第23話 ノノと準備運動

「集合!!点呼を取るぞー!」


気怠そうな女性の体育教師がやって来た。

紺色のジャージ上下で、髪はベリーショート。美人だけど気怠そうなジト目が印象的だ。

次々と名前を呼ばれ返事をしていく。SとAクラスの女子全員で25人になる。


「私は佐藤だ。じゃあ準備運動するから二人一組になれー。一人余るから先生と組むぞ。」


瑞穂達は既に6人でグループを作っているので問題無かった。

5人グループの子達がジャンケンをして負けた子が先生と組んでいた。

ジャンケンで負けたら先生と、ってまるで罰ゲームみたいだな。まぁあの先生ならば気にし無さそうだけど。


準備運動はストレッチだった。お互いの腕を引っ張り合ったり、お互い背を向けあって背負ったり、前屈を後ろから推してもらったりするやつだ。


「瑞穂ちゃん柔らかいね~」


小さい頃から柔軟を欠かさずやって来たおかげで瑞穂は開脚して地面にペタっと貼り付けるくらいになった。ふっふっふ、自慢の柔らかさだよ。


「じゃあ交代ね。・・・・・・ノノちゃんめっちゃ硬いな!まったく前屈出来てないぞ?」


「イタタタ!!!私の身体はそれ以上曲がるように出来てない!!」


ほんの少し背中を押しただけで死にそうなほど叫ぶノノちゃん。ちょっとS心が芽生えそうになる。

でも顔が真剣なので止めておく。コレ以上やると嫌われそうだ。


「はーひどい目にあった。柔軟のせいで毎回の体育が憂鬱になりそうだよ~」


「毎日解せば痛くなくなるよ?瑞穂もちっちゃい頃は硬かったもん。」


「あはは~今もちっちゃいじゃーん!・・・あ、ゴメン!怒った?!」


「いや、小さいイジりはもう慣れた。それに今から大きくなるつもりだから、そのイジりが出来るのは今のうちだよ。」ドヤ顔をしてみる。


「え~今の大きさの方が可愛くていいじゃーん!」


ドヤ顔している瑞穂の頭をナデナデしてくる。ほほう、ノノちゃんは中々撫でるのが上手いね。撫でられマイスターの瑞穂が認めるほどのナデリストだよ!

おや?撫でる手が増えたぞ?

振り向くとナナちゃんも頭を撫でていた。


「・・・・・・私も撫でていい?」もう撫でてるじゃん。


「良いよ。基本的に同性からのナデナデは無制限にしてるから。」


「え?制限とかあったの?」ノノちゃんが"ビックリ"といった顔で聞いてくる。


「無闇に男子に撫でさせたら勘違いする男が出てくるのよ。」蓮華ちゃんも来た。ローザちゃんと菜々美ちゃんはまだストレッチしているようだ。


「なるほど~頭撫でさせてくれる女子=付き合えそう。って思っちゃうかもね!」名推理をした!みたいなドヤ顔をするノノちゃん。ノリのいい女の子だな。


「そうそう、だから男子では幼馴染の俊介くんと健人くんだけにしか撫でさせてないの。」



「よーし!準備運動終わったな!最初の授業だからSとAの交流も考えて鬼ごっこをするぞ~!」


中学生にもなって鬼ごっこか・・・と思ったけど、周りの女子達は嬉しそうだ。まぁ完全に遊びだもんね。しかたない瑞穂も童心に帰って遊びますか。

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