三章 図書委員はクレームを受ける
三章 図書委員はクレームを受ける 1
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●登場人物
エスキュナ・コーナー……元気系後輩。パンツを見られていたことに気付いた。
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「目標確認でーす。易しめの地下レファレンスを片付けつつ、遭難者を助けつつ、五層までの完全な地図を作る。これ」
図書館地上階、会議室。びし、と
「意義なーし」「ういっす」「小目標はそんな感じよね」
外では、どたどたという足音が聞こえてくる。別の隊が地下書庫へ向かっているのだ。
「こうして聞いてると、結構地下行く奴多いですよね。あの隠し通路も見つけられるかも」
平坦にそんなことを言う
「なんというか、欲が無いわね。こないだのボーナスどうしたの?」
前回持ち帰った図書はめでたく複本も無い未登録図書であった。そのため
「俺漫画全巻買ったっすね。不滅の刃」「わたしはゲームをその……えへへ」
隊結成直後の臨時収入に、一年二人は気をよくしたらしい。笑顔である。
「ガチャでSSRが出ないんですよね~」
「お前課金してんのかよ……」
スマホをいじるエスキュナである。見ればそれは、昨今人気のファンタジー風ソーシャルゲームだ。様々なキャラクターをガチャ……抽選で当てて育成し、プレイする。
「ぐへへ、今ピックアップのキャラが良いお尻してて……」
スマホの画面にとろけ顔をするエスキュナに、
「昔、リハビリ期間に僕もやってたな、それ。やめちゃったけど」
「えーホントですか! せんぱいもまたやりましょうよう。フレンドなりましょフレンド」
ぐいぐいと来るエスキュナであるが、
「今となっては暇が無いかなあ。イベントイベントで忙しいしさ」
「ぶー。ランキングがなー。この『UZUME』って人に勝てないんですよねー」
「キリがないでしょそンなの。ほどほどにしときなさいね」
お母さんな
「――僕は道具を少し。ハーネスとかロープやカラビナ、いい加減古くなってたんで」
彼は探索にも使っている愛用のバッグを揺する。
「ゲームやンなさいとは言わないけど、少しは楽しむこともした方がいいンじゃないの?」
「いや、楽しんでるんですけどね」
ホワイトボードの字を消しつつ、
「んじゃ今日も四層っすね……しかしエス公、お前なんで体操服なんだよ」
これに、真っ赤になって学校指定ショートパンツ姿のエスキュナがわめく。
「この前扉蹴破った時! 皆さんパンツ見えてましたよね!?」
「そりゃ、あんなに勢いよくやっちゃったら、ねえ?」
「はいはいそこまでな。いくつか簡単な四層の地下レファレンスも受けてる。行こうか」
隊長の言葉に全員が立ち上がる。その時だ。
「あの~
会議室の戸が外から叩かれた。
「ではプレゼンをどうぞ」
「ええ~?」
「説明をお願い、ってことよ。ええとアナタ、
「あ、はいそうです、
「
「書記の人ですよ。眼鏡かけて、背が少し小っちゃくてカワイイ人です。クールですけど」
「あ、
「浅い階のレファは報酬も少ないから。案外受ける隊がいないってのも結構あるの。図書館としては重宝してるのよ、
へえ、と
「要は雑魚専ってこと痛ぇ!?」
「良く言われるけどね~。
「とは言っても歴戦だから、深い層に行けないワケじゃないわ。まだまだ
「……そんな隊の人が何で僕らにお願いを?」
照れたように頬を指でぽりぽり、
「いやははは~、それがね。昨日私達も四層行ってたんだけど。財布落としちゃって……定期とかはパスケースにあるから通学とかは平気だけど、すんごい今月厳しい……」
へにょ、と
「物は人と違って排出されないからね。……ンもう、財布なんて持って入るからよ」
「その時は気付かなかったんだけど、エントランス戻ったら財布無いじゃん。
「書板記述使い切っちゃうと、雑魚もしんどいですもんね」
(つまりは、回数制限。魔書も疲れる)
それは物質的な摩耗ではなく、魔書が持っている魔力ともいうべき見えない力だ。
使用者が魔書の扱いに熟練すればするほど、使えるページも増え、長持ちする。
魔書を地下書庫――エントランスで保管されている――に置いておけば半日ほどで回復するが、日に複数のアタックを難しくしている理由がこれだ。
閑話休題。
「アタシ達、遭難者は捜すけど、落とし物は目的に入ってないわよ?」
「分かってます分かってます。なんで、非公式の地下レファだと思って貰えればな~って……」視線を
次に彼女たちが四層に行くまで――それが何時かはまだ分からない――に見つかればよし、と言うことだろう。
「おねがい~! あと
「まあ、報酬も出してくれるし、ついででいいなら」
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