養父に命じられ島流しを受け入れた少年

白嶺葵(シラネアオイ)

第1話 島流しを受け入れる(改)

 俺は

レイオーク辺境伯の長男でブラウン・ハイデフォン・レイオークだ

長男とは云っても孤児院出身のただの養子だ

レイオーク辺境伯は各地の教会が運営する孤児院等から

魔力が多い子供達を次々に養子にして回っている

その数は俺が知るだけでも50人以上は居るだろうか?

でも12歳になり成人の日を迎え

此の日を境に人生が大きく変わってしまったのだ

12歳を迎える子供達は教会の祝福と云う名の加護を受ける為に

領都の中央教会に集められる

其処で俺が貰った加護がリフォームだった


父と教皇は大いに慌て領都一の鑑定師を呼び鑑定をする事になった

何せリフォームと云う加護は国中の記録を調べても何処にも無かったからだ

鑑定師が訪れ鑑定した結果

住宅等を改築する加護だと云う事が分かり

父はキレ

俺は排斥され領地分配と云う銘分で島流しにされる事になった


辺境伯)「貴様の様な役立たずがまさか混じっていたとはな・・・・・

役立たずは我が屋敷から追放する

そうだな~ん~・・・・・只排斥し追放したのでは見聞が悪い・・・・・

そうだお前の様な屑にピッタリの独立用領地をくれてやろう

そして我が家名を二度と名乗るでない!

お前は其処で独立をしレイオークとは一切係るな

使用人と金は付けてやる

猶予は三日だ

他に質問は無いか?・・・・・

ん?あ~我が屋敷の物は何でも持って行って構わん

何なら空にしても構わんぞガハハハハッ!

その代わり島には必ず渡るのだぞ

もしも本土に居残ったら刺客を差し向ける

分かったならさっさと此の場を立ち去れ!」


一人で何やら語りまくってはいるが

辺境伯が言っている島とは聞こえは良いかも知れないが

標高が低く台風等の大風で島内の土砂は全て吹き飛ばされ

唯単に面積だけが大きい岩盤だけが残った不毛の島なのだ

俺は屋敷にある記録簿を閲覧していたので

島がどの様なものなのかはある程度は知っていた

レイオーク辺境伯の領地にも拘わらず

周辺諸国は流刑地としそれを勝手に使用している様な状況で

別名骸骨島とも称される所だ

真に飢えと渇きが支配する死の島に行かせようとしている


俺の貰った加護はリフォームだったが

加護を受けたと同時に俺は前世の記憶が蘇り日本人で有った事を思い出した

俺の本当の名前は志摩峻治しましゅんじ

農大出のしがない地方公務員だったが

突然死でこの世を去り異世界に転生していたのだ

加護を受けた事が引き金になり俺は全てを思い出し始めていた

他に転生特典として此の世界の神から膨大な魔力を貰い

幾つかの魔法をも付けて貰っていた事を


俺は三日後にレイオーク領を出なければならない

見聞が悪いので従者五名に幌馬車を付けて貰う事になったが

事実上の死刑宣告の様なものだ

俺自身も然る事ながら従者達の命も守らなければならない

兎も角此処は魔法にでも頼るしかないだろう

従者達はヒト種では無い

全員が獣人種達で体の良い追い出しなのだろう

そして今迄は見れる事すら理解していなかった

ステータスプレートを呼び出し自分の能力を確認する事にした


名前 シュンジ シマ(志摩 峻治)

年齢 12(28)

加護 聖改造魔術(リフォーム)

特典 生活魔法 鑑定魔法 錬金術 時空間収納(Mp連動)

Lv 15

Lp 55

Mp 1000000

剣技 3(3/10)

槍術 1(1/10)

弓術 2(2/10)

短剣 1(1/10)

火術 1(1/10)

水術 1(1/10)

風術 1(1/10)

土術 8(8/10)農耕に特化した魔術

緑術 5(5/10)植物育成に特化した魔術

白術 5(5/10)医療に特化した魔術

闇術 5(5/10)隷属等の呪詛系に特化した魔術

*錬金術とは薬やポーション、ゴーレム等も生み出せる

*聖改造魔術は一つの物に対し一日一回の使用制限有り

 生物にも使用可能で進化させる事も出来る

*各魔術は使用すればする程ランクアップしていく

*鑑定は人、動植物、魔物、物質等あらゆる分野で使用出来る

*LpMpに関しては上昇率の上限は無い

 Mpに関しては高位なので暴走しない様注意が必要


成程あらゆるリフォーム関係に特化した様なレベルだな

戦闘力の能力が極端に低いが

収納と鑑定が有るのは有り難い

養父からは渡された金は金貨5枚(日本円にして約90万円強)

屋敷内外に有る欲しい物は何でも持っていっても良いと云う話しなので

収納を使い価値が有りそうな物を全部換金用に入るだけ持って行こう

幸い俺の独立のための報告で養父は10日程王都に行き不在だしな

全部持って行っても構わないのかと質問したが

大笑いしながら全部持って行けと云われたので

本当に全部持ち出し換金してやろう

俺には五人の従者を守る義務が有るし

食料品や生活必需品調達には金が掛かるのだ


しかし俺の加護がリフォームと知った途端に見事な掌返し

養父や妹弟達は凄い変わり身の早やさだ

俺は思わず笑ってしまったよ


兎も角俺は従者達に旅支度を頼み

ただ只管換金出来そうな調度品や絵画等をドンドン収納していった

金は駄目と云われていたので金庫には手を付けなかった

それ以外は灯りの傘までも収納を繰り返し

略屋敷内は空に成り始めヒト族のメイドや使用人達は目を丸くしていた

養父が使用人達の前で全て持って行けと公言したのだから止める術も無い

続いて庭にまわり馬房や物置迄も収納して行き

庭に植えられている樹木や草花等も収納し捲った

それを見て焦ったのか後を任されている従士長が止めに入ってきたが

「え!?全部持って行けと云われたぞ

真か邪魔をする心算か?」とっ云うと頭を抱え始めた

従士長も真か大量に物が入る収納持ちとは理解していなかった様だ

まあ後々知られてもドルサート島まで来るのは至難の業と思われるので

考えようでは自主が守られ易いと云う事なのかもな?

