第8話 魔の森への挑戦

 いよいよ朝になり俺達は運命の日を迎えていた

俺は何時もの様に日課で先ずは顔を洗い気合を入れる

朝食後みな其々出発の準備を既に始めている


俺は収納に収めてある例の秘密兵器四輪魔導戦闘車を出した

その異様な出立は皆の目を釘付けにしていた

運転手はアイアンゴーレム射手もアイアンゴーレム

そして後方の兵員輸送座席の中に

7,62mm単発魔導銃を持つアイアンゴーレム四体

未だタイヤ幅も10cmも無い位の薄い鉄板の装甲車だ

自衛隊の装甲車を見知っている俺としては余りにも心もとないが

ヤバくなり撤退しなければならない時に殿を務めて貰う心算で出した


ベリアル)「シュンジ様!

此れは一体!?」


シュンジ)「自走式の四輪魔導戦闘車だ

魔石燃料で動く

撤退する時は殿を務めて貰う予定だ」


ベリアルは凄いと驚いてはいたが

俺としては

第一次大戦の軍用車やクラッシクカーを見ている様な感覚に陥る

唯一安心出来るのが鉄の棒から進化させた魔導銃の存在と

ターレットに乗せ12時の方向も攻撃可能な12,7mm単発魔導砲だろう

単発ながら威力は確実に有る

下手な結界等は簡単に打ち砕いてしまうだろう


そしていよいよ出発だ

地竜の事を考えると正直恐くて心臓がドキドキする

魔導車を先頭に昔波止場だった所に行くために伐採されたで有ろう

道路ぽい低木の木々の低い地帯に入って行く

俺は魔導車の屋根の上に立ち道路を造り出す準備を始める

先ず感覚を馴らすために幅20m長さ100mづつ草や木々や岩を収納

土が見える地面だけの状態にし凹凸を少し減らす感じで進む

最後尾が入り次第

森への入り口を隠蔽魔法で分からない様に隠し他者の侵入を防ぐ

早速サーチに引っかかった例の魔物達が動き出した

相手も此方にサーチを掛けた様子だ


シュンジ)「ベリアル!!

例の奴等が動き出したぞ

全部で三頭だ!!」


ベリアル)「了解しました!!」


ベリアル達は既に馬車から降り

両サイドに分かれ魔導車の側面を一緒に歩く

後方の馬車隊はアイアンゴーレムが両サイドを歩きながら警護

馬車隊も尋常ならざる雰囲気を感じ取り息をひそめる

一応全体的に結界を張ってあるがそれでもやはり恐い

本当に俺は恐いのだ

100mの収納を10回程繰り返した所で

足音が聞こえ始めた


シュンジ)「来るぞ!!

先ずは1頭だ

収納が効くかどうか試す

駄目だったらベリアル達の出番だ!!」


ベリアル)「了解!!」


突然大きな音と伴に前方を塞ぐ様に大木が倒された

馬力だけは有りそうだ

やがて奴がその姿を現すとベリアルが叫んだ


ベリアル)「奴の正体は地竜です!!

間違い有りません!!」


地竜が出てきた

全高約5mと意外と小さいがレベル800以上の怪物なのだ

二足歩行のTレックスぽいが腕が太く足首の細さで俊敏なのが伺える

顔の形はマッコウクジラ

背中には大きな背びれが見える


俺は魔導車から飛び降り前面に立ち奴と対峙する

そして暫し睨み合う

次の瞬間俺は右手を伸ばし『収納!!』と叫んだ

すると地竜の首が簡単に収納出来てしまった

胴体から血を噴き出す地竜をみて緊張が解けたのか腰が砕けてしまい

へなへなとその場に崩れ落ちてしまった


「「「「「シュンジ様ーーーーー!!」」」」」


シュンジ)「ベリアル

俺は恐かったぞ」


ベリアル)「またしても

瞬殺で御座いましたぞ!」


ベリアルは後ろを振り返り馬車隊に叫んだ

『大丈夫だっーーーーー!!

勝ったぞーーーーー!!』とっ云うと歓声が上がったのだが

何か変なのがオマケで此方に駆け付けて来るぞ???・・・・・



     ◇◇◇◇◇


 俺達はバレバンの街の冒険者でドラゴンバスターズのリーダーだ

今はただのDランク冒険者だが

何れドラゴンをも倒す冒険者になりたいと思い付けた名前だ

俺達はギルマス代行のラベリアさんの命でシュンジ様達を陰ながら護衛している

まあ交代要員として一日遅れのパーティーだ

そりゃ~狼達の時は遅れを取ったが

ちゃんと護衛任務は全うしている心算だ!たぶん


俺達は帰る様にアリスさん達云われたが

仕事だけはちゃんと熟したい

隠蔽魔法が施されたが場所さえ分かれば簡単に侵入出来る

俺達も後を追い魔の森に入る決断をした

この森には準Sランクと云われる地竜やグリフォン等がいる

なのでギルドでは別名Aランクの森とも呼ばれ

高ランク冒険者でなければ入れない規則になっている

要はAランクはパーティ単位で

Sランクは個人でも可になっている


そして俺達は見た

馬もいないのに動く馬車を

そしてあの子供領主が屋根に上がり先頭に立ち先導している

噂ではあの子供領主は化け物並みに強いと聞いていた

でも本当に強いのだろうか

如何見ても女の娘が男の格好をしてるようにしか見えない

それがギガントサイクロップスを一瞬で倒すなんて信じられるか

その噂の子供領主が実際目前で地竜の居る魔の森を先頭で先導している

地竜が出たら如何戦うのか絶対見てみたい


それは一瞬の事だった

地竜の首が吹っ飛んだ

いとも簡単に倒してしまったのだ


「おい!カンダル!

