第2話 旅立ち(改)

 翌日俺は一日で準備を終わらせ出発する事にした

何故ならドルサート森林の中を通らないと

島に渡る南の波止場には着かないからだ

ドルサート森林は別名死の森とも呼ばれる強力な魔物が闊歩する巨大森林地帯なのだ

波止場に着くには森林地帯の中央の旧道を進まなければならない

森林地帯の入り口までは充分時間を掛けて赴きたい

俺は従者達を時間を掛け人知れずリフォームで進化レベルアップさせ

最低Aランク位迄の力を着けさせたい

そのため森の入り口まで本来二日の行程だが5日程掛ける心算だ

何せリフォーム出来るのが一つの物(者)に対し1日1回の限定だからな


城門を抜けるとき兵士達が哀れみを覚えた顔をして見送ってくれた

確かに島流しなので傍目から見れば哀れなのも充分理解が出来るが

然程俺は気にしてはいない

七歳の時

魔力が高いと云うだけで嫌がる俺を無理矢理孤児院から連れ出し

後は専属の使用人を付けほったらかし

挙句島流しと来たもんだ

あの親父は唯の強魔力少年少女コレクターだ

俺がいつか引導を渡してやる


此処で俺に付いてくる従者達を紹介しよう


名前 ベリアル(狼獣人)

年齢 30歳(執事、従者代表)

加護 無し

Lv 50(Dランク)

Lp 70

Mp 12

剣技  7(7/10)


名前 アリス(猫獣人)

年齢 16歳(メイド)

加護 無し

Lv 42(Dランク)

Lp 60

Mp 10

短剣  6(6/10)


名前 ゴリアス(熊獣人)

年齢 18歳(馭者)

加護 無し

Lv 48(Dランク)

Lp 62

Mp  9

戦斧  7(7/10)


名前 バイド(虎獣人)

年齢 30歳(調理師)

加護 無し

Lv 45(Dランク)

Lp 68

Mp 10

槍術  6(6/10)


名前 ラモデル(竜人)

年齢 85歳(営繕)

加護 無し

Lv 50(Dランク)

Lp 97

Mp  9

篭手  6(6/10)



シュンジ)「ベリアル

二里半程走ったら一旦馬車を止めてくれ」


ベリアル)「如何かなさいましたか?」


シュンジ)「俺の魔力で全員の戦闘力を上げる

そして・・・・・

てっ云うかさっきから後ろのあの馬車二台着いて来てないか?」


ベリアル) 「もっ申し訳御座いません

屋敷に居た他の獣人達なのです

どうしても着いてきたいと申してまして

いつ話そうかと迷って居りました」


シュンジ)「着いて来て貰えるのは有り難いが

とても危険な所なんだぞ

大丈夫なのか?」


ベリアル)「みな覚悟のうえです

みなブラウン様を慕っております」


シュンジ)「あっ言うの忘れてたけど

俺は今日より改名したから

新しい名前はシュンジ シマだ

みんなに告知してくれ

それと着いて来る事には了承するが

安全のため俺の能力で彼等も全員戦闘力をアップさせるぞ」


俺は休憩に入り次第馬を含め全員のレベルを上げる事にした

何せ此処等一帯は魔物と盗賊が結構出る場所だからだ

何故着いて来たのかベリアルに再確認すると

他のヒト種達からの嫌がらせや暴行が普段から酷かったのだそうだ

それも俺の妹弟達も暴行に加わったりしていたらしい


シュンジ)「そうだったのか

気が付かず済まなかった」


ベリアル)「いいえ何を仰います

私達も何も申し上げておりませんでしたから

分からないのも当り前で御座います

それに他の連中はシュンジ様担当では御座いませんでしたから

気が付かないのも当たり前の事で御座います」


シュンジ)「そう云えば

普段から俺の周りには何時も獣人達ばかりだったな」


ベリアル)「シュンジ様が近くに居れば

何もされませんでしたから」


シュンジ)「しかし何故

妹弟達迄も加わってたんだ?」


ベリアル)「それは

私達が獣人だからだと思います」


シュンジ)「え!?俺達は獣人を含め全員唯の人族なのにか!?

それに俺達は殆どが元孤児なんだぞ

人の優越等は語れんだろうに」


ベリアル)「シュンジ様

そう言って頂き有難う御座います・・・・・」


シュンジ)「何を言う

当たり前の事だ

混血も生まれるのだから同じ人族なんだよ

そんな事気にするな」


その後俺達は合流し6名だったのが総勢29名まで膨らんだ

そして問題視されたのが食料だ

俺は島に渡るまでに出来るだけ狩りをしながら移動を行う事にした


休憩中に俺はリフォームを行う事にしたのだが

魔力が枯渇したり具合が悪くなったりはしなかった

お陰でギリギリBランク(101~150)に3名が成り

残り25名がCランク(81~100)になった

しかし俺の戦闘力は余り上がらず

他のレベルの方が上がった様だ

それも馬と馬車のリフォームを行なってもだ


馬のリフォームは若さを念頭に置きリフォームを行ってみた

馬体が10%程大きく成り毛艶が可成り増し良くなった様だ

貧弱で瘦せ細っていた格安の老馬達が生き返った感じだろうか?

他の馬達も合流した事で10頭に迄増え

馬車のリフォームで二頭引きに改造しスピードアップを図った

馬車自体は足回りと幌部分が変わり箱車に成り

油圧式シリンダーでは無いが

軸自体が独立懸架に変わり板バネとスプリングが装着された

内装自体も変わりシートも前向きに成り

シートも柔らかな素材に変わり

可成り乗り心地が増した様だ

序でに此処等一帯は草原地帯でジャッカロープ(角兎)が生息するらしいので

肉用に何羽かと島での繁殖用に出来るだけ集めて貰う事にした

俺はレベルが低いので狩りは行わず警護に二名のメイドを引き連れ

ポーションや薬用の薬草集めをする事にした


アリス)「シュン様!

