第10話 一日の終わり
「は〜〜〜」
やっと長い一日が終わった。シャワーのみが使える浴室で午後の疲れを取る。
夕食後、今にも寝てしまいそうな体を無理やり動かし、浴室に向かったのは、さすがに汗をかきまくった体で明日を迎える訳にはいかなかったからである。
「つかれた〜」
誰もいない浴室では独り言も少し響き渡る。温泉には入れないため10分程度で浴室を出て、玄関へと向かった。朝と同様にワタシのお気に入りのソファに座るためだ。
「お疲れさん!」
ソファには先客がいた。明日の朝食の準備を終え、帰宅する前のケンさんだった。
「お疲れ〜。ケンさん、早く帰らないと明日も早いよ〜」
「そうだな」
ワタシだけでなく、いやワタシ以上にここのみんなは毎日一生懸命に働いている。朝誰よりも早く調理室にいるケンさんもボ〜〜としたかったのであろう。
「さて、じゃあ帰るわ。タケ坊、明日は早く起きろよ」
「は〜い。お疲れさまで〜す」
ケンさんがいなくなり、少しだけボ〜〜としていると数分間だろうか。ソファで寝てしまっていた。夜の玄関はとても暗く、静かな時間が流れているため、心地が良い。
重い体を動かし自身の部屋に戻り、朝敷いたままにしていた布団に倒れ込む。
明日はもう少し落ち着いた一日となることを願いつつ、早く起きるぞ〜と自身の心の中で宣言し、一日を終えた。
——次の日-----
「おはようございます!」
「あら今日は早いわね。タケちゃん」
「はい。今日も頑張りますよ〜。外の掃除いってきます!」
朝起きて気づいたが、どうやら疲れがあまり取れていない。そのため、大きな声を出すことで誤魔化している。
「女将、おはようございます」
「おはよう。タケ、お客様のお見送りをした後、ちょっと話をするよ」
「え〜説教ですか〜」
「結果的には良かったかもしれないけど、あんたも今回はお客様に救われたことぐらいわかってるでしょ?」
「はい。。。」
少し憂鬱な気持ちになったが、あまり尾を引かないのがワタシの強みである。朝早く起きたため、昨日以上の働きを行い、無事にお客様をお見送りすることができた。
「女将、昨日は楽しかったです。またよろしくお願いします」
「アベ様、色々とご迷惑おかけしました。またお願いいたします」
「ありがとうございました!」
お客様のお見送りを終えるとすぐに女将がワタシに向かってきた。
「さてタケ、休憩室にいらっしゃい」
「は〜い。。。」
その後、疲れていたワタシは説教中に寝てしまい、過去一番に怒られた日となってしまうのである。
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