第5話 地味上等! モブ上等! ですよ。
そして記憶を思い出した私。地味上等! にモブ上等! が追加されました。
そう、そんな「スキル:地味」があれば確実に限界突破した上カンストしてるだろう私が、プレイヤーキャラなわけないのです。プレイヤーキャラと同学年同科の姿を語られることすらなかったモブでしかないのです……!!
本当にあの件は忘れ去りたい。舞い上がっていたとはいえ……恥ずかしすぎる勘違い……黒歴史確定ですッ!!
…………こほん、話を戻しましょう!
そんな1ヶ月を過ごしていた私、ようやくプロデューサーっぽい活動をすることになります。──I科1年生……つまり、アイドルの卵の誰かとペアになり、1学期の間相手をサポートしろ、という課題です。
企画したりすることはまだ出来ないので、プロデューサーというよりかは、マネージャーの仕事に近いですね。
我々IP科全員の目標が、新入生メインで行われるライブイベント『ビッグバン』と、センドライトスクールの体育祭、夏の紅白こと『センドライトパーティー』の成功。
ちなみに1学期の間と期限付きなのは、1人のアイドルに固執してしまわないようにだとか。……あくまで、私達はプロデューサーの卵……いや孵卵器? 孵卵器の卵?
……とりあえず、未来、誰をプロデュースすることになるかは分からないからだと。
ゲームではあまり語られてませんでしたが、そういう制度だったんですね!
1時間目のロングホームルームでそんな事を言われた私は、ドキドキしながらセンドライトスクール専用スマホ……センライスマホを眺めます。……今更ですけど凄いですよね!! この時代!! 学校で専用のスマホが配られて学生手帳代わりになるって!! その上ここ私立なんで他より多機能でデザイン性あるし!!
皆の夢、
しかも教科書とか全てこのセンライスマホに入ってる……!! 持ってくるものがノートだけでいい、それだけでも前世と比べ、カバンの軽さが違う……!!
……と、脱線しました。なんでセンライスマホをドキドキしながら眺めてるかっていうと……ここに担当する方の名前が送られてくるらしいからです。クラスメイト全員スマホを眺めているという前世だとありえない光景ですね。
ピコンッ、そんな着信音が鳴ります。ピコンッピコンッピコンッと音が連鎖していき……クラスメイトも一斉受信したみたいです。
I科は100人で3組に分かれていますが、IP科はその約3分の1、30人しか居ません。
でも、もしかしたら、もしかしたらゲームキャラを引けるかもしれない。不自然なく会話を交わすことができるかもしれない……!! あわよくばサインをいただけるかもしれない……!! と、私がメールを開く手は震えていました。
『宵星 灯里』
その名前と、その永久保存版確定の顔写真を見たとき、私の口から思わず空気のように喜びが出てきてしまいました。
「……シャアッ!!」
抑えきれず、前後と右の人には聞こえる程度の音量で出てしまいました。私、窓際ですので。
隣の友達が声をかけてきます。
「……おおっ、どうしたのトーカちゃん? そんなに良い人当たったの?」
……あ、そうそう!! 私友達できたんです……!!
前世では友達作り、できるにはできたので!! その時の経験が生きました……!!
私の今世初の友達、
私が地味なだけなんですけど、彼女はこの学校ぽいっというか、今流行りのキラキラJKって感じの子です。しかも見た目によらずアネゴ肌。
……いえ、このご時世、見た目で判断してはいけないんですけどね……!? 席替えで隣になって仲良くなりました。最初は私の空気具合に驚かせてしまいましたが、もう驚かなくなるくらいには慣れてくれたみたいで……。
「よいぼし……え、ウソ!! 学園長の甥の……!? よかったじゃん!! 今一番といってもいいほど期待されてる子だよ!! トーカなら当たり前に知ってるとは思うけど!!」
彼女は私に嬉しそうな笑顔を向けてきます。月並みですが、まるで向日葵のような笑顔でした。
杉原ちゃん……!! めっちゃいい子……!!
彼女はいきなり奇声を出した私に引かずに、私の幸運を自分の事のように喜んでくれているみたいでした。
……前世のママ、パパ、今世のお母さん、お父さん、
「……あっ、杉原ちゃんは誰担当です……?」
「だから敬語じゃなくていいって、なんて、それがアンタだったわね。……ほい」
「すみません……癖なもので……」なんて返しながら、彼女の見せてきたスマホを読みます。
「
ゲームでは出てこなかったけど、今世ドルオタしてるだけもあり、知識はあります!!
そして、その二世である佐々成 悠仁様は、学園長の甥である宵星 灯里様などのように表立って有名というわけでは無いですけど、かなり期待されている1人と言えるでしょう……、ほんとこのスペックでなんでゲームに登場してないんだってレベルの人がゴロゴロいるんです、この学校。
……なんて!! 私の評価上から目線すぎますかね!? 何様って話ですよね、あぁぁぁあ!!
「……ああ、あの佐々成 龍人の!!
ふうん、どおりで名字が一緒なわけだ。さすがね、トーカは! 私、プロデューサー目指してるとはいえ知識はかなり偏ってるからさ、色々教えてよ」
……も、もちろんであります!!
私の説明を聞いた杉原ちゃんの言葉に、思わず少しニヤついてしまいました。
求められるって……やっぱり嬉しい。今世では家族以外にこんなこと言ってもらうの初めてだし……。
私は彼女に強く頷き返しました。
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