第12話 空を飛んでみたい

 波止場に帰ると狼達が既に来ていた

それもジャッカロープ3羽の手土産付きでだ

やはり彼等は間違いなく賢い


俺は直に竈をリフォームし大鍋に塩水を入れ

タコイカを大鍋に入れ茹蛸を作り始めた

そして丸太を半割りにした器を昨日と同じ場所に用意し

出来上がるのを待った

少し時間が有るので俺は多めに作って貰った

15cmサイズのバターロールを器に

頭数より多めに入れてやったら

すぐに喰い付いてきた

焼き立てのバターロールって確かに旨いよな

因みに此の世界にバターロールは無い

森で採集したフルーツから酵母は採収してみたが

やはり日本の酵母とは若干違う様だが

みんなは柔らかいと大変喜んでくれたが

日本のバターロールを知ってる俺としては不満だ

熱が冷めた時違いは顕著に表れる



お!狼の子供もいるようだぞ

真ん丸ふかふかだ

まるで地球のマラミュートの子供じゃないか

可愛すぎる撫でたいモフモフに顔を埋めたい


茹蛸が出来上がるとゴーレム達が次々と丸太の器に放り込んでいく

少し馴れたのか昨日よりは近くでその様子を見ている

ゴーレムが立ち去るとスグに首を突っ込んで食べ様とするが

早過ぎ!今冷ますから少し待て

俺は器に冷気を浴びせ速攻冷ましてやったら

がつがつと食べ始めた

俺と同じで茹蛸が大好きな様だ

他の従者達もみんな茹蛸を食べ始めた

昨日はあんなにも警戒していたのに

クラーケン旨いと言いながら食べているではないか

此れは異文化交流?かな?


俺は夕食を執りながらベリアルと打ち合わせをする


シュ)「明日は反対側海岸線に行ってみるか

未だ途中迄だったもんな」


ベ)「そうですね

左の方が海岸線が長いのでクラーケンが沢山居るかも知れません」


シュ)「そうだな

処でお前もすっかり茹蛸にハマってないか?」


ベ)「クラーケンがあんなに旨いとは知りませんでした

ぶにゅぶにゅしてて気持ちが悪い奴としか思っていませんでしたから」


シュ)「その点狼達の方が素直だよな」


ベ)「面目ない(シュン)」


シュ)「明日はもう一つ風魔法の実験してみたいんだよな」


俺はベリアルと話し風魔法の実験をする事にした

何度か風魔法を使い屋根に飛び乗っているので

空を飛べるのではと考えたのだ

空を飛べたら沖に沈んで見えない難破船も同時に回収する事が出来るし

上空から海を見れば偏光レンズ無しでも海の中が見える

他の魔物達も狩れ海峡が安全に航行出来る様になると考えたのだ

それに海峡を我が物にして通行料金をせしめる事も可能になる

その場合島を大きくして海峡の幅を狭め

橋桁を使い左側通行を定着させるのだ


ベ)「あんな長い距離に橋を掛けれるのですか?」


シュ)「幾つか岩礁地帯を造り

それを橋脚の土台とすれば可能だと思うよ

橋は森の出口迄通し島との間に鉄道を通して

島の産業発展に努めたいんだよ」


ベ)「しかし壮大な計画ですな

でっ何故鉄の道なんですか?」


シュ)「あっゴメンゴメン

鉄道と云うのは列車と云う馬車を数珠繋ぎにして

大量に人や物を運ぶ物なんだよ

まあ今は想像出来ないかも知れないけど

一度見たら理解が出来ると思うよ」


ベ)「何だか凄い話しですね

各国が目の色を変えるのではないですか?」


シュ)「たぶん真似は出来ないと思うよ

出来たとしても運用が難しいのでハードルが高いよね

それが完成すれば経済発展が著しいと思うけど?」



明朝俺とベリアルは海に向かい左側に向け歩を進めた

詰まり東に向かう訳だ

左側は初日に途中までしか行かなかったのでその続きだ

俺は今日風術を使うので久しぶりにステータスプレートを出してみた

何だかんだと云いながら上がり辛いレベルもかなり上がっていた

初日は確か15位だった様な気もするが

上位種ばかりを狩り捲ったからだろうか

やはり使用した魔法のレベルが上がり

使用しなかった武技魔術はその侭の様だった

特質すべきは土術だろうかレベル一杯の様だ

たぶん派手に使い捲った所為だろう

そしてMpが三倍以上になっていた

之って使い放題の様な気がする


名前 シュンジ シマ

年齢 12(28)

