第30話 蓮華とデート その2

「出来たわ!完璧よ!!」


蓮華ちゃんのコーディネートで上から下まで揃えられました。

ツインテールの結び目に大きな赤いリボンを付け、フリル付きの白いブラウス。紺色のプリーツスカートをサスペンダーで留め。ハイソックスに焦げ茶のローファー。

完全に幼女スタイルである。

なるほどなるほど。やはり蓮華ちゃんの求める瑞穂は【幼女】なようだ。

そういえば最近幼女が出る日常アニメにハマってたな蓮華ちゃん。


まぁコスプレじゃ無いだけマシかな?流石にコスプレでデートはしたくない。


「ありがと蓮華おねーちゃん。」


「でへへっ!可愛いわ!!」でへへ?そんな笑い方する蓮華ちゃん初めてみたぞ?


「蓮華おねーちゃん、よだれ出てるよ?」


「おっと、はしたなかったわね。気をつけるわ。ジュルリ」


こんな子だったけ?


「さぁ、デートをはじめるわよ!そろそろお昼ごはんの時間だわ、急ぐわよ!」


またしても手を繋がれ強制移動である。身長差があるから歩く歩幅が多くなるんだよなぁ。・・・あ、やっと歩幅について気がついてくれた。


「ごめんなさい、気が付かなくて。疲れたでしょう?抱っこしてあげるわ!」ちょっと待って!違う!速度を落とすだけで良いんだよ?!


わっ!本当に抱っこされたんだけど?いくら瑞穂が小さいと言っても蓮華ちゃんだって中1だよ?なんでそんなに力持ちなのさ!


ぼそぼそ「柔ら・・・良い匂・・・しあわ・・・可愛・・・」


何かブツブツ呟いているけど、声が小さすぎて密着していても聞き取れない。

ただ、顔がダラケきっているのに瑞穂を抱っこする腕は力強い。

護衛の人たちが代わりに瑞穂を抱っこしようと提案しているけど聞く耳を持たない。多分聞こえていない。


車に乗ると、今度は膝枕してくれた。


「疲れたでしょう?レストランに着くまでおやすみなさい・・・」


頭をナデナデされての膝枕で瑞穂は一瞬で夢の世界へ旅立った。身体が幼いせいか疲れが予想以上に溜まっていたようだ。演技抜きで本当に幼女化しても良いかなと思えてきた。甘えるの楽しいし、幸せだ。元三十路のプライドとかはゴミ箱へ捨てました。



「瑞穂ちゃん。ご飯ですよ。」


「あぃ!」


寝ぼけ眼で返事をするといつも以上に幼い返事になってしまった。

目の前にはお子様ランチがあった。

どうやら寝ている間にレストランに運ばれて、注文もされていたようだ。

このお子様ランチのチョイスは蓮華ちゃんだろうね。

お子様ランチは実は食べ慣れていたりする。両親と外食する際によく頼むからね。少食な瑞穂にはこのくらいが丁度良かったりするのだ。

いつの間にか紙エプロンまで付けられている。流石にコレは慣れていない。


「はい、瑞穂ちゃん。あーん。」


「あーん、はむぅ!・・・むぐむぐ。おいしー!」美味い!いつも行く一般的なファミレスじゃなくて良いお値段のするレストランらしい。めっちゃ美味い!


「良かったわね。お腹いっぱいたべてね♡」


蓮華ちゃんの願望はひたすら瑞穂を甘やかす事らしいので、全力で甘えてみせよう!デートは相手を喜ばせる事が目的だからね!そうだ、これは蓮華ちゃんの為だから。



結局、蓮華ちゃんにひたすら甘やかされるだけで一日が終わった。これデートか?

まぁ蓮華ちゃんが満足してたから良いかな。

おかげで瑞穂の幼女レベルが上がったよ。演技の糧になったとポジティブに考えれば悪いことじゃないよね。


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