第29話 墓場島の怪異2

 丁度その頃墓場島で一番高い高層ビルの最上階から

戦況を眺める肌白で金髪碧眼の一人の大男が居た

彼の名前はバーデン・バルク・ドンライヤーと云う

彼はバンパイヤー達を纏める総統でも有った

彼の正体は吸血鬼の始祖で有ったのだが

遠い昔バンパイアハンターの聖騎士達から追われ

此の地に逃れ生き延びていたのだった

そして彼は真に容易ならざる敵を今迎えてしまったのだ


バーデン)「一体ゴミ供は何を手古摺っておるのだ!!

全く使えん低級バンパイヤーめ!

ドランケン!!お主の部隊とヴォルファンの部隊で殲滅せよ!!」


ドランケン)「いいえ申し上げますバーデン様!

我等だけで充分に対応可能で御座いますれば

是非我等のみに役目をお与え下さい」


バーデン)「ほう~

お前達だけで対処が出来ると!?

俺は唯の思い上がりだと思うがのう

敵に焦り等は無く平然と対処しておるぞ」


ドランケン)「それはワタクシも確認しておりますれば

我等が力を持ってすれば充分殲滅する事も可能かと」


バーデン)「そうか

お前達の確執は協力する事を拒むか

まあ良いだろう

決して負けて逃げ帰って来るではないぞ」


ドランケン)「此のドランケンシュタイン

痩せても血鬼族の端くれ

総統陛下に見事勝利を捧げましょう」


バーデン)「ほう~お主にそれが出来ると申すのか

奴等は弄ぶ様に簡単に低級バンパイアを始末したぞ

今迄の奴等とは違う様だぞ

まあ~良い

奴等を殲滅するまで決して生きて帰るな!!」



◇一方此方は俊治達の陣営


シュンジ)「何かも~う終わりかな?

他に何んか出て来ないかな~

お!!

未だ奥の方には俺よりも強い連中が大勢出てきたようだぞ」


如何やらドランケン軍団の存在が

俊治のサーチに何か引っ掛かった様だ


ベリアル)「シュンジ様よりもお強いですか?」


シュンジ)「あっ!それは飽く迄も魔法を使わない場合で

魔法や銃火器を使えば話は別だけどね」


ベリアル)「成程!

少し驚きました」


シュンジ)「それにうちには神クラスがゴロゴロ居るし

安心して良いと思うよ

そろそろ次のが動き出した様だ

油断するなよ」


マーベリカ)「ドローンが大型の人型の姿を捉えた様です」


そしてモニターに写し出された物は

移動速度が速い地球のフランケンシュタインの様な魔人の集団だった


シュンジ)「まるで映画のフランケンだな

違うのは動きが速いのと体から幾つもの角が生えている事かな

如何やら全員Sランク以上の怪物達の様だぞ!」


ベリアル)「こんな奴等が居るとは

高ランク冒険者達を何人も送り込んでも

戻って来れないはずです」


シュンジ)「良し!

全員火器使用を許可する

但し二三体は山下さん達のために確保してくれ!」


ベリアル)「お任せ下さい

マーベリカと一緒に捕らえてみせます」

そう言いながら二人は収納からミスリル合金製の鎖を取り出した

この鎖は只の合金では無い

山下さん達が魔力を込め他の金属と混ぜ強度を増した物だ

欠点は自重が増す事だが少々の力では切れない

本来は魔力と力の強いドラゴン捕縛用に試作された鎖だったのだ


前戦では既に戦闘が始まっていたが

GDランクチタナイトゴーレム達の敵では無い様子だ

アダマンタイトゴーレム達はデュラマックスから下車し

身の安全を優先し火器を使用し始めていた

激しい射撃音が響き敵バンパイア達の手足が吹き飛び

集団行動が制限されていった

今の所此方の被害は皆無の様だが油断は出来ない


そうこうしてる内にベリアルとマーベリカが

一際大きなバンパイアを捉え運んで来た


シュンジ)「何だ此奴随分とデカいな!

