第23話 虫使いの傭兵


 此処はレイオーク辺境伯の下屋敷

彼は中古の馬車を買い大工に奴隷起動のチャリオットを

300台造らせていた

それはソヴルの街に駐屯する装甲戦闘車が200台有るとの情報を得ており

数の上で優位に立ちたいと考えたからだ

その代わり光金貨七千枚の借入金が発生しているが

此の二人は何やら良からぬ事を考えている様子なのだ

チャリオットはソヴル奪還作戦に使う予定でいる

丁度其処に執事のルーベルトが現れて何やら話をしている様子


ルーベルト)「如何致しますか

相手は魔導士が結構居ると情報が入っております」


ハイデリ)「そうよな~センチピート《*》使いか~

如何も虫は醜いので好かんのよ」


ル)「相当やり手のの様で

部下にオーク使いとコボルト使いが居る様です

断った方が宜しいですか?」


ハ)「金貨5000枚か~結構痛いのう~

ブラウンの所為で結構な出費が有ったからのう」

*峻治を追い出す際全部持って行けと豪語し

本当にあらゆる物を持ち去られてしまっていた

これぞ口は禍の元か


ル)「ではこうなされては如何でしょうか

馬車代、大工代、奴隷代を契約とは違い遅らせて分割にするのは如何でしょうか

所詮は自領の領民踏み倒しても何ら問題ないと考えますし

それに敵兵を追い出せば賠償金や慰謝料等も取れると思いますが」


ハ)「確かにそうよな~

最悪何か理由を付け首を刎ねてしまえば良いか」


ル)「そうで御座いますとも

此の領地はハイデリ様個人の領地なのです

序でにソヴルを奪い返し

相手から大枚を巻き上げれば宜しいのです」


ハ)「分かった

その傭兵を雇おう」


しかし残念ながら

此処にも忍者ゴーレムの監視の目が光っていたのだ

今の会話は全て録音され

マザーゴーレムに全て送られていた

そしてそれは峻治の手から

レイオーク領商業ギルド会頭の耳に入る事となる


ローゼス)「誰だ!?」


忍者)「シュンジ様の使いの者に御座います

此れを受け取り耳に当てて下さいませ」


シュ)「会長!聞こえる?

この前のサンプルの引き渡しは行けなくてごめんね」


ロ)「これは此れはシュンジ様

此れは何とも素晴らしい魔道具なのでしょうか」


シュ)「俺の友人達が造ってくれたのさ

今はソヴル港の船の中から連絡している」


ロ)「ほう~

何とも恐ろしい魔道具ですな

でも今日は魔道具自慢をする為に連絡をして来た訳ではありますまい」


シュ)「そうだね

まあ~世話になっている礼として

此れを聞かせよう

此れはハイデリと執事のルーベルトの会話を盗聴したものだ

先ずは聞いてくれ」


ロ)「・・・・・・・・・・」


ロ)「此れは何とも酷い

国とは独立した機関の商業ギルドの会員を嵌めるとは

宰相に連絡を付けても宜しいでしょうか?」


シュ)「音声だけでは弱いので

画像も合わせよか

連絡員にスマフォを渡して下さい」


ローゼスは忍者にスマフォを渡し

音声付き動画を見れる様にして貰い動画を再確認した


ロ)「此れは何とも凄い!」


見終わると再びスマフォを忍者に渡し

俺と話せる様にして貰い

ローゼスとの会話に戻った


シュ)「スマフォは渡せないけど

貸す事が出来る

でも操作が出来ないよね」


ロ)「では

忍者ゴーレムさんをお借りする事は出来ませんか?」


シュ)「そうだな~?

