第3話 前世を思い出しました。
打たれたかのような、とは例えで実際打たれたわけではないのですが……そう、眠いときにカクってなって目が冴える、みたいな! そんな感覚です!!
ぱららららららっとページが突然増やされたかのように、記憶が、前世の記憶が、人格が、すべて蘇ってきます。
……と言っても人格は、魂? が同じですからですかね? 今世前世あまり変わってなくて、しかも今世の私ベースみたいで特に変化はなかったんですが……。
次に顔を上げ、壇上を見上げた私は歓喜のあまり、発狂しそうになりました。
が、学園長ぉぉぉぉ!?
なんて、口では「ガッ」までで必死で抑えながらも、脳内では絶叫してしまいました。周りの皆様は驚いてしまった様です。私なんかが……すみません!!
私が叫びそうになった理由。
ここ、センドライトスクールの学園長が生ける伝説とも言えるソロアイドル……そう、このアイドル時代を作り出したとも言えるトップアイドルだったということもその理由の1つですが……もちろんそれだけじゃあない。
――そう、もうお分かりでしょうが、ここが私の大好きなゲーム『IDOL育成―light―』略して『アイ育』の世界だと気がついたからです。
ウオォォぉぉぉぉぉぉぉ!?
脳内で歓喜の雄叫びを上げながら、コイツ気絶すんじゃね、ってレベルで興奮した私。ピークを通り越し、一周回って思考が落ち着いていきました。
孵卵器って例えとしてどうなの? でも学園長カッくいぃぃぃぃ!! と、思える程度には落ち着いていました。
心臓の高鳴りを感じながら、興奮冷めやらぬ顔で学園長を見つめます。……かのお方が私のこの異様で傍から見たら超気持ち悪いだろう状況に気づかぬことを祈りながら。
今思えばカラフルすぎるこの世界の髪色、ゲームと同じく学園長の髪は薔薇色で、だけどそれが似合ってしまう端正な顔立ち。ゲームではサブキャラというか、あるイベントで一時的にカードが手に入ることもあったんですけど、そんな立ち位置のキャラ。
ですが
……そんな、お方が目の前にいる! なんてこの、アイ育ファンを全員敵に回してしまうような幸福を噛み締める私。一言もこの美声を取り逃がさないように神経をフル活用しました。
正直、まぶたがあることすら鬱陶しいレベルです。まばたきすらしたくない。このお姿を出来る限り長く目に焼き付けたい……その一心でした。
学園長……
「只今から、センドライトスクール入学式を開会します!! ――……なんて、ワタシらしくもないわね!! 我が愛しの生徒達!! 長ったらしい挨拶は無しで、この学校については先輩達が、ライブで語ってくれるわ!!」
学園長の声が響きわたった瞬間、舞台が暗転します。
入学生達は、私を含め混乱します。観客席も含めゆっくりと光が落とされ、逃げろの非常灯の光しか見えなくなり……。今世のライブではよくある演出ですが、さすがの私も突然すぎて驚きます。
ですが、その、ライブでよくある演出であること。学園長の台詞から、私の期待値は最大まで高まっていました。周りも同じようで、ざわついています。
「……さぁ、皆々様ご静粛に。学園の
そんな耳が妊娠しそうなイケボが聞こえた瞬間、ステージが眩いほどにライトアップされました。
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