第28話 墓場島の怪異

 暫くバスを走らせていると

偵察部隊のドローンゴーレムから映像が届き

俺は仮眠から起こされる事になった

最初に見た光景は墓場島まで約500m付近だろうか


シュンジ)「これ墓標なんかじゃ無い!

建造物だ!詰まりはビル群と高速道路だろう」


俺の声を聞き付け

後方に座っていた黒の剣竜のメンバー達が集まって来た


ファイウス)「何だ此れは!?」


シュンジ)「墓場島上空1000m付近からの映像だ

それに此の建物群は墓では無く巨大ビル群で建造物だ」


ファイウス)「建造物?」


シュンジ)「そうだ詰まり大きな城の様な物で

機能重視で造られた巨大な屋敷だとでも思ってくれ

鑑定してみたが如何やら鑑定不能で

俺が知ってる材質とは全然違う様だ

未知の材質だな

此れは山下さん達じゃないと分からないかも知れないな」


ファイウス)「噂や情報から

巨人が建てた墓だとばかり思ってた」


シュンジ)「此れは装備を充実させてから

挑まないと無理かも知れないな」


ファイウス)「装備の充実?」


俺はバスを一旦止め外に出て

ファイウス達を全員降ろした


シュンジ)「チョット見てろよ

此れは魔導砲みたいなモンだ」

そして俺はRPGを収納から取り出し

300m程先の大岩に向けロケットを発射した

辺り一面に轟音が響き渡り大岩が砕け散ってしまった

ファイウス達はそれを見て口をあんぐりと唯開けていた


シュンジ)「如何だ!

最低でも此れ位の装備がないと墓場島は無理だ

港に着いたら装備を再度整えてからだな

後は自分達で良く考えてから行動した方が良いぞ」


その後港に無事到着し

波止場に戦闘車を収納から出してやり

俺達は其処で別れ空母に向かう事にした


ファイウス)「出来るだけ俺達は

装備を充実させてから墓場島に向かうぞ」


サイベラ)「先ずは魔道具屋で

小型の魔導砲を幾つか用意しましょう」


ファイウス)「射程が短いだろう

それで大丈夫なのか!?」


サイベラ)「無い依りはマシですよ

それに墓場では無い事が分かったんですから

認識を変え食料等も多めに調達して置きましょう」


ファイウス)「しかし奴等の船

目茶目茶デカいし速度も速くないか

俺はあんな巨大船なんか見た事も無いぞ!」


サイベラ)「あれは魔導船だと思います

噂では魔導船を大量に保有していると聞いた事が有りますから」


黒の剣竜達は関所での遅れを取り戻し

峻治のお陰で到着予定日よりも早く着いたので

指摘を素直に受け取り装備や食料等を多めに港で調達をするのだった


一方の峻治達は山下と連絡をとり

フェンリカに騎乗し数名で峻治達と合流を果たし

録画された映像を検証する山下


山下)「成程!

確かに材質が少し違う様ですね

文明度は私達と近いと思いますが

私達よりは進んだ文明との遭遇と考えた方が良いと思います」


シュンジ)「そうだな

容易ならざる敵と認識して行動する事にしようか」


山下さんの要注意との意見を取り入れ

今後俺達は慎重に行動をする事にした


俺達は作戦会議を優先させるため巡航速度を20ノットまで落とし

打ち合わせを何度も行った

そして今回初めてチタナイト、アダマンタイトゴーレム各100体

それとDM魔導10リッターを参加させる事にした

DMの上には12,7mm魔導重機関銃を設置

ハイパーグレネード魔導ランチャーを標準装備

それが今回の主戦力となる

またチタナイトゴーレムはLv不明の神に近い力を持つと鑑定されている

勿論俺が進化させたゴーレムの最終進化形態だ

*DM魔導10L=デュラマックス6・6Lの未来発生型

現在法律の関係で日本には輸入されていない荒地専用の高速無限軌道車

*現在世界最高水準の中国製スナイパーグレネードランチャーに似た

高性能擲弾発射用ライフルで

人海戦術で来られた場合日本国民は絶滅すると指摘する専門家もいる

強力な武器なのだ


ベリアル)「チタナイトの初めて出動ですな~」


マーベリカ)「それ位慎重にならんと

とてもシュンジ様を墓場島になんてとんでもない」


ベリアル)「その通りだ!」



一昼夜海上を走り続け早朝には墓場島沖に到着した俺達は

ドローンを大量に投入し島の全景を偵察し状況把握に努めていた


シュンジ)「直径約50Kの粗円形の島だな

人や動物の姿も見えないし若しかして人口島なのか??

オマケに草木も生えていない岩と砂の島といった所だな?」


山下)「多分地下施設が有ると思うな

此れだけの高層物の建築が可能なので大規模地下施設等も容易いだろう」


シュンジ)「しかしこんな何にも無い島に何故黒の剣竜達が向かうのかな?

