第27話 存在しなかった作品

瑞穂が声優を目指す、と言ったのが月曜日。

その週の週末には国宝院家による芸能プロダクションが設立されていて。

瑞穂・蓮華ちゃん・ローザちゃんが所属していた。なんで?

ちなみに会社名は【国宝プロダクション】そのまんまだね。


完全に金持ちの道楽である。

土日はプロの講師によるレッスンがあった。

ボイストレーニングと演技指導とダンス。後、何故かストレッチと筋トレもあった。


蓮華ちゃんに「ありがたいけど申し訳ない」と言うと「ワタクシのやりたい事をやっているだけよ!」と言われてしまった。

作っちゃった物は仕方ないよね。ってことで有り難く甘える事にした。


蓮華ちゃんとローザちゃんはあくまでお遊びらしくマトモにはトレーニングしてない。

ただ瑞穂と一緒に居たいだけみたい。どれだけ瑞穂の事好きなのさ!いや、瑞穂も二人の事大好きだけどさ。


トレーニングのスケジュールは講師の方が決めているんだけど。土日のトレーニングで瑞穂の実力を把握したらしく、平日の夕方からもトレーニングのスケジュールを組まされた。多分土日じゃ足りなかったみたいだ。ド素人ですからね。


国宝プロの雇われ社長さんは女性の方で、たちばなさんと言う名前だ。

本職は国宝院家のメイドさんだそうだ。そう言えば蓮華ちゃんのウチで見た気がする。

他にも事務やプロデューサー兼マネージャーやらも居るらしいけど、まだ挨拶していない。そもそも仕事出来るレベルじゃないからね。なんで先にプロダクションつくっちゃたかなー?



と思っていたら、翌週には仕事が決まりました。いや、まだド素人なんですけど!


・・・どんな仕事か聞いてみると、異世界転生モノのWEB小説原作のアニメ化作品らしい。タイトルを聞いたけど、聞き覚えが全く無い。

前回の人生では結構アニメをチェックしてたから知らない名前は無いと思うんだけどなぁ。

存在しなかった作品が作られている?そういう事もある・・・のか?


「あ、それワタクシの作品なのよ!主人公のリリーは瑞穂ちゃんをイメージして書いたの!瑞穂ちゃんが声優になりたいって言ってくれたから役に立つ時がきたわ!」


マジか!蓮華ちゃんが書いた小説だったのか・・・

ん?・・・・・・蓮華ちゃんをオタクにしたの瑞穂だ!

つまりこの作品は瑞穂が蓮華ちゃんと出会ったから出来た作品。だから前回の人生では存在しなかった・・・ってことだよね。


まぁ、未来が変わっちゃったけど今更だ。人が死ぬような変化じゃないから良いよね!


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