第25話 ムンジェン王国討伐1

 遂にマーベリカ11世が待ち望んだ

ムンジェン王国討伐が実行されようとしていた


ムンジェン王国の南にはハーレットと云われる

大陸有数の大規模な港湾施設が有る

ドルサート港が出来るまでは此処等一帯では一番の大型港で有ったが

今はその順位をドルサート港に譲っている

但し島の南側には新たなより大型の軍港が完成しよとしていたが

それはまた別なおはなしとして

戦いの方を先に進めたい


先ず作戦としては空母艦隊を組織し

ハーレット港の制圧

同時にソヴルの北に有る街道から装甲車軍団で王都を目指す


ムンジェン王国の北にはルーデンシア王国が有るので

国境線閉鎖して貰い人々の出入を制限して貰い

作戦当日は兵士達に詰めて貰う事になっている


東側は他国なので大規模ドローン部隊を組織し

人々の往来に制限を掛ける


更に東の奥の方は急激に大陸の幅が狭まり海になっているが

其処に小さな半島部が存在しており

元々其処がムンジェン一族出身地で大きな繋がりが今も有り

今ではムンジェン半島とも呼ばれている

其処にも空母二隻を有する

空母打撃艦隊送り込み半島部の形が変わる程砲爆する予定なのだ


以上五か所で派手に暴れて貰い

王都の目が外に向いている時

王都を俺達で強襲する予定だ


強襲組は俺達を含めたフェンリカ隊100

大型攻撃型ドローン1000

ミスリルゴーレム隊2000の予定だが

王都には勇者パーティーと凄腕の選ばれたワイバーン隊が存在しているが

先にフェンリカ隊とドローン隊で制空権を取る心算だ


それと少し話は変るが

ルーデンシア王国には今回の事で古代金貨50種銀貨50種と

古代の美術品や骨董品等を100種

それとは別に光金貨百枚(1億)を寄贈している

宰相の話では王国の金庫に眠る宝物とを合わせ

博物館を新たに造り外国人を呼び込み外貨を獲得したいそうで

王都北部で巨大博物館を建設中なのだ

尚王都の鑑定魔法師達は今回の寄付に

現物を見て腰を抜かす者達が何人か居たらしく

レギウス宰相は大喜びで話してくれたのだった

また巨大な博物館にするのは日乃本にも巨大博物館計画が有るからで

規模では負けない様にするためだ

良い意味でのライバル関係で有りたいと願うのみ


話しを戻し

ムンジェン王国のワイバーン隊の総数は

約300と大陸でも有数の規模をほこる

そして特質すべき点は騎乗する飛行兵達だが

全員が魔導士達でファイヤーボールが撃てるのだ

詰まり竜騎士達はエリート中のエリートで貴族位を持ち

手厚く優遇をされている

但し国民は7割の税金を納めなければならず

結構疲弊している

また奴隷の数も多くヒト種の数も多いらしい

ヒト種に関しては近隣から攫っている可能性が昔から囁かれていた


もし奴隷達を全員解放するとしたら

五万人規模が予想されていたのだ


シュ)「五万人とは凄い数だな

もし解放したら食料不足にならないか?」


ベ)「そうですね

穀物の方が心もとない様な気がします

飽く迄も此の予想人数は強制農業従事者と奴隷兵の数のみで

鉱山奴隷や犯罪奴隷等は含まれておりません

まあ奴隷輸入大国で有るのは間違いない事ですね」


マ)「其処まで酷いのか

道理で息子が地下組織を作り抵抗するはずだ

何とか息子と合流したいもんだな」


シュ)「船やあらゆる物に

旧マーベリカ帝国のマークや旗印をすると

彼方から接触を図り情報も掴めるかも知れんぞ」


マ)「では不躾では御座いますが

その方法を取らせて頂きます」


本来作戦会議とは戦争に勝つためにあるのだが

俺達の作戦会議は食料事情が殆どだった

何せいざとなったら

100万体のミスリルゴーレム隊が地下深くに隠されていたからだ

ミスリルゴーレムはレベル2000以上なので

勇者が100万人現れても勝ってしまう計算なのだ

それにボス以外のフェンリカ達もレベルが2000以上のSSランクだし

ボスに至ってはレベル5000以上の古代竜クラスなのだから

負けるとは微塵も感じてはいない

なので必然的に食料問題に話が偏ってしまう

まあ仕方がない事なのだろう


シュ)「まあ食料に関しては災害用の備蓄を出して

乗り切るしかないだろう

収穫まであと三か月程掛かるけど

促成栽培していたので多少は助かった気がするよ」


ベ)「最悪金で何とかなると思います

シュンジ様のお陰で我が国は大陸一の金持ち国家ですからね

世界中の海を回れば海底には沈没船だらけですし

これはクラーケン等の大型海洋魔物に感謝ですな」


シュ)「あと盗賊狩りも金になるよね

早く争いを終わらせ沈没船と盗賊狩りに集中したいね」


マ)「私もお供しますので」


シュ)「国を奪い返したあと如何するの?