では個人的に会ってスマフォも忍者も人前に晒さないと云う

条件で良ければ貸し出すよ」


その後ローゼスと話し合い

宰相に此の動画を見せる事になったのだが

ハイデリにとって不運だったのが

宰相は王都を出て既にレイオーク領の真近に迫っていた事だ


ハイデリがソヴル奪還作戦出発した後

宰相率いる調査団250人がレイオーク領に到着したのだが

宿営地をレイオーク辺境伯邸と決められていたはずなのに

ハイデリは余りにも責められ過ぎて完全に頭からスッポ抜けしてしまっていた

驚いたのが執事のルーベルトだ

まさか宰相が行き成り来るとは流石に思ってもいなかった様だ


宰相)「何!ハイデリはソヴル奪還の為もう向かったのか?

儂は聞いてはおらなんだぞ

それに儂が来たのは突然の事では無いぞ

この前王城で陛下の前で決まった事だぞ

ハイデリは一体何を考えておるのだ

まあ~この件は分かった

それとソヴル奪還作戦の件は委細承知した

今日は此の屋敷に逗留するので準備を致せ」


その話を聞きすっかり舞い上がってしまったルーベルト

急ぎハイデリに早馬を走らせるのだったが

その夜宰相からローゼスが何人かの友人達を引き連れ来る事を

ルーベルトは知らされた

ローゼスはレイオーク領に入る前の宰相と話し合い

既に事の成り行きを全て知らされていたのだ

詰まりハイデリとルーベルトの会話は既に知られていたのだ


そしてその夜其処に現れたのは

ローゼスと馬車屋、大工の頭領、奴隷商の四人だったので

更にルーベルトは驚くのだった

まあ驚くのも無理は無い

支払いを踏み倒す計画の三人とローゼスだったのだからだ


四人と宰相は何やら楽しげに食事を取り

何を話しているのか気が気では無いルーベルト

席払いをされているので

ルーベルトには委細が聞こえないのだ



代わって此方はソヴルの北側の最前線

戦闘装甲車200台が待ち構えていたが

ハイデリの軍が到着するのは明日の昼頃と推察されたので

峻治、ベリアル、マーベリカとボス達三匹は

焼き肉パーティーを満喫している所だった


べ)「それでは本当に転生者が居たのですか」


シュ)「うん

流暢に日本語も話すし

名前も日本人の名前の様だ

但し三百数十人の中で一人だけだけど」


マ)「意外と転生者とは

目覚めぬ侭死んで行く者達も多いのではないでしょうか

わたしの場合恨みの方が大きく最初から分かっていましたが

其れは稀な事なのかも知れません」


シュ)「確かにそうだな

でなきゃ世の中転生者だらけだもんな」


その夜魔牛一頭がまるまる消費されていた

大半はボス達三匹での消費だが



その頃ハイデリの野営の陣では

早馬から知らせを受けたハイデリが少し焦っていた


ハ)「ハッ!!

思い出した!!

宰相は確かに調査隊に同行すると云っていた!!」

ハイデリはやはり少しおバカなのかも知れない


両陣営は明日に向け休養をシッカリと取る事を忘れない

峻治は傭兵達が持つ金を全て奪い尽くす心算でいる

今迄の戦闘では全て峻治のボロ儲けだから

明日も全て頂く心算の様だ

但し本人は沈没船引き上げの方が金になると思っているし

胸のワクワク度も沈没船回収の方が遙かに上なのだ



翌朝何時も通り目を覚ました俺は

朝の散歩序でにハイデリの状況を空高くから見詰めていた

そしてその離れた一画に丸まっている巨大生物を発見した


シュ)「センチピートとか云う奴らしいな

如何やらテイムされているようだ

レベル1800と鑑定がでた」


ベ)「あの大きさは脅威ですな~

全長100m以上は有りますぞ

体当たりでもされたら吹っ飛びます」


シュ)「でも全身ポーションや薬の材料になるのだそうだぞ

敵も良い物を運んでくれたもんだ」



一方此方は虫使いの傭兵のペシギリア


ペシギリア)「ん!?バイラーク!

如何した?敵か?」


突然警戒音を上げるセンチピートのバイラーク

バイラークは強い相手が近付くと魔力を探知し警戒音を上げる性質が有る

空を見上げながら尚も警戒音を上げている


ペ)「お前が此処まで警戒するとは

相当の強敵の様だな・・・・・

オイ!お前等起きろ!

