第5話 親不孝なギルマス(改)

 此処はバレバンの街外れの野営地

時間は深夜の12時頃だろうか?

今度は異世界に合わせた時計を造りだすか

俺は警戒アラームに起こされ目を覚まし直ぐに対応の準備を始めた


シュンジ)「ベリアル!

起きろ!

そろそろ出番の様だぞ」


ベリアル)「待ってました!

他の四人を起こして待機させて置きます」


シュンジ)「バレバンの衛兵達にも手柄を立てさせてやってくれ」


ベリアル)「承知致しました!」


しかし本当に襲って来るとは全く呆れたもんだ

ルベシベも黙ってギルマスを続けていれば

老後も苦労しなかっただろうにな

ルベシベを鑑定した結果

年齢46歳

嫁と子供二人の三人はルベシベが酒乱のため逃げ出し

今は年老いた母親との二人暮らしだ

酒癖と女癖が悪く浪費癖もあるため多額の借金をしている

裏では昔の悪仲間達と繋がっており

ギルドの売り上げ金も着服していた

受付に居たラベリアがソシリアと手を組み

秘密裏に調査を行っている最中だった様だ


ルベシベ配下の強盗達は何時の間にか空き地に建っていた建物に驚くが

それでも構わず予定通り侵入して強盗を働く心算の様だ

建物のドアカギを破壊しようとした瞬間

辺り一面が急に昼間の様に明るくなると

隠れて待機していた衛兵達が駆け付け取り囲み乱闘騒ぎになった

強盗達は虚を衝かれ頭の中はパニック状態になり只管暴れた

衛兵達が危なく近付けないでいると

強盗の剣を弾いて落としてやり『確保ー!!』とベリアルが声を掛けると

衛兵達は強盗に一斉に飛び付き次々と抑え込み捕獲して行った


またソシリアの方は遠くの野営地にバルーンが上がり

上空が明るくなったのを合図にルベシベの家の扉を蹴破り

目が点に為っているルベシベを捕獲

何とルベシベは自分の手下に強盗を働かせている間

自分はサッサと家に帰り酒を飲み酔っぱらって寝ていたのだ

哀れ自分の年老いた母親までも共犯容疑で捕獲され

何が何だか分からない状態で居たが

ソシリアが罪状を述べ現行犯で有る事を説明したら

母親は青い顔になり

「逃げた嫁が全部悪いんですー!!」と大声で号泣し始めた

まっ一番悪いのは犯罪に手を染めた親不孝なルベシベなんだけど

此の子にして此の親有りである

余り同情は出来ない


ソシリア)「安心しろ!

今頃お前の仲間達も全員捕縛されている」


行き成り現れたソシリアとラベリアを前に

驚きのあまり口をアワアワと只させるだけのルベシベだ

まあ深酒の為あまり口も回らず状況も理解出来ないのだろう


夜が明けると未明の事件の事が知れ渡り

バレバンの街は大騒ぎになってしまい

事態収拾の為冒険者と商業ギルドが臨時休業となり

職員達は代官所に応援で赴き

押し寄せた人々達に事の次第をチラシと口頭で説明し

チラシも全員に配り終えると一時間程で騒ぎも沈静化していった


住民達は口々に

やはりギルマスか~

何か有ると思ったんだ~

ギルマスは他所から来た

冒険者の所為にしてたけど犯人はギルマス達だったのか~

中には全容が見えている者達も複数おり『犯罪が急に減ったりしてな』

なんて事を言初めていたのだが

その言葉通り実際此れを境にバレバンの街では犯罪事態が激減し

以前の様な平和な街に戻って行くのだった



暫し時間を経て今俺は報告に訪れたソシリアやラベリア達と

野営地で歓談をしていた


ソシリア)「シュンジ様のお陰で

犯人達を全員捕える事が出来ました

お父上にも御報告して置きますね」


シュンジ)「イヤ!それは止めておけ

今回の件はお前達と衛兵達で解決した事にしておいてくれ

ソシリアも気付いていると思うが

俺は実質の島流しだ

親父の胸中を騒がせる事だけは今は避けて置きたい

お前も俺と協力したとなれば余り良く思われないと思うぞ

彼はそう云う奴だからね」


ソシリア)「そっ!それは薄々感じておりました・・・・・

しかし残念でなりません・・・・・」


シュンジ)「まっ改名した名前を出す事に対しては吝かでは無い

其処等辺りを巧く利用して報告書は上げてくれ」


ソシリア)「ハッハイ!承知しました!

