第10話 大量の難破船

 翌日も朝の8時から作業を開始した

やはり前日の予想通り深夜の魔物の強襲も少なく

弱い魔物ばかりだった

たぶん作業中に襲って来るのも似たり寄ったりだろう

車列もとうとう馬無しになり

警護のゴーレム達もステンから魔導強化プラに変わった

何と無く無敵状態になっている様だ


収納作業は面白い程順調に進んだ

グリフォンも一切姿を見せる事も無く

地竜らしき物がサーチに何度か掛かったが

有る程度近付くと此方に気配に気付いたのか慌てて走りさって行った

もしかして此処等一帯の支配者として認められた??のかな??


午前中だけで28Kも進み

昼食後も順調で夕方4時前には海岸に到着したが

辺りの景色を見て驚いた

なんと海岸線には難破船が大量に放置されていたのだ

たぶんガレオン船と云う帆船だろう


ベ)「クラーケンやリバイアンサンに鯨竜等にやられたのでしょう

一瞥する限り大体30m以下が此の海峡でやられています

海の魔物達は自分よりも大きな物や同等の物を狙いません

今この海峡を支配しているのは30m強位だと推測されます」


シュ)「とっ云う事は

此の難破船を全部俺の物にしても好いのか?」


ベ)「ええ大丈夫だと思いますが

古くて朽ち果てている物も有りますよ

とっ云いますかクラーケンは岸まで上がって来る事が有ります」


シュ)「じゃっ今夜の野営は

もう少し奥に引込もう」


ベ)「もしかして

全部の難破船を収納してリフォームする御心算で?」


シュ)「勿論!」


ベ)「まさか戦争でも始めるとかですか?」


シュ)「まさか~~

飽く迄も防衛や貿易用に使う心算だよ

ベリアル先生様から近隣諸国の情勢や

大陸の情勢または性質等色々と習っただろ

今なら俺にも分かるよベリアルの心配が

今の侭人が増え経済が発展したりポーションの情報が流れたりしたら

島に確実に軍を送り込まれるよね

なので強力な防衛力を持ち侵略者達には即応する心算だよ

詰まり此方は被害を出さず敵勢力だけ被害が拡大する

要は一人も傷付かない100%の勝ちを目指しているのさ

因みにレンガリア平原も俺が確保し陸上兵力を持つ心算だよ」

*レンガリア平原

 魔の森に入るまえ通って来た平原

 魔物が数多く生息する為ルーデンシア王国も正式に

 領地として認めてはいない

 バレバンに関しては飛び地として領有を認めている

 詰まり王国が領地として認めていたのは

 島と手前の波止場とバレバンだけなので有る


俺は見える限りの難破船を収納し

海中に頭を少しだけ頭を出している物も収納してしまったら

美しい海岸線が目の前に現れた


過去に石を使い造られたと思われる

波止場が沖に向かい何本か有ったので

海中に有る岩をドンドンと収納して行った

此の岩で幅を広げ野面を良くして頑丈な船着き場に変えてから

リフォームを掛けるのだ

序でに岸壁から水深が深くなる様に砂混じりの土砂も回収

そろそろ時間も押して来たので

切りの良い所で作業中止


シュ)「そろそろ暗く為って来たので止めるか」


俺は少し高く為っている道路迄戻り

リフォームを掛け砂利道を造り

一旦初日の所迄装甲車で戻るとコンクリートがアスファルトに

そして砂利道がコンクリート舗装に進化していた


ベ)「明日からは如何しますか?」


シュ)「そうだな

見えなかった海岸線の難破船を全部回収して周る

そして波止場を進化させ

難破船をリフォームして海に並べてみるかな」


ベ)「全部回収ですか~

相当な数に成ると思いますが」


シュ)「そうだな

ゴーレムを新規で一万体位造るよ

彼等に操船して貰おう

とっ云う事で島への行き来が楽になるね」


難破船を回収したら

付属品としてお金や大砲等も一緒に着いて来た様だ

大砲は魔法のファイヤーボールを入れ

小さくし射程を伸ばすタイプだと思う

但し人骨も序でに着いてきたが

此れは時間と場所を見付けて埋葬するしかないな


回収した金貨を少し出して

ベリアルに見て貰ったが

見た事もない硬貨の様だ

型も歪な物も有るし相当古い物なのかも知れないな


ベ)「相当古い硬貨も混じっていますね

これはこれで売れると思います

結構貴族達や豪商達が古いのを集めていますからね」


ベリアルの話では荒らされる事無く手付かずの硬貨が出て来たのは

魔物達のお陰だろうと予測していた

確かにそんな怪物が居る海峡なんてサッサと抜け出したいわな

古い硬貨は金貨や銀貨も大量に混ざっており

プレ値で売れるかも知れないと云う事だ

ベリアルが気にしていたのは大砲の方で

今は余り持っている者が少ないそうだ

大砲の技術は遠い昔に廃れ

今では造れる国も殆ど無いそうだ

まるで戦艦大和の砲身だな

今の日本では完全にロストテクノロジーだ

なので骨董的価値が有るかも知れないと云う話だ

それと宝石やアクセも大量に難破船から出ており

此方も期待出来そうだと云う話だが良く分からないそうだ

他に武器系も見付かっており

錆ていないアダマンタイト等は伝説上の武器で

結構な金額に成ると予想していた

他にも錆びないミスリル製の武器類も大量にあり

期待度は大だ


俺はベットに入りながら考えていたが

養父の云う事を聞いて行動に移したが

或る意味良かったのかも知れない

下手すると養父依りも資金力が豊かになるのかも

全てに対し殆ど原価が掛かってはいないのだ

同行者に色々と買い揃えては居るが五十人程だから

