ灯里様が目玉みたいなものですからね!


 そんなことを考えながらレッスン室前まで来ると……


「あ、えっと……オサキさん? トモリがここに居るって聞いたんですけど、僕も一緒に入っていいですか?」


 なんて聞いてきたのは金髪碧眼の小さな王子様、言わずもがな紗貴様でした。


 ええ!? なぜ紗貴様がここに!? なんて私はもちろん困惑しましたが、そんなキラキラフェイスで言われたら断れるはずもありません。

 ……てか、あ! そうか昨日一緒にするって言ってましたね!?


「ど、どうぞどうぞ!! あ、はい、私が開けますね!!」


 私は出来る限りスピーディーを意識して扉を開けました。


 すると、休憩中だっただろう灯里様が私達に気がついた様子でこちらに目線を向けてきます。


「ああ小崎? 今日は持ってこなくても良かったのに……でもありがとう。

……紗貴? ああそうか、そういえば紗貴も来るって言ってたか」


 灯里様は私の持っていたタオルとスポドリを受け取ると、ふっと微笑みを送ってくださいました。


 ひやぁぁぁぁぁ!! 目がァァァァ! 目がァァァァァ!! 燃え尽きてしまうぅぅぅぅ!!


「トモリ、忘れてたんですか? もーひどいなぁ」


 紗貴様も笑ってはいたのですが、目が明らかに笑っていません。


 灯里様! 気づいてください! 明らかに忘れられかけていたこと怒ってますよ紗貴様は!?


 ……まぁ、ここで鈍感主人公ばりに気が付かないのが灯里様の魅力でもあるんですが!





 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る