『日のいずる國より』まほろばほろば・第二話

この世界には、「産土様」と呼ばれる者たちがいる。彼らは土地が具現化した存在であり、時には「土地の化身」とも呼ばれる土地神と人間の仲介人だ。彼らは人と共に長い歴史を生きてきた。時には教科書に載るような偉人の下で、時には名前さえ残らない庶民の横で······。

これは、そんな彼らと民たちの物語である。飛鳥から令和まで、長い長い大河を映す鏡物語。人間、妖怪、神、そして土地······彼らが織り成す思い出を一つ一つ語ってゆけば、その中に見える歴史の流れが、やがては土地の化身たちの全てに繋がるのだ。

そして今回語るのは、彼らの先駆けとして生まれた大和国、現在の奈良県。彼が初めて同じ存在に出会ったのは、遣隋使と共に隋へ渡った西暦607年のことであった。
土地の化身とはどのような存在…続きを読む