まあ~依頼とは聞いてはいたが如何も腑に落ちないな

奴等の目的も知りたいな」


ベリアル)「確かにそうですな

聞くにしても彼等の到着は一週間程先だと思いますが」


シュンジ)「待ってやりたいが

仕方が無い先に直接上陸するぞ!」


俺達はフェンリカに騎乗しながら

空母から直接島に上陸する事にしたが

その前に特別に造りだした護身用の弾丸を二人に大量に渡した


ベリアル)「此の弾が対バンパイヤー用の秘密兵器なのですか?」


シュンジ)「そうだ

ただ伝説に基いて制作したので

効力が有るのかは分からん

なので何か有った場合の最後の切り札にでもしてくれ」


俺は対バンパイヤー戦と云う事で

物語に登場する銀の弾を造り其々に護身用拳銃を持たせたのだ

何も分からない以上はバカと思われ様が物語にでも頼るしかあるまい


やがて海岸線に着いた俺は

収納から

DM100台チタナイトゴーレム100体アダマンタイトゴーレム100体

を取り出し横一線になりビル群を目指した

DMの運転はアダマンタイトゴーレム

戦士はチタナイトゴーレムと云う布陣だ

やがて200m程進むと

行き成り頭上に大きな鳥の集団が空中に舞い上がった


シュンジ)「何か変な鳥っ!?」


ベリアル)「鳥では有りません

バンパイヤーの集団です

一千体近くは居ます!」


シュンジ)「だから羽以外は人型なのか

でも全員が女でドレスを着てハイヒールなのは何故?

砂が入ったりしないのかな?

やっぱ何か変なの~」


鑑定の結果魔物としてのLv1200~1500と出た

これじゃ黒の剣竜達はたぶん勝てないだろう


ベリアル)「全員眉目秀麗に見えますが

人を襲う瞬間顔面が縦に割れ喰い付いてくると云われています

くれぐれも容姿に惑わされぬ様ねがいます!」


シュンジ)「おう!?分かった

顔面縦割れって?」


バンパイヤーA)「飯が来たー!!

久々の生きた肉じゃー!!」


バンB)「後ろの三人以外は旨そうな匂いがせんぞ」


バンA)「前の連中は大方ゴーレムなのであろう

生肉は後ろの三人だけじゃろ」


バンB)「な~んだガッカリ」


バンA)「生肉ならば後ろに羽犬も三匹おるではないか

たまに犬の肉も所望したいの~う」


バンB)「われは真ん中のあの美少年を味わいたいのう~

好い匂いが股間辺りから漂って来るぞ

先ずは犯し味わってから生きた侭男根を喰わせて貰おうかのう~

ん~~堪らん!!」


シュンジ)「あの~盛り上がってる所で悪いがもうそろそろいいか?

俺にもお前達の印象を話させてくれ

しかし!お前達全員気持ち悪い奴等ばかりだな

なんか肌が青白くて生気を感じんし何か不気味過ぎるぞ」


それを聞いた途端怒りが最高潮に達したのか

言葉にならない言葉を発しながら襲い掛かって来たが

瞬時に首を掴まれ

次々に羽や胴体を斬られてしまい地上に落下するのだが

胴体を真っ二つにされたにも拘わらず

ベリアルの説明通り次々に傷が治っていくのだ


シュンジ)「ほう~~~

噂通りに傷が治っていくぞ

不思議だな~~」


そして俺は頭を千切り取り腕の部分にくっ付けると

何と繋がってしまったのだ

それを見ていた他の皆も真似をし始める始末だ


シュンジ)「面白れ~~~」


次に俺は違う奴同士をくっ付けてみると

これまたくっ付いてしまったのだ

終いには胴体に頭が五個

足が五個、腕が五個なんて云うのも出来上がる始末で

充分に楽しんでから超高温の焚火を発現させ

逃げ辛いよう羽だけを先に燃やして消滅させていくと

少し残った真面な身体のバンパイヤー達は焦り始め

とうとう逃げ出してしまったのだ


シュンジ)「はははははっ!

此奴は傑作だ

妙なバンパイヤーが走ってるぞ」


確かに傍目から見る分には前衛的な作品群で面白い

手が三本生えた胴体と足が岩に何度もぶつかりながらも逃げて行くのだ

これは余りにもコミカル過ぎる


シュンジ)「そりゃ~~頭が無いと前は見えないよな

何だ!?この傑作劇場は面白過ぎるぞ!!」


ベリアルもマーベリカも大笑いしながら

自分達で造り出した新型のバンパイヤーを追い掛け回しているのだ

此れは最早レクレーションにしか見えない

顔面が二つに割れ牙が剥きだしている口に

仲間の腕や足を喰わせたりしていると

いつの間にか居なくなったので

自走出来ないパーツ類を次々に火にくべてしまい

辺りは綺麗に片付きまた静けさを取り戻してしまった


シュンジ)「いや~バンパイヤーは面白いな~

ベリアル!もっと強いのは居るのかな?」


ベリアル)「一匹だけ雄が居るとは聞いています

そいつがバンパイヤーの始祖らしくとんでもなく強いとの噂です」


少し残った半端なパーツを次元BOXを造り

ドローンにより空母に残る山下さん達の元へ運ばせ分析を依頼した

それを嬉しそうに受け取り早速メスを入れ小割にして

分析装置に掛けられてしまい

もう~こうなってしまうと強いと噂されていたバンパイヤーも形無しである


山下)「イヤ~~本当に不思議な細胞だな

生きているのか死んでいるのかサッパリ分からん

此れは目茶目茶面白いぞ!」


山下さん達は初めて見る素材に

狂喜乱舞して喜んでいる様だ





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 後書き


遅くなり申し訳ありません

久々休み貰えたので続きを書く事が出来ました

まだ現場がネット環境では無いので次作も遅くなると思いますが

宜しくお願いします<(_ _)>

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