第25話 アイデアを出すのは難しい


・・・思いつかない

・・・思いつかない

・・・思いつかない


この言葉が頭の中で何度も繰り返される。

このような時に良いアイデアが生まれるはずがない。

いつもはうるさい3人組が沈黙のまま、休憩室の机を囲んで座っている。

用意したホワイトボードには「テーマ」という文字のみが書かれている。


「う〜ん。とりあえず何でもいいから出していこうぜ」


「ソウですね。私が書いていきますヨ!」


「お菓子とか?」


昨年は、”甘いもの”に挑戦することをテーマに

”おまんじゅう”をおじいちゃんが作ったみたいだ。

それが頭の中にあり、”お菓子”という発言をした。


「それは昨年と同じになるだろう。ジャックは学生だろ。学生的な意見はねぇの?」


「う〜ん。学祭などでよく見カケルのは、たこ焼き、チョコバナナとかですカネ・・・」


「なんか普通だよね〜」


先程までの「よしやるぞ」の気持ちは、

さっそく壁にぶち当たり、どんどん沈んでいく。


「・・・温泉」


「・・・料理」


「・・・ジャパン」


再び沈黙になり、

各々が好きなことからアイデアを広げていく作戦を始めた。

その場を見て、からかうようにサイトウおばちゃん(B)が入ってきた。


「迷っているようだね〜、って何よ。このホワイトボード、おもしろくないわね〜」


「何かありませんか?ダーネスさん」


「う〜ん。漫才とか?」


「なんでだよ!」とツッコむのも面倒だったため、

いやむしろ答えると喜ぶと思ったので、3人の無言の圧力で返答をした。


「・・・ごめん。ごめんって、屋台っていえばラーメンとかは?」


「ラーメンですか〜。確かに手間がかかりそうだから、誰もしてないかもっすね・・・」



そこから仕事が始まる寸前まで、考えて、考えたが、

「これだ!」というアイデアは出てこなかった。

アイデアを出すのは

本当に、、、

本当に、、、

難しいということを実感した。


「とりあえず、仕事だな。また明日話し合おうぜ。俺も考えてみるよ」


「うん。ジャックも付き合わせてごめんね」


「いえいえ、みんなで頑張りましょう!僕もトモダチに聞いてみますネ」


ジャックは帰宅、ケンさんは調理室へ、ワタシは浴室掃除へ向かった。

体を動かすとアイデアが出てくるということをどこかで聞いた覚えがある。

浴室がキレイになる頃には、


すんごいアイデアが出てくることを期待して、ブラシを手に取った。

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