第14話 ゴルフ大会
理事長の孫である少年にゴルフ勝負を挑まれた。
え~っと、たしか名前は[六本松
3歳からプロゴルファーに成るための英才教育を受けている。現在6歳。
6歳の成績としては天才と呼ばれるほどらしい。
瑞穂は1度しかゴルフをしたことが無いのでその凄さがよくわからん。
「よくきたな!みずほ!まぁ、おれがカツんだけどな!」
ナイト少年は背や体型は平均的な小1くらい。特徴といえば、その自信満々な性格と襟足だけを伸ばした変な髪型くらいだ。瑞穂その髪型嫌い。ダサいから。
「よろしくねナイトくん。瑞穂ゴルフ今日で2目なんだ。お手柔らかにお願いね。」
「ふんっ!やっぱりこのまえのはマグレだったんだな!みずほはけっこうカワイイからな!きょうオレがユーショーしたらオレのヨメにしてやるよ!!」
「え?嫌だけど。」
「なっ?!なんでだ?オレのヨメになるのうれしいだろ?なんでイヤなんだ?」
ナイトくんは本気で理解出来ない感じで聞いてくる。
どんだけ自分に自信があるんだよ。
「瑞穂、偉そうな人嫌い。あとその髪型ダサい。」
「ガーン!!」口でガーンて言った。
「・・・うぅ。ゼッタイにオレのヨメにするからな!!」
そう言ってナイトくんは泣きながら走って言ってしまった。
言い過ぎたかな?
大会が始まるので選手の集合場所に向かうことにする。
☆
ナイトくんは出場番号1番だった。
おや?髪の襟足切られている。うん、その方が良いと思う。
しかし一応は人の言うことは聞くみたいだね。少しだけ見直したかも。
もっと傲慢だと思ってたよ。
瑞穂の出場番号は666番、なんだか不吉だな。
まぁ迷信とか信じないほうだけど。
占いとかも良い結果だけ信じるタイプだ。
今回の大会内容はドラコン(ドライバーコンテスト)とアプローチとパッティングの三種目。
要するに飛距離を測るのと、カップにどれだけボールを寄せられるかと、カップに少ない打数で入れる。
この3つ。
人数が多いので3種目に分かれてこなすようだ。
瑞穂の番号で初めにやる種目はパッティング。
グリーン上にあるゴルフボールをパターでカップに入れる。
他の人のパッティングを見ていて解ったけど、思いの外ボールがグネグネしながら進む。グリーンって結構デコボコなんだね。
スタート地点は皆一緒なので後の番号の人のほうが有利だと思う。だってコースがわかるもん。
まぁ小学生の大会だからこんなもんか。
瑞穂の番になったので、見ていて一番安定していたコースを選び難なく1発クリアした。
というか瑞穂と同じで後の番号の子達は何を見ていたんだろう?皆バラバラのコースを選んで外しまくっていた。子供の洞察力が低いだけかな?でも蓮華ちゃんとか菜々美ちゃんは瑞穂より鋭いから一概には言えないか・・・
次はドラコン。
ドライバーで出来るだけ遠くにボールを飛ばす競技。
ただしコースから外れたら得点無し。
飛距離とコントロールの療法が必要みたい。
凄い力んでいる子が多い。というかそういう子しかいない。
そして力んでいるから全然球が飛ばない。コントロールも力んでいるから出来てない。
もしかして皆、瑞穂と同じ素人かな?
瑞穂は普段運動する時に全身のバネを意識して動かしている。
身体の発育が遅いので、そうしないと俊介くんに付いていけないのだ。
なのでゴルフも同じくバネを意識して。身体をひねり溜めて一気に解き放つ。弓矢とかボウガンのイメージだね。
イメージどおり安定したスイングができた。
球の当たりも良い感じ。キーン!っていう高い音がした。
審査員のおじさんがなにやら慌てているけど、2回目があるのですぐに球をセットする。
そして2回目のショットを打つ。
うん、さっきより深く捻れた!小1から柔軟しておいてよかった。
次はアプローチなのでサッサと移動をする。
アプローチは100ヤード?の距離からグリーンに乗せる競技だった。カップに近いほど高得点だって。
これが一番むずかしい気がする。
2回打てるので1回目で自分の飛距離を確認して2回目が本番かな!
1回目でカップの5メートル手前に落ちたので、調整して2度目でカップインさせた。
「み、みずほ!オレはいままででいちばんうまくできたぞ!ユーショーしたらケッコンしてくれ!!」
ナイトくんがやって来た。最初に比べたら大分マシになっている。
しかし下手に約束するとマズイ。ナイトくんが、じゃなくて
「少しだけ良くなったけど、対等の条件じゃないのにそっちが得するご褒美はズルいよ?やるなら対等の条件で。もしくは実力で惚れさせてみてね!」
年上のお姉さんとしてはこの当たりが落とし所だろう。頑張り給えナイト少年。
「う、おう!わかった!みずほがホレるくらいすごくなってみせる!!」
『優勝は
壇上に呼ばれ、トロフィーと賞状。優勝賞金(10万円)をもらった。
壇上から見えたナイト少年はココロが折れた顔をしていた。
ご、ごめんナイトくん!上げて落としてしまって!
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