兼任するのは流石に大変でないのか?」


マ)「それは息子がやりますし

山下さんの考える自由と民主主義で何とかなるでしょう

私はシュンジ様達と行動してる方がずっと楽しいですからね」


ベ)「確かにそれは言えてるな

俺も国の運営なんて興味が無いからな」


シュ)「エッ!待ってよ

将来二人の内何方かに

合衆国制度にした国々を纏める首相をやって貰おうと思っているのに

そんなの俺が困るよ

将来は豪華客船で山下さん達と世界を回ろうなんて話し合っているんだぞ」


ベ)「イヤイヤ私達も当然お供しますよ

なあ~マーベリカ」


マ)「うんうんその通りだ

置いてけぼりは許しませんぞ」


シュ)「イヤイヤ待て待て

いつの間にお前達は

仲良しこよしになっているんだよ!」


何かと話は尽きぬが大凡の作戦は決まったので

計画通り明朝決行する事になった



作戦当日

ドルサート港より空母打撃艦隊が出港して行く

先に半島攻略部隊の艦隊が出港してゆく

A隊旗艦空母×2

護衛艦×6

ミサイル艇×6

強襲揚陸艦×5

補給艦×5


B隊旗艦空母×3

護衛艦×9

ミサイル艇×9

強襲揚陸艦×5

補給艦×5のAB合わせ計55艦が軍艦マーチと宇宙戦艦マーチを

交互に鳴らしながら出港して行く

そして港には早朝だと云うのに観光客も混ざり日の丸と旧マーベリカ帝国旗を

振りながら見送りをしていた


客)「すげえな~

此れが噂に聞く艦隊出動か」

客)「あ~あっ全くだ

何かこの音楽が胸を躍らせるな~」

客)「しかし其れに比べ

各国の戦観達が乗って来た船がやけに小さく見えないか」

客)「それを言っちゃお終いよ

我が母国がショボく見えてしまうじゃないか」

客)「イヤイヤ

俺の国の軍艦もショボく見えるよ」


確かに観光客の云う通り

観戦武官達が乗って来た戦艦は30~40m級の帆船艦で

如何しても見劣りしてしまうのだ

艦橋から艦下を見下ろすと自分達の戦艦が恐ろしく小さく見えるのだ

明らかに国力の違いを感じてしまう

まあ地球の100年以上前の列強アルゼンチンの武官達も

本音では同じ様に感じていた事だろう

もう~自分達の時代では無いと

大体昔から云われているが沈む夕日を止めるのは大変難しい

それを正すには外圧か私利私欲に塗れた老害達を全員幽閉するしかない

詰まり変化を促進させるしか無いのだ

それを行なわないと必ず弊害が出て国力が落ち

やがては国民自体が窮する様になる



そしてソヴル郊外の北側には

戦闘装甲車1000台とミスリルゴーレム隊10000が待機


ドルサート島の南側の空港から

攻撃型自立式大型ドローン2000機と

輸送型超大型ドローン25機が一斉に飛び立ち

ムンジェン王国の東の国境線を目指した



此処は昼時のムンジェン王国の王宮

国防総省ジェミョン大臣に早馬の緊急連絡が入った


次官)「王都北の都市モシアエ

旗印はマーベリカ帝国戦闘車両約200

全身甲冑に覆われた兵士約10000

我が方の国境警備隊と対峙中

尚竜騎士隊10騎は初撃にて全滅

追加支援を求めております」


次)「王都東の都市セルヌア

旗印はマーベリカ帝国飛行式大型魔道具約2000

甲冑兵約10000

ワイバーン隊200と交戦中も我が方が押されている模様

追加支援を求めております」


次)「王都西の都市オーレア

旗印マーベリカ帝国戦闘車両約1000

甲冑兵約10000

チャリオット500と交戦中なれど味方の損害甚大

追加支援を求めております」


次)「王都南の都市ハーレット港

旗印マーベリカ帝国

巨大艦約30以上

王都艦隊60艦全て攻撃を受け行動不能

敵機械化上陸部隊により戦況は芳しく有りません

追加支援を求めております」


次)「後未確認情報ですが東の我が母国よりの

連絡用ワイバーン隊と思われる三騎が撃ち落とされたらしいとの

情報が入っております

これ等一連の行動は

我々に対する旧マーベリカ帝国の報復処置では無いでしょうか?」



一方此方はムンジェン一族の母国大チョマンセ王国では

地対艦ミサイルの波状攻撃が行われており

驚いた国王、将軍、国王一族、警備隊、国軍兵士、公務員達は

王国民を放置し北部方面に遁走をし始めた

また首都チョマンセでは北部に行くのには

チョマンセ川を越えなければならない

そして有ろう事かチョマンセ川の橋10本に火を掛け

両サイド及び前後から破壊を始めたのだ

此の橋10本を破壊されると国民の逃げ場は無い

ミサイルの波状攻撃は略無人地帯を狙っており

死者の数は十人にも満たなかったのだが

此の橋の破壊事件では何と一万人以上の死者が出てしまったのだ

此れと全く同じ事が近年地球でも起こっており

此の時は公務員と市長が主流となり軍部と共謀した事で起った様だ

逃走経路に関しては今回の事件とは真逆で北から南への遁走で有った

全く痛ましい事件で有る

この事は王国民は千年忘れてはいけないのだ


戦況のライブ動画を見ていた峻治は声を上げる

シュ)「おいおい

此れ不味いんじゃねえ?」


ベ)「いや!此れは流石に不味過ぎでしょう

直に兵員を送り込み空母を岸に近寄れる様にしましょう」


日乃本の空母は病院船の機能を備えていたが

一隻当たり3000人が収容人数が限界なので

二隻合わせても一万人には程遠い


マ)「見た所

兵士達も逃げた様で略安全なので

テント村を作ればどうでしょう?」


シュ)「そうだな

建物も壊れてないし

今無線で指示を出しておくよ」

(邪魔な自国民を殺し生き残りを囮代わりに残して行くとは

相当腐れた国の様だ

多少殺してもばちは当たらんかもな)


峻治は心の中で戦後は道徳教育を重点的に

行なわないと駄目な国の様だと思うのだった

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