それに猿轡か!?」


ベリアル)「此奴喧しので少し黙らせました

それに他の奴等に指示を出していたので此奴等の頭だと思います

名をドランケンシュタインと云う血鬼族の貴族だと云う事です」


シュンジ)「おい!フランケン!

お前が此処の王か!?」


ドランケン)〔グブブブブッー!!

俺の名はドランケンだーーーッ〕とっ心の中で呟くが

猿轡で上手く言葉には出来ないでいる


シュンジ)「ホントに此奴喧しい奴だな

お前が此処の王なら首を縦に振れ」


いつまでも答えないので

痺れを切らしたベリアルがボコボコにして吐かせてしまったが

このフランケンは此の島の王ではない様だ



◇再度バンパイア陣営に戻る


バーデン)「何だ!!

ドランケンの奴はもう負けたのか

低級バンパイア依りも早いじゃないか

ヴォルファン!

貴様此の状況を如何考える!?」


ヴォルファン)「申し上げます

奴等は武器を持ちながらも個人個人の戦闘力も恐ろしく高いです

今までの人間達と余りにも違いすぎます

容易ならざる敵と認識せざるを得ません」


バーデン)「お主は勝てぬと申すか?」


ヴォルファン)「恐らくは」


バーデン)「確かに今迄の人間達とは違う様だ

装備と云い個人の力も違い過ぎる

それに沖に有るあの大型船

込奴等は一体何者なのだ!」


ヴォルファン)「・・・・・」


バーデン)「仕方が無い

ヒュドリアンを一緒に連れて行け!」

*ヒュドリアンとはヒュドラのゾンビタイプで有る

七つの首を持ち

首を落とされても再生が直ぐに始まる強敵なのだ


ヴォルファン)「有難き幸せ!

必ずやご期待に沿えましょう」



◇再度俊治陣営に戻る


マーベリカ)「何だ今度は!

バカでかい怪物を連れた狼男かっ!?」


ベリアル)「あれはヒュドラか!?

それもゾンビ化した個体だ!!

シュンジ様!アレを倒すには同時に首を落とす事で倒せます」


シュンジ)「そうなのか

面白い個体ならまた山下さん達がまた喜ぶな」


マーベリカ)「猛毒の瘴気をを吐いておる様です

これでは人属の冒険者達にはとても倒せませんぞ

如何やらファイウス達は命拾いをした様だな」


ベリアル)「しかしこんな化け物まで用意してるとは

益々持ってバンパイアとは何者達なのだ」


シュンジ)「たぶん俺の予想だが

此の島には元々別の支配者が居たんじゃないのかな?

そしてそれを放棄して何処かに立ち去った

其れともバンパイア達に追い出されたか滅ぼされた

だから彼等の戦闘スタイルが突撃一辺倒で

文明を感じさせる武器類が一切出て来てはいない

なので此の建造物群を造ったのは別の何者かと考えた方が良いだろう」


ベリアル)「別の何者かですか!?

全く持って想像が出来ません」


シュンジ)「そうだな

俺も想像が出来ん

おっ!!始まったな」


いよいよ最前線でヒュドリアンと巨大狼男連合と

ゴーレム軍団の激突が始まった

狼男の身長は約2,5m~3mで動きは早いが

対するSSSゴーレム軍団には適わない様だ

ヒュドリアンにはGDゴーレムが対処し

尻尾を持ちブンブンと振り回していた


ベリアル)「何だーー!!

首を落とす云々以前に力が全然違うじゃないか!!」


ベリアル達はGDゴーレムの表立った戦いを初めて目にしていたのだ

此れ迄GDゴーレム達の些細な戦いは目にはしていたが

ガッツリぶつかり合う戦いは目にしてはいなかったので

驚きも一入ひとしおなのだろう

尻尾がGDゴーレムに当たる瞬間軽く弾いていなし

首を手刀でまるで刃のように切り捨て恰も子供扱い

実力が余りにも違い過ぎるのだ


マーベリカ)「何じゃありゃー!?

あそこまで強いとは空いた口が塞がらんぞ!」


ベリアル)「そうだな

余りにも強すぎる

凶暴化したヒュドラをああも易々とは

俺達の出る幕が!」


一方此方ではヴォルファンが

少し焦り始めていた


ヴォルファン)「いっ一体奴等は!?