彼方に果物の木がたくさん有ります」


草原地帯の端の方は若干だが色々な木々が生えており

野生の果樹類も結構豊富だった

たぶん猿系の魔物等が食べ

糞の中に有った種が勝手に発芽し果樹が固まって生えていると推測した

猿系の魔物は強かで群れで行動するので注意が必要な魔物達だ

今は未だ全部が実る季節では無いのでもっと山奥に居るのだろう

果樹の中には薬効成分も含んでいる物も多い様だ

特にムベアケビやイタビイチジクの様な蔓性の種や

高生のミヤマヤマモモ、ミヤマヤマナシ等は効能が高い


俺は兎も角何でも移殖するため収納に採収していった

島自体が全部ハゲ島なのだ雑草や土砂ですら貴重なのだ

お陰で一帯が少し陥没し雑草すら無くなってしまっていた

此れを見たら猿達も結構怒るだろうな(笑)


アリス)「馬で来れば良かったですね」


シュンジ)「そうだな

今度は馬で移動しようか

此処等一帯も取り尽した様なので帰るか

そろそろ飯の時間だろう」


俺達が馬車の元へ戻ると

既に食事の準備が終わろうとしていた

俺が収納から出していた大型天幕が張られ

魔導大型コンロは全口フル稼働し

大型テーブルには結構な種類の料理が並んでいたが

未だ名前も知らぬメイドが質問をしてきた


メイド)「本当に私達も御一緒にしても宜しいのですか?」


シュンジ)「当り前だ

皆で喰った方が味も良くなるではないか」


メイド)「同じテーブルでですか?

それにこんな豪華なお料理を?」


シュンジ)「当り前だろう

他に何処で喰うのよ?

遠慮せず好きなだけ腹一杯くえ!」


結局俺が希望した通り

同じテーブルで食事を囲んだ

俺がスープのお替わりが欲しくて立上がると


ベリアル)「如何なさいましたか?」


シュンジ)「あ~ぁ

スープのお替わりが欲しくてな」


ベリアル)「そんな事

私共がやりますのでお座り下さい」


シュンジ)「気にするな

どれ位の量が欲しいのかは俺しか分からんし

それに気を使われると俺の気持ちも落ち着かん

気楽にしてないとお前達自身も疲れるだろう

先ずは俺のやり方に早く馴れろ」


俺は昼食後採収した薬草でポーション作りにも挑戦してみた

テーブルの上が片付いたので買ってきたテーブル魔導コンロを幾つか並べ

水の浄化を行い聖水を作りお湯を沸かしながら材料の仕込みに入った

作り方は鑑定魔法と屋敷から持ってきたポーション系の本を参考にしたのだが

鑑定魔法と本とには乖離が有り微妙に違うのだ

仕方が無いので取り敢えず鑑定の方を採用する事にした

本は古いので情報も古いのではと思ったからだ

結果集めた材料で出来たのがB,C,D,Eランク各50本づつだった

それを鑑定してみるとB+,C+,D+,E+と出た


シュンジ)「お~いベリアル出来たぞ

味見してくれ!

悪ければ少し改良しようと考えている」


しかしベリアルはそれを見て驚いていた


ベリアル)「鑑定の結果はB+なんですよね

お屋敷で薬局に良く行かされていたのですが

B+の販売価格は金貨12枚(日本円で約216万弱)でした

シュンジ様は下手に島に渡らず何処か違う所で薬師を始めた方が・・・・・」


シュンジ)「え!?

それだとお前達の暮らす場所が無くなるだろう

島は俺の魔法で開拓したら一生物だぞ

お前達にとって終いの住処で価値が全然違うだろう」


涙を滲ませウンウンと頷くベリアル


シュンジ)(あれ!?

俺何か感動させる様な事言ったかな?・・・・・)


ベリアル)「後一つ危惧する事が有ります

B+を造れるのはキリスタ教国が抱える一人だけの薬師なのです

噂ですと奴隷紋を付けられ逃げ出す事も出来ず

囚われの身との噂が有ります」


シュンジ)「詰まり俺自身が危険かも知れないと云う事か?」


ベリアル)「飽く迄も噂ですが

信憑性が高い噂の様です

シュンジ様はポーションの経済性を余り御存知無い様ですので

お教えしますが

Aランクから行き成り値段が跳ね上がります

それはAランクから上のランクを造れる者が此の大陸には居ないからです

AとSランクはSランクダンジョンの下層で時々ドロップするアイテムで

Aランクで光金貨500枚(5億)

Sランクで光金貨10000枚(100億)

とっ云われております

まさかとは思いますが?・・・・・」


シュンジ)「ベリアルは鋭いね

俺の鑑定の説明では材料さえ有ればGDランクまで造れる様だぞ」


ベリアル)「GDランクですか?

どの様なランクなのでしょうか?

初めてお聞きしましたが」


シュンジ)「如何やら

SS,SSSの上がGDランクの様だぞ

効能は部分欠損、癌等の疾病、呪いの解呪と寿命が100年程

伸びると説明が有ったな

たぶんGDとはゴットの意味じゃないのかな?」


ベリアル)「エッ!?」


ベリアルは自分の想像を余りにも超えていたため

言葉を無くしてしまった様だた



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