第20話 ロリコンほいほい瑞穂ちゃん

「好きです!俺の妹になってください!」イヤです。


「愛してます!僕の娘になりませんか?」なりません。


「拙者の家、女児服あるんだけど見に来るブヒ?」変態の家には行かないブヒ。


「あたしの妹にならない?あたしメッチャ可愛がるよ?」ペットですか?お断りします。


「お願いします!『おねぇたん♡』って言って下さい!」おねぇたん♡


「デュフフw瑞穂タンwwお股の毛生えてるでゴザルかぁ?wwwwwww」生えてねぇよ!帰れ変態2号!!



靴箱にラブレターが山程入っていて、全員が屋上を指定していた。

本来ならば屋上に一対一で対峙するんだろうけど、みんな[放課後]の[屋上]と時間と場所が被ってしまったため。瑞穂VS大人数になってしまったのだ。


入学して2日目でこの有様である。この学校、一応有名なお金持ち学校のはずなんだけど、ロリコンだらけなのは何故なの?お金持ち=変態なの?

どうやら入学式のスピーチで瑞穂の声にやられたらしい。

そんなに瑞穂の声が魅力的なんだろうか?

前回の人生では男だったせいか、声変わりした後の声しか覚えて居ない。こんな声だったっけ?まぁ滑舌が悪かったのは一緒かもだけど。


中には瑞穂を拐おうと企む輩も居たみたいだけど、幼馴染組が近くで睨みを効かせているので安心だ。無理矢理お姫様だっこされたけど俊介くんが奪い返してくれた。

最近の俊介くんは背もグングン伸びて肩幅も広くなったので頼りがいがある。

そして蓮華ちゃんの合気道でぶん投げられるロリコン。なにそれカッコいい!瑞穂もやりたい!


全員の告白を断ったので幼馴染組と一緒に教室に戻る。


「なぁ、わざわざ呼び出しに応じなくても良いんじゃないか?どうせ皆ロリコンだろ?」


「確かに、正直時間の無駄だったと思う。」


瑞穂も同意すると俊介くんも「だよな!」と爽やかに笑う。

そういえば俊介くんは瑞穂の事が好きだったね。デートしたいって言ってたし。

好きな相手が告白されるのは、たとえ断るって解っていてもモヤモヤするかもね。


「うん、もう告白の呼び出しは受けないで良いかな。少なくとも知らない人からのは断るよ。」


「それがいいわよ!」「そうニョ!」「だよな!」「ですね~」「そうだな。」


皆も何処となく安心したような顔をしている。・・・しかし健人くんは「そうだな。」しか喋れないのか?って思うほど同じ言葉を繰り返している。



教室までの廊下は殆ど誰も居ない状態だった。告白タイムに結構時間を取られたせいか、皆帰っているようだ。それか部活勧誘に誘われたのかもしれない。中庭や校門までの道で勧誘している先輩達が大声を上げていたからな。


瑞穂達もさっさとカバンを取ったら帰ろう。

そう思って教室に入ると一人の男子生徒が残っていた。

・・・あれはさっき告白してきた人のひとり、ブヒブヒ言っている肥満巨漢の綾小路ブータ、じゃなくて風太だったな。なにしてるんだ?


「すうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・」


蓮華ちゃん達も怪訝そうに見ている。


「おい!なにしてんだ!?」俊介くんが声を張って聞く。


「ブヒィ?!・・・あ、みずほたん・・・」


風太が振り向くと、瑞穂のハンカチを口に当てていた。

そのハンカチは瑞穂のカバンの中にしまっていた物である。

鳥肌がヤバい!これが「生理的に無理」ってヤツなのか?初めて体験したぞ。


「みずほたん!こ、このハンカチ使用済みブヒ?使用済みか否かでみずほたん成分の補給に差が出来るブヒ!」き、キモい・・・


「おいぃ!!開口一番に言うことがそれか?!その変態行為の言い訳をしろよ!!」ナイスツッコミ俊介くん。


蓮華ちゃんとローザちゃんと菜々美ちゃんはドン引きである。いや他の人もドン引きだけど。


「と、取り敢えずこの変態は俺と健人で何とかするから!お前ら先に帰れ!」俊介くんが瑞穂のカバンを取り、渡してきた。


「うん、ありがと。き、気をつけてね?」


「任せとけ!」「僕にも任せてね!」


頬を赤く染めた二人を残し瑞穂達は教室から出た。




「ぶ、ブヒィ・・・ぼ、暴力はダメだと思うブヒ!!・・・・・・ブヒィィィイィィィィィィ!!!」


ブタは出荷された。


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