第2話 おいしい朝食

今日も良い天気だ。8月のこの時期はとても暑いが、

ワタシが掃除する時間帯はまだ少し涼しい。


外の掃除を終え、”朝食の準備” に戻る。


仲居さんは”サイトウ”おばちゃんと”サイトウ”おばちゃんの2人。

名字が同じため、ここにいる人たちはAさん、Bさんと呼んでいるが、年が20以上離れているワタシが、AやBと呼ぶ訳にはいかない。そのため、どちらも”サイトウおばちゃん”と呼ぶことにしている。おばちゃんも失礼なのだが、これはサイトウコンビからの希望である。


ワタシが広間に戻ると、もうほとんど準備はされていた。


「サイトウおばちゃん、仕事が早いよ。ワタシのすることがほとんどないよ」


「あら、じゃあもうちょっと早く起きたらできるわよ」


大学時代の影響で完全に生活が”夜型”となっている。

おばあちゃんとおじいちゃんが優しいため、その点については何も言われないが、これは絶対に改善する必要がある。


朝食の準備を終えて、各部屋に電話機で連絡を行う。


「おはようございます!朝食の準備が整いましたので”広間”までお越しください。はい、失礼いたします」


各部屋に連絡をしてから、お客様が続々と部屋から出てくる。


ワタシは広間前で待機し、お客様の席を教える。


「おはようございます。ゴトウ様はあちらになります」


「オハヨウ、ゴザイマス!」

近頃は外国のお客様も増えている。


「おはようございます。グッドモ〜ニング!!!」


大学まで出ているのに英語がしゃべることができず、片言の英語を使っている。


「うん、おいしい!」

お客様の声が広間の至る所で聞こえる。


時計は 8:00 を示している。

ここからはお客様が食べ終わるまで、調理室横にある休憩室で待機だ。そこでワタシ達もおじいちゃんたちが作ってくれた朝食を食べる。これも非常においしく、お客様と同じ気持ちに毎日なっている。しかし母の料理の腕前に遺伝していないのが不思議でならない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る