それとラベリアからもお聞きしたい事が有るのだそうです」


ラベリア)「先の盗賊達を尋問した報告書が上がって来ました

盗賊の捕縛及び移送中に起こったオークの大集団の壊滅は

全部シュンジ様御一人でやられたと有ります其れは本当の事ですか?」


シュンジ)「あ~ぁ

人ばかり増え振り回されパなのでスッカリ忘れてたよ

まっ有態に云えばそう云う事だ」


ラベリア)「獣人達を不思議な力で

強化してると云うのも本当の話ですか?」


シュンジ)「まあな」


ラベリア)「ではオーキングも倒したと報告書に有ります

もしそうならば片方でも良いのでアレを分けて頂きたいのです」


アレって何かと再度聞き返すと顔を赤らめながら

『片金』とっ小さな声でささやいた

本当に片金と可愛い顔してささやいたよ

普通は睾丸と言うとばかり俺は思ってた

なので俺は態と『あ~ぁ睾丸の事ね』とっ言ってやった


ラベリア)「そっ!そうです

睾丸です!!

呼び方を忘れていました!」


じゃっキンだけは忘れてないのかよ

とっ思いながら余り穿るのも可愛そうなので

理由を聞いてみる事にしたら

要はキリスタ教国から依頼が出されており

光金貨100枚(1億)なのだそうだ

依頼料等は別口で実際に100枚を全て貰えるらしいので

俺は片方を渡す事にした

如何やらAランクポーションを造るのに必要で

大陸中の冒険者ギルドに依頼が出されており

ギルドにも相当の金が入って来るそうなのだ


シュンジ)「成程ね

俺も金が必要だからその依頼は受けるよ

でも材料が有るからと云って簡単には出来ないと思うよ」


ラベリア)「たぶん練習用だと思います

一人B+を造れる者を抱えているらしいので」


シュンジ)「それって

奴隷紋付きで囲っているんだよね?」


ラ)「そうだと思います

それともう片方は如何するのですか?」


シュンジ)「そいつ等と同じ理由だよ」


ラベリア)「エッ!?

若しかしてAランクポーションが造れるのですか?」


シュンジ)「そうだけど

内緒にしておいてくれ」


ラベリア)「・・・・・・・・・・

けっ!結婚して下さい!!」


シュンジ)「いやいやラベリアさん

目が完全にカネマークになってるじゃないですか」


ソシリア)「プッ!(笑)

しかし報告書を私も読みましたが

一瞬で頭が消え去ったと有りますが本当にですか?」


シュンジ)「まあな

スキルの質問等はご法度と云うじゃないですか

其処等辺は秘密と云う事でお願いします」


ラベリア)「ランクをEに上げて置きます」


シュンジ)「そう?・・・・・

それじゃっ全員強いので

全員をお願いします」


ラベリア)「片金をくれるなら喜んで・・・アッ!・・・(汗)」

お後が宜しい様で(笑)


