第22話 元日本人の逃避行

 

 俺はゴウダハン山脈の高地に有るレイシッピ王政共和国の者だ

そして俺の村はまたその更に高地に有るバシアレン村で

其処で俺は村長をやっている

名はゲイリンと云う

歳は39で女の子が二人いる犬人族だ


我々は村を捨て山脈の反対側の南の森を目指して逃げている

村の総人数300人以上で人間、獣人、亜人、魔人の混合だ

昨年の干抜の影響で残して置いた種籾を年貢として奪われる事になり

我々は村を捨て逃げる事にした

4月後半とは云え北斜面の盆地状の地形なので積雪量はとても多い


南の森を目指すのにはちゃんとした理由が有る

行商人から聞いた話しなのだが

南に有る骸骨島と云われる所に

人種差別をしない国が建国されたと聞いたからだ

たぶんそれだけだと南の国を目指す事は無かったで有ろう

それとは別に国名が日乃本

国旗が白地に中央に赤い丸だったのだ

それを聞いて俺の胸は躍った私と同じ転生者が居る

間違い無く元日本国民だ

同郷の者達を集める為に国名が日乃本に日の丸の国旗なのだと判断した

そして行商人の話では進んだ魔道具を発明し

多用していると云う話しなのだ

それで私は此の情報が本物だと確信した


一週間後に徴税官が来ると連絡が来たので

俺は全員を連れ逃げる事にした

村人達は全員賛同してくれ今回の逃避行に繋がったのだ

幸い老人達もいるが足腰だけは未だしっかりしている


年貢が収められなければ

また村の娘達を何人か性奴隷として差し出さなければならない

自分達の可愛い子供を差し出すなんてもう嫌だ

俺は元日本人で有ろう人物に賭ける事にした

此のゴウダハン山脈を越え南にさえ行けば雪が減る

今は歩き辛いが南斜面に入れば

足元も楽になるはずだ


雪深い斜面を歩き暗くなれば雪穴を掘り

毛皮を被り寝るをもう三日も繰り返している

そろそろ体力の限界を感じてくる者が出てくる頃だ

そして四日目の早朝の事だった

前方から白い魔物が飛んで来るのが見えた


ゲイリン)「みんな頭から白い物を被り

伏せろ!!」


俺は一人剣を抜き魔物を待ち構えたが

前方30m付近に奴は着地した

デカい!!

俺はそれを見て勝てる見込みは無いと感じた


ゲ)「ボイラス!

俺が時間を稼ぐ

その間に皆を引き連れ後退しろ

分かったな!

サッサと逃げ・・・・・」


すると白い魔物の上から薄緑の人間が降りてきて

何やら俺達に呼び掛けている


ゴブ人)「お~い

お前達、こんな所で何をしている?」


相手は雪崩を起さぬ様

余り大声は上げては来ない

俺は彼に近付き呼び掛けに応じた


ゲ)「俺達は避難している所だ」


ゴ)「一体何から避難してるのだ

此の先は我々の領地で不法入国になるぞ」


そう彼はゲイリン達が目指す日乃本の監視要員だったのだ

上腕部に縫い込まれた日の丸を見てゲイリンは驚いた


ゲ)「おっお前!

若しかして日乃本人か?」


ゴ)「おーっ!

そうだけど」


ゲ)「俺達は日乃本を目指している

俺は元日本人だ!」


ゴ)「ホントにか!?

今連絡を取る

暫く待て」


彼は首を左に向けレシーバーに話し掛けた


ゴ)「此方③!③送れ!」

此方③!③送れ!」

『此方㊥!㊥感度良好送れ!」

「元日本人らしき一団を発見

数300以上送れ!」

『元日本人らしき、数300、了解した

安全確保して待機されたし

安全確保して待機されたし』

「了解した

ビーコンを上げて待つ」


バイカル)「俺はバイカル

一時間程で救助隊が到着する

此の先400mにちょっとした台地が有る

救助がし易い

移動の難しい奴は居るか?」


ゲ)「俺はゲイリン

村長だ!

