第8話 初めてのプール
夏になりプールの授業が始まった。
何故かこの小学校では昔ながらのスクール水着が採用されている。
大人になってから、そういえばとっくに廃れたスク水が使われていたのか疑問に思った。そういえば体操着もブルマだったな。
有名校だけあってプールの更衣室は完全に個室になっていて鍵まで掛けられる。
鍵はブレスレット型のバスキーになっていて、これを付けた手でドアの取手をつかめばアンロックされる。私物の盗難防止のセキュリティーだ。これでパンツを盗まれることは無い。
前回の中学校は普通の学校だったから、他のクラスで盗難事件があった。
結局犯人は見つかったけど、犯人を更生させるために公開はされなかったんだよね。
まぁバレたら少なくとも地元じゃ生きていけないよね。
そんなことより早く水着を着ないと。
ぱぱっと全部脱いでカバンから水着を取り出す。所謂”旧スク水”と呼ばれるモノだ。
まさか着る事になるなんてね。
両足を通して水着を上に引き上げる。凄い密着感。肩紐を肩にかける。
股間の締め付けが半端ない。普段のパンツがフワッと優しく包み込む感じだからスク水の圧迫感がより違和感として感じられる。
着替えが終わったのでタオルを一枚持って個室から出る。そのままロックをしてプールに向かう。
「瑞穂さん。待ってたわ!一緒に行きましょう。」
「ミズホ!いっしょ!いくニョ!」
蓮華ちゃんとローザちゃんが待っていてくれたので二人と仲良くプールに向かう。
☆
プールに着くと、俊介くんが先生に羽交い締めにされていた。
「待て待て!俊介!まだ始まってないぞ!出席取って準備運動してからな!」
「オレ、いつもうんどうしてるから じゅんびいらない!はいる!!」
いつものスポーツバカが発動しただけだった。
ちなみにプールの先生は担任じゃなくて体育教師だ。ヒゲモジャのおじさん。既婚者。生まれたばかりの息子さんの自慢ばかりしている親バカでもある。
「おっし!みんな揃ったな!点呼をとったら、消毒槽に浸かってから準備運動だ。」
出席の点呼をとり、ヒゲモジャ先生に続いて消毒槽に入っていく。塩素臭い。そして濡れて張り付くスク水。
そして準備運動。まぁストレッチだね。よーく筋肉を伸ばして解していく。
前回の人生ではメチャクチャ身体硬かったからストレッチも頑張ろうかな。開脚できたらカッコいいし!
うわっ!蓮華ちゃん凄い身体柔らかい!!開脚出来てる!
そしてローザちゃん!身体硬すぎ!!普通に足伸ばしたまま座った状態で「いたい!」って言ってる。
俊介くんは・・・普通。
瑞穂も普通だけどね。
プールは底が上下する仕組みになっていて、今は一年生用に水深が50センチになるようにされている。
授業内容はただ水に慣れる事。なので只の遊びだ。
瑞穂は泳ぎは得意だった。しかし今はお子様なので蓮華ちゃん・ローザちゃん・俊介くんと遊ぶ事を優先する。一人で泳いでてもつまらないからね。
色んな種類の水鉄砲が用意されていたので撃ち合いをする遊びになった。ルールなんて無い、ただただはしゃぐだけの遊びだ。こういう遊びって子供の頃だけのモノだよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます