第4話 国宝院家でのお茶会

蓮華に招待され国宝院家に来た。来たというか連れてこられた。迎えのリムジンが超長かった。

さすが有名小学校。あんな長いリムジンでも通えるような通学路が当たり前のようにある。

ウチの近所だったら絶対に角曲がれないと思う。


国宝院家はウチの小学校と同じくらいの敷地に西洋のお城みたいな建物がある。

敷地の周りは高い壁で囲まれていて、等間隔に監視カメラが設置されていた。

更に敷地内にはかなりの数の警備員が巡回していてセキュリティーの高さが凄い。

庭が凄く広い。ゴルフコースに球技場、多目的グラウンド、ゴーカートのコースまである。さすが金持ち意味がわからん。


まずはお屋敷に案内され、それからお茶会をする場所に行くことになった。

何で直接行かないのか案内役の執事さんに聞いたら、お茶会は中庭でやるのだそうだ。中庭も有るんだ。


中庭は藤棚(木の枠組みから藤の花がぶら下がっていて綺麗)があり、目的の場所はその藤棚に囲まれた東屋だった。

瑞穂が東屋に着くと蓮華ちゃんが立ち上がり綺麗なお辞儀をして迎えてくれた。


「ようこそ瑞穂さん。歓迎しますわ!」


蓮華ちゃんの服装はフリフリの薄いオレンジ色のドレスをふわりと摘んで揺らす。うん、可愛い!

綺麗なストレートの艷やかな黒髪も素敵だ。きっと将来はとんでもない美少女になることだろう。今もかなりの美幼女だもの。


「お招き頂き有難うございます。蓮華ちゃん。」


先に座る事を促されたので言われたとおりにする。蓮華ちゃんも瑞穂に続いて座り、側に控えていたメイドさん達に目線で合図をする。

メイドさん達は流れるような動きでお茶やスイーツをテーブルに並べていく。

それが終わるとスッと下がる。


こ、これがメイドさん!プロのメイドさんスゲェ!!

ポケーとメイドさんの所業に呆然としていると蓮華ちゃんが優雅な所作でお茶を飲み始めた。

瑞穂も飲む。・・・うまっ!ストレートティーだけど苦味が無く風味と香りがとても良い。


「うふふ、美味しいでしょう?わたくしのお気に入りですのよ!」


「うん!とっても美味しいね!」


和やかな雰囲気が流れる。クラスメイト達とだと騒がしくて、こんなにゆっくり落ち着いた状態には絶対にならないから新鮮だ。


スイーツはショートケーキ。他にもケーキスタンドに色々載せられている。

ショートケーキは基本にして王道だからね。一番最初に持ってくるのは正道だと思う。


「はむぅ!」


「っ?!」


瑞穂がショートケーキを一口頬張ると蓮華ちゃんが何故か顔を真赤にした。ケーキうめぇ!


ぼそぼそ「・・・そんな可愛らしく食べるのね♡」


ん?何か言ったかな?

蓮華ちゃんが何を言ったのか気になったけど、それよりも目の前のケーキの誘惑には勝てない。瑞穂の口が「もっと欲しい!」と渇望している。この欲望には抗えない!


「はむぅ!」


最後の一口を口に運び咀嚼していると、いつの間にか蓮華ちゃんが瑞穂の直ぐ側の席に移動していた。


「瑞穂さん。はい、あーん。」


なんと蓮華ちゃんが【あーん】をしてくれた!

前回の人生は童貞で恋人すら出来なかった瑞穂、もちろん【あーん】なんてされたことは無かった。

これが年頃の女の子からの【あーん】ならば瑞穂は童貞力を発揮してキョドっていあだろう。しかし蓮華ちゃんはまだ幼女だ。まったく問題ない!


「ありがとう!はむぅ!もぐもぐ」


「か、かわっ・・・!!」


何故かケーキを食べた瑞穂より幸せそうな顔を見せる蓮華ちゃん。

その後お腹いっぱいになるまで延々とケーキを餌付けされた。1年分くらいケーキ食べた気がする・・・(3ヶ月に1個くらいしか食べない)


今回は初のお呼ばれということで、お開きになった。

いつのまにか定期的に参加する約束をさせられた。いや、良いんだけど、相槌を打つだけで良い会話の合間に約束の話を急に挟まないで欲しい。惰性で頷いちゃったよ。策士かな?


メイドさん達もニコニコというよりデレデレした顔になっていた。あなた達最初キリッとしてなかった?気のせいかな?


今回のお茶会で蓮華ちゃんの意外な一面を発見することが出来た。

学校ではお嬢様口調を使っているが、楽しくお喋りをしている時は年相応に砕けた口調になる。多分こっちが素の蓮華ちゃんなんだと思う。

他には西洋のドレスやゴスロリや甘ロリなどのヒラヒラしたドレス系が大好きで、お屋敷の一部屋丸々ドレス部屋にしているほど蒐集しているんだって。金持ちすげぇ!

ドレス系なら女児向けアニメの魔法少女モノの衣装も興味有るのか聞くと、アニメ自体見たことが無いという。

別に禁止されている訳では無く、単純にテレビを見る習慣が無い家庭なのだそうだ。そもそもテレビが無いという。金持ちは逆にテレビ持ってないのか。ここの家庭だけかもしれないけどね。

シアタールームが有るそうなのでアニメDVDを見ることを勧めておいた。



その後、蓮華ちゃんはアニメにドハマりし、オタクお嬢様になってしまうのだけど。

瑞穂に責任ないよね?ね?



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