俺達は全員で野営地から移動してギルドに向かい

片金も渡し終えた

肉も分けて欲しいと頼まれたが

やはりベリアル達全員に食べさせたいので丁重に断った

最後に俺のカードをEランクに書き換えて貰い東門へと向かった

東門から若干残る道跡を目印に右折して50キロ南に向かうと

例の魔の森の入り口に着く予定だ


東門に着くと驚いた事に大勢の衛兵達が見送りに来てくれていた

手柄を立てさせてくれたベリアル達獣人の見送りに来たのだ

熱い抱擁と握手を繰り返し

中には途中で喰ってくれと手土産持参で見送りに来た者達もいた

生まれて初めてヒト種から熱いお礼を言われ照れまくりの様子

やはり感謝されるのは好いもんだな


俺達は狩りと採収を繰り返しながら楽しくドルサート森林を目指した

馬達は可愛そうだと云う事で表に出し同伴させる事にしたが

50頭以上の馬を連れた集団なので

魔物達に狙われるのではと思ったが

全員がサクサクと倒し捲り馬に近付く事すらも出来ない

馬と獣人達は相性が抜群な様子で互いに幸せそうだ

まあベリアル達獣人は全員がLvアップしているので

多少強い魔物が現れても早々負ける事も少ないだろう

問題は森林地帯に居る魔物達だ

Aランクの魔物も普通に居るらしいので要注意だ

兎も角森林地帯の手前10K程でキャンプを張る予定だ

とっ云う事でのんびりと馬車の旅を楽しもう



シュンジ)「ん~~困ったもんだな~」

要は俺達の後を追う複数の集団がいたのだが


ベリアル)「低ランクの冒険者達でしょうね

ヒト種の他に獣人達も混じっている様です」


シュンジ)「おっ!

ベリアルも気配察知を覚えたのか?」


ベリアル)「レベルが上がったら

何と無く感じれる様になりました

未だ私達三人だけですけど」


シュンジ)「そうか・・・

ではAランクレベルの300になったら

特殊能力を授けてやろう」


ベリアル)「そんな事も出来るのですか?」


シュンジ)「今は相手のスキルを奪うだけで

未だ与える事は出来ないんだ

なので俺も今練習中だ」


ベリアル)「我々獣人は魔力が弱くスキル持ちは滅多にいませんから

嬉しいと云うか楽しみです」


シュンジ)「強盗達やギルマスからも奪ってやったよ

まあ大したスキルは無かったけど無い依りはマシだよ

しかし未だ着いて来てるな

お前達に弟子入りでもしたいのかな?

悪意は感じないのでそうなのかも知れんぞ」


ベリアル)「ヒト種が獣人に弟子入りですか?

そんなの聞いた事も無いですよ」


シュンジ)「まあ年齢が若そうなので

柔軟な考えを持っているのだろう

俺としては嬉しいけどな」



俺達は森の手前10K程で立ち止まり野営をする事にした

本当はスグにでも突撃したいところだが

ベリアル達のレベルが未だ低いので

森の中を充分に調査をしてから進みたい

最低でもベリアル達の力がAランク超えの300に達してから挑戦だ

何せ此方は妊婦五人も抱えているのだ

慎重に行動しなければならない


今日の野営から結界は二重重ねにする

Sランクぐらいの魔物も居るらしいので其れに対応するためだ

鑑定に森林方向100K圏内に強い魔物が居るのか調べて貰ったが

最低でも三頭の魔物の存在を確認した

鑑定の予想では地竜の可能性が有る事を示唆していた

地竜は全高5mも無いがレベルは800以上の化け物だ

今日のリフォームでベリアル達は240~250位までは上ると思うが

如何考えても森林地帯に突入するのは未だ無理だ

ベリアル達五人が最低でも300超えさせ

一頭に対し俺達全員で挑戦する感じになるだろう

それに俺の収納が奴等の様な強い奴に通用するとは限らないし

他にもAランククラスの魔物達が100K圏内に数多く居る様子だ

此処では今日を入れ後二泊はしてレベルを上げる事に専念しよう





◇―――――――――――――――――――――――――――――◇


 後書き


☆♡フォローを入れて下さり感謝致します

正直とても励みになります

出張する事も多くノーパソで対応しようと考えていますが

パソコンが使えない様な山の中の仕事も有ります

途中で挫折しないよう頑張りますので

よろしくお願いします<(_ _)>


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