何人か居るかも知れん」


バ)「分かった

俺の相棒に運んで貰う」


バイカルは相棒のニコを呼び

弱っている者を運ぶ様に頼んだら

何と魔物のニコが『了解!』とっ言葉を発したのだ


俺達はバイカル達の手を借り

山を回り込み南東の斜面の台地に出た

暫くすると遠くの方に白い塊の様な物が見えて来た

近付く塊を見て俺は驚いた

超大型のドローンだ

機体には赤ラインに赤十字

まるで空飛ぶ救急車だ

こんな文明の低い異世界に救急車の超大型ドローンなのだ


ドローンを着陸させる為

俺達は端の方に避け着陸させると

ロボットが降りてきた


ロボット)「元日本人は何方ですか?」


何と日本語で話し掛けて来たのだ


ゲ)「おっ俺です」と右手を上げた


ロ)「僕は石川正勝、転移者です

貴方は?」


ゲ)「俺は佐藤茂幸です

転生者です」


石川「ようこそ

ネオジャパーン日乃本へ」


佐藤)「あっ有難う御座います」

俺は思わず泣いてしまった

異世界生活は長く苦しい戦いだった


救助ドローンに乗ると

看護服の獣人達がココアらしき物を飲ませてくれた

旨くて甘い

俺は前世で飲んだココアの味を思い出した

そして日本って豊かで素晴らしい国だったのを思い出した


石)「今は戦争状態なので来れないが

うちの代表も連絡したら喜んでいたぞ」


佐)「そうなんですか

俺も会うのが楽しみです

ところで戦争とは?」


石)「馬鹿な近隣諸国が突然攻撃を仕掛けて来るんですよ

それを裁くだけでも忙しいのです

殆どが瞬殺されているのに懲りない連中もいるんですよ」


佐)「日乃本は豊かな国なんですか?」


石)「間違いなく此の惑星一豊かだと思います

未だ小さな点が豊かとは行きませんが

食べる物と味には困っていませんよ

今は福利厚生学校教育の準備行っています

日本よりも豊かな国を造るため邁進している最中です

佐藤さんにも協力して頂きたいです

元日本人が少なく理解して貰うのに時間ばかりが掛かっています」


佐)「あ~ぁ分かります

騙されてるのではと変に勘ぐるでしょうね」


今向かっている所は北門で

今飛んでいる所が北の森林とレンガリア平原で

もうすぐ日乃本の領地として

各国に宣言するのだそうだ


とっ云うか村のみんなや

妻や娘達が羨望の眼差しで俺を見詰めていたのだ

如何やら石川さんと日本語で話していた事に驚かれたらしい



  ************************


 俺はドラゴンバスターズのリーダーでマイスコフだ

如何云う訳だかみんなからドラゴンと呼ばれている

其れも此れもみんなベリアルさんの所為だ

俺に会う度にドラゴンと呼ぶので

皆にもドラゴンと呼ばれる様になってしまった

なので知らない人達にはドラゴンの様に強いと認識され

本当に困っている

誤解とは恐いもんだ


日乃本の人達は全員が強くて

Aランク以下の人達は殆ど居ない

魔法を使わなければ一番弱いのがシュンジ様らしいけど

それでもレベル400以上は有るらしい

俺達ドラゴンバスターズは全員がレベル60ちょっとなので

5人全員を足しても全然ダメなレベルなのだ

シュンジ様よりも全員が年上なので何だか悲しいぞ俺は


それから初期日乃本人は全員が聖獣のフェンリカを相棒にしている

フェンリカは聖獣と呼ばれるだけあって

レベル5000以上の強者らしいのだ

シュンジ様と何時も一緒に居るボスなんて

レベル10000を超えているらしいのだ

レベル一万超えなんてどんだけ強いのよ

神級の伝説の古代竜並みじゃんか

俺もフェンリカを相棒にしたい

絶対にした~~~い



  ************************


 我はハイデリ・フォン・レイオーク辺境伯で有る

由緒正しき名門の生まれなので高貴である

それがーーーーー!!

本来の長男であるブナイクのバカため儂は危機的状況なのだ


あのバカが領民を殺し捲るは

女は子供でも犯し捲るは

座敷牢に入れたにも拘わらずザトレアの奴が出してしまった様なのだ

それで実家であるソヴルでまたもや暴れ回り

宰相の耳に入ってしまった様なのだ

オマケに他国に宣戦布告をし

港街ソヴルは変な名前の国に占領されてしまい

王都では大騒ぎになっている

更にまたオマケに島流しの追放をしたブラウンの名が突然挙がっているのだ

それも骸骨島で活躍をし

島が大発展してると云う変な噂話しまでもが出て来ているのだ

俺は天中殺か!!(ホソキさ~ん)


まあブラウンの事は如何でも良い

先ずはソヴルの奪還だ

商人に聞いた街の状況は新しい領主が大人気で

街が活気に溢れ

スパイ商人すら新しい領主を褒め称えるのだ

なんだ此奴

儂は頭に来て蹴りを何度も入れてやり

動けなくしてやった

久しぶりに少しだけ気が晴れたぞ

弱い奴を甚振るのは楽しいもんだ


さてソヴルとの国境線だが

あのチャリオットは何処に売っているのだ

儂も買って対抗せねばならぬのに

何処で買えるのかすら分からん

魔道具の巨大版と云うのは見て分かるのだが

それを造る魔導士かドワーフが見付らんのじゃ

流石に鉄ぽい塊を騎兵に襲わせる訳にはいかんだろ

下手すると此方が全滅しかねん


戦車には戦車だ

儂は或るアイデアが浮かんだ

此方も馬車を改造し新型チャリオットを産み出すのだ

そうだ大工を呼ばせ

中に奴隷を入れ歩かせれば良いではないか

そして上部にバリスタの小型を乗せれば新型のチャリオットが完成する


ハイデリ)「おーい!!誰ぞ!!

至急中古の馬車と大工を集めさせよ

大至急だぞ!

分かったらサッサと行かぬか!!」


しかし儂ってホント頭良いよな

ガハハハハッ!!


此方は代わって

ハイデリに雇われていたスパイ商人

診療所に担ぎ込まれ痛みでうんうん唸っていた

「クソーー!!デブタの奴め~~~~~ッ

いつかいつか絶対に殺してやる

此の恨みを絶対に忘れんぞーーーーー!!」

声にならない声を上げ痛みに苦しんでいた





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 後書き


遅くなり申し訳ありません

今の現場の宿舎は電波が通りにくいので

思う様に行きません

如何かお許し下さい<(_ _)>







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