敵の偵察の様だが強い相手が空中に居るぞ」


部下A)「何も見えませんぜ」


ペ)「恐らく隠蔽魔法で偽装でもしているのだろ」


A)「初めてのタイプですね

姿が見えないのは少し厄介な気がしますぜ」



午前8時になるとハイデリの陣も腰を上げ

出陣の準備が整っていた


ハ)「それでは前進だ!

進めーーーーー!!」


「前方500!!敵襲!!

敵チャリオット物凄い速さで迫って来ます!!」


ハ)「戦車隊前ーーーーー!!」


「駄目です!

敵が早過ぎて陣が組めません!!」


ハ)「虫使い!!

前面に出て敵チャリオットを蹴散らせ!!」


ペ)「おうよ!!

任せろ!!バイラーク行くぞ!!」


その頃バイラークは上空から峻治にに巨大な杭を頭に打ち込まれ

地ベタと頭が縫い付けられのた打ち回り

周りに控えていたオーク軍団とコボルト軍団が

巨大な身体に踏み潰されていたのだ


ペ)「んっ!?

如何したバイラーク・・・・・?????

何だ!!バイラーク!如何した!?」


部下B)「駄目です!!

バイラークの頭に巨大な杭が刺さり

周りに居たオークとコボルトが略全滅しました!!」


ペ)「何だとそんな馬鹿な!!」


ハ)「役立たずの虫使いがーーーーー!!

金を返せーーーーー!!

奴隷戦車隊は突撃せよーーーーー!!」


ペ)「生き残りだけで退避しろ!!

俺はバイラークの杭を抜く!!」


A)「ではオーキングも向かわせます

力だけならこの中で一番ですから!!」


ペ)「分かった!!

俺も向かう!!」


略動きが止まり始めたバイラークの頭の上に登ろうとすると

オーキングの頭が突然吹っ飛んだ


ペ)「なっ!!何だ!!如何した!?」


すると丁度ペシギリアの眼前のバイラークの頭に刺さった杭を持ちながら

隠蔽を解いた峻治とボスが現れた


ペ)「何者だーー!!??」


峻治はニヤリと笑い

「正義の味方に決まってるでしょ!」とっ乃賜わったのだ


ペ)「貴様ーーー!!

フザケやがって

ウッ!!・・・・・」後ろには手刀を首筋に撃ち抜いた

マーベリカ11世が静かに佇んでいた


そして生き残っていた

オーク軍団とコボルト軍団もベリアルとフェンリカ達により

首を落とされ全滅していたのだ


一方対戦車戦の方は

装甲戦闘車200台のパラライザー攻撃により

馬車改造戦車、騎馬隊、歩兵部隊全てが気を失い全滅していた

そして何故か一人だけ取り残され青い顔をしたハイデリが

悲鳴を上げながら馬に跨り退却して行ったのだ


ベ)「あれで宜しかったので?」


シュ)「屋敷に逃げ帰ると

待ってる人達が居るからね

まあ彼等の希望を聞いたまでの事

もしかするとアイツ破産するかもよ?」


マ)「正に残るも地獄

逃げるも地獄ですな~(笑)」


そう逃げるハイデリの屋敷には

恐い借金取りが待っているのだ

踏み倒そうとしても宰相が居るので其れも無駄で有ろう

此れで峻治は宰相と国王に貸し一つ作った訳だ


こうして戦いは終わり

ソヴルの領地は街道まで広がり

水面下では飛び地バレバンが日乃本に譲渡される可能性が出て来たのだ

今回ハイデリが作ってしまった借金は

其の侭国が抱える事になり

ハイデリ・ハイデフォン・レイオーク辺境伯領は

正式に取り潰しになる事だろう

そして借金を肩代わりする峻治は

バレバンの街を日乃本領にする事になるだろう


是にてムンジェン王国攻撃の下準備が全て整う事になるのだ

マーベリカ11世は嬉しくて仕方がない事だろう



*大型のムカデの怪物

全身薬やポーションの材料にもなる


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