ヒュドリアンが赤子扱いだと!!

信じられん!!」


ヴォルファンも健闘しているのだが

SSゴーレムの手刀や火器から逃げるので精一杯なのだ


ヴォルファン)「駄目だ!!

余りにも強過ぎる

せめて総統陛下だけでも脱出させねば!」


急ぎ高層ビルに戻るヴォルファンだが


シュンジ)「あ!!

一番大きな狼男が逃げ出したぞ!!

アイツを追い掛ければボスの所に行けるかも?」


ベリアル)「そうですね

其処は是非とも我等にお任せ下さい

ボス!!暫しシュンジ様を頼むぞ

行くぞマーベリカ!!」


ベリアルはフェンリカのボスにシュンジの事を頼み

恰も光の速さで戦闘中の両軍の隙間を駆け抜けて行く

それもとても好い笑顔で追い掛けていったので

二人とも活躍が出来ず鬱憤が溜まっていたのかも?


ヴォルファンは一番高い高層ビルの中に入って行った

200m以上の高さが有る様だが


ベリアル)「此れが高層ビルと云う物か」


マーベリカ)「港のビルよりも高いとは驚きだ

シュンジ様はこの建物を欲しているのか?」


ベリアル)「ああったぶん

山下さん達のイイ研究施設や工場にでもとお考えなのかもな?」


一階は高さ50m位の吹き抜けで回りを5m程の間仕切りで仕切られ

何かの部屋にはなっている様だ

ベリアル達は魔力探知でヴォルファンを追い掛け

階段を高速で登って行く

エレベーターも有る様だが

見張り要員を避けるためか階段を使っているのだ


ベリアル達はヴォルファンの魔力を追い掛け

高速で階段を駆け上がるが

やがて最上階付近になると

速度を落とし歩み始め周りを警戒しながらも徐々に最上階に近づく


ヴォルファン)「総統陛下ーー!!

直ぐにお逃げ下さい

奴等はとんでもない化物の集団です!」


バーデン)「馬鹿者が!!

付録迄引き入れるとは情けない!」


ヴォルファン)「え!?・・・・・」


バーデン)「其処の者出て参れ!」


のっそりと顔を出すベリアルとマーベリカ

後ろには何体かのGDゴーレム達も控えていた


ベリアル)「ほう~聞いていた通りの

吸血鬼タイプのバンパイアか

山下さん達が喜ぶな」


マーベリカ)「あ~あっ全くだ

生きた侭捕らえよう」


ヴォルファン)「陛下に対し何と無礼な口利き

皆の者奴等を始末しろ!!」


親衛隊らしき美しい鎧を纏ったバンパイア達がベリアル達を取り囲む

そして奥の巨大な扉が開き大きな蛇の胴体を持った女人が現れた

俊治は直ぐにベリアルとマーベリカのイアフォンに連絡を入れる


シュンジ)「奴はゴルゴン神だ

目から光線を発し相手を石に変えると云われいる

光線は魔力の盾に色を着ければ躱せる」


シュンジは送られて来る画像をモニター画面から自己判断し

大昔の地球の伝説に登場する女神ゴルゴン神メデューサの

情報を無線にて送る


ベリアル、マーベリカ)「「了解しました!!」」


マーベリカ)「アレも殺ると朽ちるのかな?」


ベリアル)「あ~あったぶんな

アイツもバンパイアだろうし

アドバイス通り結界で盾を構築して攻撃するぞ!」


マーベリカ)「了解!!

しかし髪と胴体が蛇とは驚きだ!」


ベリアル)「ん!?アレは!?

後ろに巨大サソリが控えているぞ

気を付けろ!!」


何とバーデンはゴルゴンの他にサソリタイプの

大型の魔物迄用意していたのだ



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 後書き


今回も遅くなり申し訳ございません

現場に泊り込んでおり更新の期会を逸しております

あまり休みも貰えないので

次回も遅れると思いますがお許し下さい

修正は落ち着いてから行います

それでは引き続き宜しくお願い致します




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養父に命じられ島流しを受け入れた少年 春葵 @syoujyoubakama

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