加護 聖改造魔術(リフォーム)

特典 生活魔法 鑑定魔法 錬金術 時空間収納(Mp連動)

Lv 358

Lp 1538

Mp 3500000

剣技 3 (3/10)

槍術 1 (1/10)

弓術 2 (2/10)

短剣 1 (1/10)

火術 3 (1/10)

水術 2 (1/10)

風術 5 (1/10)

土術 10(10/10)

緑術 6 (6/10)

白術 6 (6/10)

闇術 5 (5/10)

 【脱スキルコレクション】

料理×3鍛冶×2操船×3剣技×2槍術×2弓術×2狙撃×1

斧術×2挑発×3威嚇×3農業×5畜産×4養鶏×2養蜂×1

縫裁×2調律×1商人×5絵画×3陶芸×3彫刻×2作曲×2

作詞×3呪術×1園芸×6大工×4左官×2鑑定×1その他etc,

*脱スキルに関しては狼が絵画を持っていたりとか

余りにもランダム過ぎて本人は理解不能でいる

また戦闘や魔法に関するスキルは極端に少ない

兎も角相手がスキルを持っていれば何でも集めている状態なのだ




暫く海岸線を歩いていると

少し寒さを感じて来た


シュ)「今日は何だか少し肌寒いな」


ベ)「寒の戻りでしょうね

今晩辺りバレバンでは雪がちらつくかも知れません」


シュ)「そうか

春先で温かくなってたから好い時期に追放されたと思ってたが

少し甘かったな

今日は早めに切り上げよう」


前回来た時初めてクラーケンを討伐した時の場所まで

俺達は来ていた

此処から先の難破船は未回収の侭だ


シュ)「早速飛び回れるのかやってみるよ

余裕が有ったら飛びながら難破船の回収も序でに挑戦してみるから」


ベ)「お気を付けて」


俺は風魔法を足元に纏わせ空中に浮かんでみた

此処までは何度もやっているが

自分の意のままに操れるかが問題だ

風を後方に向け少し噴き出す

ゆっくりと前進した

更に強く噴き出す

更に早く距離が増して前進した

次は左右旋回だ

おーー!!出来る

次は空中回転だ

おーー!!出来る

そして収納魔法を重ねる

おーー!!楽に回収が出来見える範囲を全部回収してみた

今迄依りもずっと楽だ

余り調子に乗り過ぎると撃落の危険も有るので

ベリアルの所迄戻るとするか


ベ)「如何やら成功した様ですね」


シュ)「あ~ぁそうだな

寒いけど気持ちが良かったぞ

しかし今日はタコイカが現れないな」


ベ)「もしかすると

気温が低いからでしょうか?」


シュ)「そうだとしたら

暑くなると大量に現れるかも知れんな」


俺達は更に前進し難破船が出て来ると

飛びながら回収を進めて行った

そしてまたもや海岸線は崖で塞がれた


シュ)「また崖だな

此の海岸線は全長25K位かな?