収支に関しては完全に黒字だろう

島流しは俺に取っての朗報だったのかもな



翌朝になり俺は何時もの日課を熟し

昨日の続きを始めた

兎も角船着き場は余る程大きくしなければならない

下手すると難破船回収は一千隻を上回るかも知れない

長年放置されていた物が恐ろしく大量に有るのだ

海峡を通る船にも見えていただろうに

魔物達のお陰で俺は大儲けをしている

俺は海中に眠る沈没船もサーチを掛け全部引き上げる心算だ

養父よ有難う

あんたの嫌がらせで俺は生きて行けるのかも知れない


俺は昨日回収出来なかった難破船を集める為に

海岸線の東側を只管歩いた

兎も角ベリアルが言った通り

陸に上がって来ると云うクラーケンに注意しながらだ


ベ)「如何やらクラーケンの様です

陸に避難致しましょう」


シュ)「一応サーチでは

レベル1000のSランクの様だが?」


ベ)「いいえ

海中の大型の魔物は昔から二倍増しと云われております

出来るだけ水場から離れた方が襲われた時楽に倒せます

余り海に近寄らぬ様う御注意願います」


シュ)「でも陸に上がって来るんだよね

チャンスが有ったらねらうよ」


その時海中から赤ぽい異様な半透明の物が姿を現した

俺達を狙いドンドン迫って来る

俺は海岸線から森の中に入り

木の陰から全容を伺う

確かにベリアルが言った通りデカい

足を入れないでも35mは有るのでは?

でもなんだかな~・・・・・

全容が見えて来たけど


シュ)「何だありゃ~~!!

タコイカじゃないか

まるで二種類が合体した様な姿だ!

ベリアル!

アイツ旨そうだな」


ベ)「えっ!?

旨そう?・・・

真か喰う気ですか?」


シュ)「鑑定でも旨いと出てるぞ

塩ゆでにしたら旨そうな合体生物だな」


確かに合体したイカとタコと考えると美味そうだ

昔日本にも牛馬うしうまと云う絶滅した生き物が存在していた事が有る

古い写真では馬ポイ牛に角が生えていたのを思いだした


シュ)「クラーケンの奴

何だかガッカリした様な感じだな?」


ベ)「此処までは上がって来れませんからね」


シュ)「じゃっ帰ろうとした所を

収納するから」


海中に帰ろうとした時若干身体が伸び

胴体と足の間に細い部分が見えたので

尽かさず俺は収納を掛けたら一瞬で足だけになった


シュ)「タコイカゲットだぜーー!

クラーケンって陸に上がると弱いんだな

早速持ち帰り味見をしてみよう」


ベ)「・・・・・」


俺は早速収納で持ち帰り

波止場の上に上がり風魔法で造り出した刃で解体を始めた

内蔵を取り出し20cmサイズに切り分け

浜辺の石で竈を造り塩水を沸かし始め

早く湯が沸くように大鍋の中に小さなファイヤーボールを入れたら

一瞬で湧いたので次々とタコイカを収納から放り込んだ

辺りにとても好い匂いが充満し始め俺の食欲をそそっていた

でも周りの皆は何を喰う気何だと固唾を飲んでいた

だが此の時姿形の好い連中が森の中から顔を出した

殺気は無い此方を攻撃する気は一切無い様だ

臭いに釣られ集まった森林狼の群れだった


森林狼は草原狼依りも身体が大きく力も強い

チョット痩せてる様に見えたのでご馳走する事にした

総数は200位居るのではないだろうか

竈を新たに造り大鍋に海水を放り込み

大鍋の数は10個に為りファイヤーボールを次々と放り込み

内蔵も細切れにし鍋に放り込んでいった

更に好い匂いがし始めた

次に俺は収納に入っている木を適当な長さに切り詰め

縦に半分にし中をくり抜き長さ10m程の長い器を造り

器の底を平らに均しながら道路と森の境目に並べ

ゴーレム達に頼み次々に鍋をひっくり返して

風魔法で冷気を発生させその場を去った

去り際に俺はボスらしき一頭の前にタコイカの塊を一つだけ投げてみた


俺が去ると5分もしない内に何本も用意した

木の器に沢山の狼達が首を突っ込んでいた

俺達を気に掛けないで茹でタコイカに舌鼓を打ている


シュ)「ん~~旨い

此れは余りにも旨過ぎる!」


俺は久しぶりに茹蛸を噛締めていた(タコイカだけど)

俺に釣られたのか一人また一人と鍋に近付き

冷気で冷やされたタコを食べ始めた


「「「「「旨い!本当に旨い!」」」」」


そりゃそうだ冷たく冷やした茹蛸は最高なのだ

熱いと今一なのだが

冷たいと身が締まり味が乗るのだ

皆さん食わず嫌いはイケませんよ

茹蛸って御飯のおかずでは無く

単体でオヤツ代わりに食べるのが旨いんだよな

御飯のおかずだと少々物足りないのだ

いや~もう~最高だ!


何てワイワイガヤガヤしていると

いつの間にか森林狼達は消えていた

明日も来てくれるかな?

待ってるぞ


俺はベットに潜りながらふと考えてみた

日本人だった事を祝福の儀で思いだしたけど

元々神様がその様に設定してたのかな?

俺に何かをさせる心算なのか?

まあ此の世界は恐いけど正直楽しい

それにギガントモスまで倒せる収納って凄くないか

あんな力を俺が貰って良かったのか?

しかしな~疑問ばかりが浮かぶな~

まあ明日も早いしイッパイ寝るとするか~






◇――――――――――――――――――――――――――――――◇

 

 後書き


 いつも読んで頂き有難うございます

なるべく異質な展開にして行こうと考えていますので

宜しくお願いします<(_ _)>

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る