第21話 俊介くんとデート
入学してから初めての休日、今日は俊介くんとのデートの日だ。約束したからね。
集合場所は最寄りの駅前で、時間は午前11時だ。
デートということで服装には気を使ってみた。
ローズピンクのパーカーワンピに赤系チェック柄のショーパン。靴もローズピンクで厚底ローファーだ。髪はツインテにしてある。
一応、蓮華ちゃんとローザちゃんにラインで写真チェックしてもらった。
「俊介には勿体ないくらいカワイイ!」「ワタシとのデートではもっとカワイイカッコするニョ!!」と返ってきた。
どうでもいいけど、ローザちゃんチャットでも「ニョ」付けるんだ・・・
時間通りに駅前に来ると、俊介くんは既に来ていた。
Tシャツにハーフパンツにスニーカー、とラフな格好だがスポーツ少年らしい格好なのでとても似合っている。髪は若干ワックスで整えているようだ。
「おまたせ~」
「・・・おぅ。」
顔を赤くしてそっぽを向く俊介くん。ほほう、照れているみたいだね!
カワイイじゃないか少年。
「それで何処に行く?」
「まず電車で都心に行くぜ。そこで飯だな!」
「了解」
行き先を決めたので駅へ向かおうとすると、俊介くんが手を繋いできた。
「・・・はぐれるとマズイだろ?」
おぉ!少し強引に手を繋いできたぞ!昔はあんなにスポーツ馬鹿だったのに、こんなにグイグイくる系イケメンになっちゃって。成長したなぁ。
電車は座れる程度に空いていたので、俊介くんと横並びに座った。手は繋いだままだ。俊介くんの手は手汗が凄い事になっている。
口ではリードしてる風を装っているけど、顔は真っ赤だし手汗ヤバいしで結構いっぱいいっぱいみたいだ。
目的の都心にもうすぐ着く時間になっても俊介くんはテンパっていた。
「俊介くん。もう着くよ?」
「あ、あぁ。よし!降りよう!!」
俊介くんは立ち上がり、足早に歩き出した。まだついてないよ?
ずっと手は繋ぎっぱなしなので瑞穂も引っ張られてついていく。
ゴン と俊介くんが電車の扉に激突した。もう少し落ち着いて欲しい。
「いってぇ!なんだこの扉!?空いてないじゃねーか!」そりゃそうだ、まだ電車動いてるし。
「・・・俊介くん。電車まだ動いてるよ?」
「・・・・・・っ!!?」只でさえ赤かった顔が熱した鉄の如く赤くなった。
他の乗客達も少年の慌てように、微笑ましい顔で見ていた。
瑞穂は俊介くんの失敗にニマニマしながら到着を待ち、電車が停車して扉が開いてから俊介くんの手を引っ張り駅の外まで連れて行った。
そのあと昼食を食べたんだけど、俊介くんはすっかり落ち込んでいて、結局お昼御飯を食べてすぐに解散になった。俊介くんのメンタル的に継続は不可能だったのだ。
失敗を重ねて人は成長するのだ。俊介くんもこの失敗を糧に大きく成長して欲しいな。
瑞穂は前回の人生で散々失敗したからこそ、今があるからね!
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