あの崖にまさか仕掛けなんて無いよね?」


ベ)「そうそう有るとは思いませんが

何か有った方が面白いですよね」


シュ)「そうだな

一応確認だけはしておこう」


崖の確認に行くと洞穴が有り

ゴブリンが入り口で待機し警戒していた


ベ)「ゴブリンの巣の様ですね

全て排除してきます」


シュ)「そうだな

波止場にはみんながいるからな

危険要因はチャッチャトと解決

回収は俺がするからやっちゃって」


ベリアルはゴブリンの巣に向かい突撃して行った

本人は軽く走っている心算の様だが

実際は時速100Kは優に超えている

レベルも400を少し超え始めておりもはや人外の域だ

そんなのが突撃して来るのだから堪ったもんではない

入り口でのんびり見張りに付いていたゴブリン二体は『え!?』と

思った瞬間首と胴が離れ自分が死んだ事すら理解しない侭意識は消え失せた


俺は洞窟内上部に丸い蛍光灯の様な物を想像し

光魔法を幾つも送り込み洞窟内を明るくしてベリアルを援護した


俺達はドンドン中に入って行ったが

この洞窟外から見るよりも意外と大きい様で

それだけゴブリンの数も多い


ベ)「意外と大きい集落の様ですね」


シュ)「そうだな

もう100匹は回収したぞ」


それでも尚俺達は奥を目指し進んだ

この数は完璧にゴブリン王のゴブキングが支配しているパターンだ


ゴブリン達を狩りながら奥に進むと開かれた大きい空間に出た

ゴブリンの癖に松明を使っており

他のゴブリン達よりも頭が良いのが明白だ


大きな空間には玉座らしき物が有り

なんと其処には王様ごっこでもしてるのかと思われる

デカいゴブリンが鎮座益しましていたのだ


皇帝)『余ばマーベリガ11世である

だだがう意思ば無いグギャッ

ぞうぼう鉾をおざめよグギャッ!』


シュ)「凄い訛りだな

口を進化させてやるから其処を動くな」


俺は面倒なんで

上手く喋れるよう顎舌発声器官を何となく

想像しながらリフォームを掛けてやった


シュ)「此れで多少は上手く喋れるだろう~

でっ何だって?」


皇)『余はマーベリカ11世で有る

我に戦う意思は無い

双方鉾を収めよ!

お~おっ!すっ凄い上手く喋れる!』


シュ「あっそっ

良かったね

でっベリアルあんな事云ってるけど知ってる?」


ベ)「良く分かりませんが

王国の東に何十年か前そんな名前の帝国が有ったそうですが

ゴブって喋るんですね

驚きました」


皇)「我はゴブリンでは無い!

聞いてくれ!

何故か生まれ変わったらゴブリンだったのだ」

何故か最初の威厳に満ちた顔を捨て去り

玉座から降り峻治に駆け寄って来る


能々話を聞いてみると

側近の裏切りに合い島流しにされ直に死んでしまい

ゴブリンとして生まれ変わり

十数年で此処までゴブリン帝国を大きくしてきたんだとか

それで昔海賊のアジトだった此の洞窟で国造りに励んでいたそうな

其処に俺達が現れ今まさに其の国が滅びようとしている

海賊達の財宝を渡すので見逃して欲しいと云う訳だ


マーベリカ帝国は元々が海軍国で帆船の運用に優れていたが

仲間のゴブリン達は頭が悪く何を教えても出来が悪く

海賊達の船も上手く修理が出来ず現在に至るだった


シュ)「しかしな~

此処俺の領地だしな~」

何時の間にか俺の領地と云う事にしてやった

しかし元々ルーデンシア王国のレイオーク辺境伯の領地だ

彼等に此の領地を維持するだけの能力は無い

なので俺の領地と云うのも強ち間違いではないのだ


皇)「其処を何とかお願い出来ないだろうか」


其処で俺は暫し考えた

相手はゴブリンだが仕方がないか


シュ)「そんなにも頼まれたら仕方が無い

特別に俺の配下になるなら許してやろう

でも裏切りだけは許さないぞ

俺の持っているスキルコレクションの中に戒めの儀と云うのが有る

裏切った相手が塵になり魂が消滅する契約魔法の一種だ

それを受けるならばお前の望みを叶えよう」


マーベリカ11世は二つ返事で戒めの儀を受ける事を了承した

そして結論から云うと特別魔物部隊を設立する事にし

チャンスが有れば国を取り返す事にも協力してやると言ったら

マーベリカ11世は直に了承するのだった


*戒めの儀

初日の移動の夜襲って来たオーキングが持っていたスキル

初期レベルだったがシュンジが自分で取得する事により

最高レベルに達してしまったのだ

ベリアル達にも他の戦闘系のスキルを譲渡しようと何度か試みたが

器が小さく未だ無理な様だった

鑑定ではSランクに進化すれば譲渡可能と出ていた



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