俺は止める従士長に対し少し頭に来たので

芝生や屋敷を囲むブロンズ柵や柵の土台の煉瓦までも全部収納してやった

改めて屋敷の敷地全体を見ると土が見え丸裸になってしまっていた

そして中々に素晴らしい嫌がらせだと俺は改めて思うのだった

でも此れは当り前と云えばまあ当たり前の事なのだ

何せ骸骨島に行けと云う事は死ねと云われている様なもんだ

使用人達もそれが分かっているので何も言えないのだろう

まあ後はお情けで養父や養母弟妹達の私物は手付かずの侭にしておいた

養父が帰って来たらさぞ驚く事だろう

食器も酒も食い物すら無いのだ

驚く顔が見れないのは少し残念だが

行き成りの掌返しの罰だと思って欲しいな(笑)


俺はスグに贅沢品や骨董品等高値で換金出来る物を

知り合いで有るローゼス商会に持ち込み

商会長のローゼスには大歓迎され光金貨100枚(1億円)で

餞別の意味も含め高値で買い取って貰ったのだ


ローゼス)「ブラウン様今回は大変有難う御座います

珍しい物ばかりなので高値で売り捌けると思います」


シュンジ)「ローゼス!

云い忘れていたがレイオークの名をかたれないので名を改めた

新たな俺の名はシュンジ シマだ

宜しくな

それと移転する島で色々と生産製造したいのだ

上手く生産や製造が出来たら取引をお願いしたいのだが」


ローゼス)「失礼ながらあの島で何か産業が起こせるのでしょうか?

全面岩だらけの島と聞き及んでおりますが?」


シュンジ)「それに関しては我に勝算ありとしか言えないな

たぶん最初は塩、胡椒、砂糖、薬、ポーション類になると思う

対岸の死の森側も少しだが渡し場として領地が有るので

冒険者でも寄越し狼煙を上げてくれれば渡し場まで迎えに行く

まあ~騙されたと思って暫くは付き合ってくれ」

このとき俺は本土側の死の森も制覇する心算りでいた


ローゼス)「承知致しました

今上げて頂いた品はどれも高値で売れます

そう云う事でしたらお付き合い致しますので宜しくお願い致しますが

渡し場を含む森には強力な魔物達が数多く生息していると聞き及んでおりますが?」


シュンジ)「それを含めた上での我に勝算ありだよ

まあローゼス自身安心は出来ないかも知れないが

俺には自信が有るのだまあ騙されたと思って暫く付き合ってくれ

それでは取り敢えず

一月後にサンプルを渡すので誰かを寄越してくれ」


ローゼス)「承知致しました

期待しておりますので宜しくお願い致します」


俺は雑談後ローゼス商会を後にし

食料調達のため市場に向かう事にした

そう云えばローゼスは俺の収納魔法の事を危惧していたな

収納魔法は腕の良い錬金術師であれば誰でも人に生やす事も出来るし

魔道具として色々と作り出す事も出来る

しかし内容量が極端に少なく精々1m四方位しか収納は出来ないのだ

俺の収納魔法は明らかに可笑しく容量自体が多過ぎる

稀に一億人に一人位容量が大きい人物が発見されるが

軍が全て抱え込み独占してしまうのが常だ

但し大きいとは云っても10m四方位らしいのだが

今回運び込んだ換金用の品物が10m四方では入り切らない

軍部や王国に知られた場合出頭命令が下されるのではとローゼスは心配顔だった

確かにその心配は有るが俺は然程心配はしていない

何故なら俺のリフォームは武器にも有効で

武器自体も進化させる事が可能なのだ

詰まり中世レベルの科学力で21世紀の科学力に敵うはずが無いからだ

俺はリフォーム自体を鑑定しその事実を知ったばかりだったのだ

俺はローゼスを安心させる言葉「我に策有り」を残し安心をさせたが

本人が安心するか如何かは分からない

ローゼスは最後まで不安そうな顔で見送ってくれたが

俺には本当に策が有る

俺のリフォームは生物にも適用が出来るのだ

詰まり俺の従者を進化させ強力な力を持たせる事が出来

進化した武器や装備

それに進化するゴーレム等も造りだす事も可能なので安心はしている

俺は神から貰った力と前世の記憶で大きく羽ばたく心算なのだ


兎も角俺は市場に着くと

穀物、野菜、果物、肉、衣料品を

どんどん買い占めていった

農業もやりたいので種と苗も大量に集める心算だ

島での食料調達は魚以外は殆ど無理だろう

最低でも余裕を持たせ1年分以上の食料を調達したい

俺の収納は基本的に時間経過が無く

一旦収納してしまうと中の生鮮食料品が腐る事も無いのだ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る