伝書鳩を放て!

地竜瞬殺されるだ

分かったらすぐにラベリアさんに連絡を送らせろ!」


カンダル)「了解!」


「本当に地竜を討伐した

みんな!俺達もエールを送りに行くぞ!!」


     ◇◇◇◇◇


ベリアル)「何だ!?

ドラゴンじゃないか

何故お前達が此処に居る?

帰る様に言ってあっただろう」


ドラゴン)「いや~~近くまで寄ったもんで~~ヘヘヘヘヘッ

とっ云うか俺の名前ドラゴンじゃないんですけど・・・」


ベリアル)「兎も角此処は危険地帯で足手まといだ

早々に立ち去れ」


ドラゴン)「良ければ一緒に・・・・・

アレェ~~俺の話も聞かないで行っちゃったよ・・・」



ベリアル)「未だ油断するな!!

今度は二頭だ

もう直ぐ接敵するぞ

今度は我々のパーティで一頭を狩るぞ!!」


「「「「おっーーーーー!!」」」」


いよいよ目を付けられていた残り二体のお出ましだ

そして最初に現れた奴にベリアル達が襲い掛かった

然し余り深い傷は付けれていない様だ

後を追う様にもう一頭が現れた

俺は瞬時に首を刈り残りの胴体もスグに収納した

後はベリアル達の戦いを見学するだけだ


ベリアル)「首を重点的に狙え!!

商品価値を落とすな!!」


成程!体に傷を付けると商品価値が落ちるのか

ベリアル達が首ばかりを重点的に狙うので嫌がり逃げようとしてるな

あと少しだ頑張れ!


地竜の動きも早いがベリアル達の動きはそれ以上だ

太い腕の振りをも簡単に躱すし

尻尾の先で槍の様に狙う攻撃も簡単に避ける

徐々に弱り始め最後は傷口に剣を差し込まれ

敢え無く絶命してしまった


ベリアル)「よっしゃっーーーーー!!

倒したぞっ!!」


ベリアル達も五人一丸となり無事地竜を倒した

此処にドラゴンスレイヤーの誕生だ

最初の弱さが嘘の様だ

彼等にはもっともっと進化して貰いたい


シュンジ)「よ~し

無事に倒せたな

此処で休憩だ

チョット早いが

序でに昼食も取るぞ」


ベリアル)「私達は大丈夫です

もっと先に進みましょう」


シュンジ)「まあ無理せずぼちぼち行こう

結構長く戦っていたから

目に見えない疲労も蓄積されている

未だ他にも強い奴が居る様だからな

この森は油断と無理は禁物だ」


昼食後俺は幅20m×1000mの収納に挑戦してみたら

意図も簡単に出来てしまった

収納に関しては余り魔力を使わないからだろうか?

水平を保ちながらだから凹の部分は勿論収納が出来ない

底の部分に草や石が残り再度収納を掛け

凸部分から回収した分で埋め戻す

一回収納する度に

猛烈な勢いで草や木や石の種類別キーカウンターの数字が跳ね上がる

森林内に入ると本来希少とされている植物のカウンターも跳ね上がる

但し虫や小動物は弾き出され道脇の森の中にポイ捨て状態だ


鑑定から小木等は盆栽すればとアドバイスを貰ったので

素直に従い収納の中で木に模様が自動で付けられて行った

それが頭の中に次々と姿が入って来るので面白い

後は高さを押さえたリフォームを掛ければ盆栽ぽくなる様だ

木には盆栽に向く物と向かない物が有る

また鉢も自動で焼き締めが行なわれ

次々と鉢上げが行なわれ大量の盆栽が収納内での生産が行なわている

此れは何でも作れるのかと思ったら

収納内での製造は素材が必要と出た

とっ云う事はポーションも製造可能かと質問したらOKの返事が来た

但しガラス分が不足と出て

海岸線に出たら砂を拾う様に指示が出た

そうか、確かにガラス瓶も必要だよな

全くとっ云うくらい俺の収納は万能ぽい機能付きだ


なんて楽しんでいたら

アラーム音が頭の中に突然鳴り響いた

新たなる敵グリフォンが出て来た様だ

未だ攻撃の意思は無いらしく

鑑定では警戒監視の状態と出た


すぐに攻撃して来ないで上空をクルクルと旋回していたので

頭が結構良いのかも知れない

此れは要注意だ

それに数も多そうなので厄介な魔物だな


西の空に日が傾き始めたので

道造りの収納は中止して後ろを振り返りリフォームを掛けたら

砕いた砂利が惹かれ砂利道に進化した

今日は朝から21Kの完成だ

明日は50K台に乗せたい


ベ)「ドラゴンの奴等未だ着いて来ますね」


シュ)「あ~為って来ると一種のストーカーだね」


ベ)「ストーカー・・・ですか~?」


シュ)「関係の無い人を付け回す行為だね

まあ一種の犯罪行為でも有るな

兎も角放置だな

ラベリアさんに会ったらキツク叱って置くよ」


何て話しをしていると

本人が別の冒険者に案内され牛車を引っ張りやって来たよ

イヤイヤまたかよ

困ったもんだ


シュ)「おい!ベリアル

あの女

絶対シツコイ奴だよな」


ベ)「間違い無くストーカーとか云う奴ですね」#

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